2025年6月30日月曜日

柏崎刈羽原発の避難計画了承 豪雪時の事故想定 政府

 政府は27日の原子力防災会議で、柏崎刈羽原発の事故に備えた住民の避難計画を了承しました。これで再稼働に向けた国の手続きがほぼ完了し、今後の焦点は“地元同意”に絞られました。

 しかし避難計画では「実効性がある」ことが肝要です。5~30キロ圏内では「屋内退避」とされていますが、能登半島地震時には石川県内で全壊8221棟、半壊16584棟等全部で8万棟を超える住宅被害が報告されています。
 豪雪時に地震が起きれば、積雪荷重でさらに住宅の被害が増大するので、5~30キロ圏内で屋内退避することが果たして現実的なのか(窓ガラス1枚の被害でも放射線に被爆)について十分に検討されているのか疑問です。
 それに加えて、避難道路増設の完了、降雪時の道路除雪設備の完了、避難バスの調達の保障などの「再稼働の必要条件」の確保が、再稼働の「大前提事項」になります。
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再稼働の“手続き”進む東京電力 柏崎刈羽原発 事故時の『住民避難計画』を政府が了承 残るは「地元同意」に
                        BSN新潟放送 2025/6/27
政府は27日の原子力防災会議で、柏崎刈羽原発の事故に備えた住民の避難計画を了承しました。これで再稼働に向けた国の手続きがほぼ完了し、今後の焦点は“地元同意”に絞られました
27日午前に政府が開いた原子力防災会議で、石破茂総理は「本日、柏崎刈羽地域の緊急時対応を了承しました」と述べ、東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発の事故に備えた住民の避難計画を了承しました。
計画は原発の半径30キロ圏内にある柏崎市、刈羽村、長岡市など9市町村が対象で、豪雪などの「自然災害」と「原発事故」が重なる複合災害に備え、複数の避難経路を設定することや除雪体制などが盛り込まれています。
石破総理は「関係自治体、事業者と緊密に連携して、この計画を継続的に検証・改善していくことが重要」だと述べました。
避難計画の了承は事実上、再稼働の手続きの一つで、今後は地元の同意を得られるかが焦点となります。
その鍵を握る新潟県の花角英世知事は27日、原発立地県の知事らとともに関係省庁を回り、原発の立地地域の振興を要請しました。
政府の避難計画了承について、花角知事は
新潟県 花角英世知事
「複合災害時の避難の安全性の確保というあたりも随分踏み込んで緊急時対応をまとめていただけたと思う。しかしこれで終わりではなくて、より安全を、実効性を高めるためにも新しい知見が出れば見直していく、そうした不断の取り組みを続けてもらいたい」
東京電力は、これまで目指してきた7号機の再稼働を先送りし、6号機の再稼働を優先する方針に転換していて、その6号機は、8月にも技術的には再稼働できる状態となる見通しです。
「再稼働に関する県民の受け止めを見極めたい」としている花角知事。
住民の意見を聞く公聴会は6月28日を皮切りに8月末まで、また市町村長との意見交換は夏頃までに終える予定で、その先にどんな結論を出すのか注目されます。


柏崎刈羽原発の避難計画了承 豪雪時の事故想定 政府
                            時事通信 2025/6/27
 政府の原子力防災会議は27日、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で事故が発生した場合の周辺住民の避難について関係自治体などがまとめた対応計画を了承した。
 同原発6、7号機は既に原子力規制委員会の審査に合格しており、東電はテロ対策施設の設置期限などを理由に6号機の再稼働を優先する方針を表明。計画が了承されたことを受け、再稼働に向けて残された焦点は地元同意だけとなった。
 計画では、豪雪時に事故が起きる複合災害を想定。自然災害に対応する対策本部と原子力災害の対策本部が連絡体制を整え、情報収集や意思決定を一元化することや、放射性物質放出の恐れなどで民間事業者などによる避難経路の除雪が困難になった際には、自衛隊や警察などが実施することなどを明記した。