2019年10月11日金曜日

11- 元助役の死にも疑念 「越後屋の小判」怪文書と謎解き(下)

 集約サイト「阿修羅」に、日刊ゲンダイの大型記事「元助役の死にも疑念 「越後屋の小判」怪文書と謎解き(下)」の文字起こし版が載りましたので紹介します。
 
 このなかで政治家に対する「原発マネー」の還流については、記事締め切りの7日の時点では、自民党の稲田朋美幹事長代行(福井1区)しか報じられていなかった(総額で少なくとも百数十万円)ため、その他のひとたちについては言及されていません。
 しかし、8日以降 自民党の世耕弘成参院幹事長への還流(総額で少なくとも600万円)が一斉に報じられました。それに対して世耕氏の資金管理団体は、純粋な個人からの適法な献金と認識していると反論しています。 
 
 ブルームバーグの記事を併せて紹介します。
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元助役の死にも疑念 「越後屋の小判」怪文書と謎解き<下>
日刊ゲンダイ 2019/10/08 
阿修羅 文字起こし
野党は原発稼働阻止で共闘できるのか 
「関西電力の隠蔽体質、資金還流は原発政策の根幹にかかわる大問題であります!」
 7日の衆院本会議の代表質問で、原発マネー還流問題を追及した立憲民主の枝野。「政府主導で徹底的に調査すべきだ」とも訴え、臨時国会の“最大のテーマ”に切り込んだ。
 答弁に立った安倍は「電気事業者は利用者から不信を持たれることのないよう、常に適正な事業運営に努めるべきは当然だ」とノラリクラリ。関電に全責任をおっかぶせて頬かむりを決め込む安倍政権の逃げ切りが許されるわけがない。原発再稼働反対の世論は根強い。野党にしてみれば攻勢の大チャンスだが、果たして共闘できるかどうか。不安は拭いきれない。立憲民主、国民民主、社民各党と衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」が統一会派を組んだものの、原発政策を巡る“しこり”があるからだ。
 
 立憲民主が「原発ゼロ基本法案」を掲げ、全原発の稼働停止と法施行後5年以内の廃炉を目指す一方、電力総連の支持を受ける国民民主は原発ゼロの時期を「2030年代」としてお茶を濁している。野党は原発再稼働阻止の一枚看板で戦えるのか。原発問題に詳しいジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「国民民主の玉木代表は『条件付き再稼働容認』と報道されますが、本人はあくまで『かなり厳しい条件の下で』と考えているようです。現時点で再稼働はできないと明言しているので、立憲民主と足並みは揃っています。加えて、両党とも関電疑惑について徹底追及する気マンマンです。再稼働に邁進する官邸を直撃する疑惑ですからね」
 今こそ、野党の強い結束が求められている。 
 
汚染土、汚染水、再稼働で口先安倍政権は立ち往生 
 関電問題は原発推進に固執する安倍政権にとって大打撃だ。汚染土や汚染水を巡る問題は山積。原子力防災担当相を兼務する小泉進次郎環境相のポンコツぶりが混乱に拍車を掛けている。
 東京電力福島第1原発事故で生じた汚染土の県外移設は30年後だが、最終処分場はいまだ決まっていない。
 進次郎は就任早々、移設の具体策について「健康でいられれば、その30年後の約束を守れるかどうかという、そこの節目を私は見届ける可能性のある政治家だと思います」などと意味不明な発言。以降、質問にはロクに答えず「ノドグロが好き」と言いだしたり、大炎上している。
 
 東電によると、福島原発の敷地内にたまる汚染水入りタンクは3年後に満杯になる見通し。原田義昭前環境相は退任直前に「海洋放出しかない」と発言し、福島の漁業団体から猛反発を食らったが、国際社会の反応も厳しい。韓国は海洋汚染の懸念を示し、国際会議で問題提起する方針だ。
 
 事故処理すらままならないのに、安倍政権は原発の再稼働をゴリ押し。事故後、新規制基準に合格して再稼働した原発9基のうち4基は関電の高浜原発と大飯原発だ。
 その関電で問題が発覚したうえ、新規制基準に基づく安全対策コストは電力11社で5兆円超に膨れ上がっている。原発推進に世論の反発が高まる一方だ。
「官邸と関電はこれまで一心同体で再稼働を推し進めてきましたが、風当たりはさらに厳しくなるでしょう。とりわけ高浜原発は、原発に近づかないと避難できない地理的条件下にあるため、安全性に疑問符がつく問題原発なのです」(横田一氏=前出)
 安倍政権の原発路線は立ち往生必至である。 
 
「何も知らなかった」で済むのか、稲田朋美らの関与 
 原発マネー還流問題で真っ先に名前が挙がった議員は、自民党の稲田朋美幹事長代行(福井1区)だ。安倍が「細田派の四天王」と目をかける大のお気に入りである。
 稲田は森山氏が取締役に就いていたオーイングと関連会社のアイビックス(福井市)から献金を受領。稲田が代表を務める政党支部の収支報告書によると、11~13年にアイビックスから毎年36万円、15年と16年は各12万円、オーイングからは11~13年に毎年12万円を受け取っていた。さらに、アイビックスの吉田敏貢社長は、稲田が05年に初当選して間もない時期から14年8月まで後援会連合会長を務めていた。
 稲田と森山氏側との浅からぬ関係がうかがえるが、稲田は森山氏とは「面識はなく、名前もお顔も認識していない」と断言。「違法性のある献金ではなく、しっかり報告もしている」と釈明しながらも、「(返還も)含めて適切に対応する」とも言いだしている。
 
 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。
「違法性がなく、政治資金として適切に処理しているのなら、なぜ返金を検討するのか。幕引きを急いでいるからなのでしょうか。稲田氏の発言は支離滅裂です」
 稲田をオーイングなどにつないだのは、“福井政界のドン”山崎正昭元参院議長だという一部報道がある。山崎は福井県大野郡西谷村(現・大野市)出身で、大野市議、福井県議を経て92年に参院に鞍替え。当選5回の大ベテランで、地元どっぷりの政治家だ。そもそも、落下傘同然の稲田の面倒を山崎に託したのは一体誰なのか。稲田は幹事長代理時代の安倍に請われ、郵政選挙に刺客として立ち、議員バッジをつけた経緯がある。稲田の延長線上には官邸の存在が見え隠れする。
 元助役の死因にも重大な疑念、「まだ死人が出る」と言われる闇の深さ、怪情報が飛び交う政治家の関与。原発マネー還流問題は政界ルートを直撃する可能性が高まってきた。 
 
 
元助役雇用の会社社長が世耕氏側に600万円献金、関電の取引先-共同
ブルームバーグ 2019年10月9日
 関西電力役員らの金品受領問題で、自民党の世耕弘成参院幹事長が代表を務める資金管理団体「紀成会」が、福井県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)が退職後に雇用されていた会社の社長から4年間で計600万円の献金を受けていたことが政治資金収支報告書で分かったと共同通信が報じた。
 
 共同によると、会社は兵庫県高砂市の「柳田産業」。社長が2012年から15年にかけ、毎年150万円を寄付していた。同社のウェブサイトによると、同社はプラントエンジニアリング事業などを手掛けており、関西電力高浜発電所構内にも事業所がある。ブルームバーグは同社に森山氏との関係について電話取材を試みたが、確認できなかった。
 紀成会の政治資金収支報告書では、柳田産業と同じ住所で同社社長と同姓同名の個人から12年から15年まで各150万円ずつが献金されている。
 
 世耕氏の事務所は社長からの献金について「いずれも純粋な個人からの寄付であり、適法な献金と認識」しており、「現時点では、返金は考えておりません」と説明している。引き続き事態を注視するという。また、森山氏が柳田産業に雇用されていたことは認識しておらず、森山氏との「面識も全くない」としている。ブルームバーグの取材に書面で回答した。
 
 西村明宏官房副長官は9日の会見で、「個々の献金については、政治家がそれぞれ説明すべきものであり、政府としてはコメントは控えたい」と述べた