2025年6月19日木曜日

規制委、原災対策指針の改正案を了承 屋内退避の実現は課題残す

 原子力規制委は18日、原発事故時に5~30キロ圏内の「屋内退避」について、継続期間や解除条件を新たに反映させた原子力災害対策指針の改正案を了承しました。解除条件などは示されましが、地震や降雪などと原発事故が同時に起こる複合災害時にどう屋内退避をするかは示されず、実現性に課題残りました。
 規制庁の担当者は「自然災害の対応を知らないので勉強している段階だ」とし、複合災害時の必要な対策については今後検討する意思を示しました。
 山中伸介規制委員長は「原子力災害の要因は自然災害が非常に多い。自然災害への備えが第一」として、関係省庁と緊密に連携する必要があると述べました。その通りなのですが、そういう条件の中で原発を設立した責任は規制委にあります。「ピンぼけ」状態が続いています。
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規制委、原災対策指針の改正案を了承 屋内退避の実現は課題残す
                            毎日新聞 2025/6/18
 原子力規制委員会は18日、原発事故時に5~30キロ圏内の住民が行う「屋内退避」について、継続期間や解除条件を新たに反映させた原子力災害対策指針の改正案を了承した。原発周辺の自治体は指針に基づいて避難計画を策定しているが、地震などと原発事故が同時に起こる複合災害時にどう屋内退避をするかは示されず、実現性には課題も残った

 改正案は屋内退避の継続期間について、継続するか否かの判断は退避開始後3日目を目安にすると定めた解除条件は、周辺に放射性物質を含む雲が無いかなどが確認できた場合としている。退避中も、生活の維持に最低限必要な一時的な外出は可能と明記した。

 規制委は、自治体から「屋内退避の解除条件が示されていない」と指摘を受け、チームを発足させて2024年度から検討してきた。今回、解除条件などは示したが、屋内退避を続けるための物資の供給体制や、能登半島地震で浮き彫りになった複合災害時の対応は具体策を見いだせないまま議論を終えた
 自治体がチームの報告書に寄せた約250件の意見でも、物資供給や複合災害時の対応に関連するものが相次いだ。規制委はこれらの課題に対し、規制委単独では解決できず、他省庁との連携が必要としている。
 規制庁の担当者は「(課題について)関係省庁と意見交換している。自然災害の対応を知らないので勉強している段階だ」とし、複合災害時の必要な対策については今後、検討する意思を示した
 規制委は、指針の改正案を意見公募(パブリックコメント)にかけた後、正式に決定する。【木許はるみ】


原発事故時の「屋内退避」国の指針改正へ 期間や解除要件盛り込む
                       NNN日テレNEWS 2025/6/18
原発事故が起きたときの住民の避難方法などをまとめた、国の「原子力災害対策指針」に、自宅などにとどまって被ばくを避ける「屋内退避」の運用について盛り込んだ改正案が、原子力規制委員会で了承されました。

原発事故で放射性物質が拡散する恐れがあるとなった場合、・半径約5キロメートル圏内(PAZ)は避難、・半径約5~30キロメートル圏内(UPZ)は自宅や近くの避難所に「屋内退避」することになっています。しかし、屋内退避の期間や解除の要件などについては、具体的に定められていませんでした。
原子力規制庁の検討チームは、屋内退避の運用について1年ほど議論し、3月に報告書をまとめていて、きょう18日の原子力規制委員会では報告書の内容が盛り込まれた「原子力災害対策指針」の改正案が了承されました

改正案では、大気中の放射性物質の流れが滞留したり、新たに到来したりしないことが確認できれば、屋内退避を解除するとされたほか、屋内退避を継続するかどうかの判断を、3日を目安に行うこと、屋内退避中も生活の維持に最低限必要な一時外出は可能なことなどが記載されました。
原子力規制委員会の山中伸介委員長は「原子力災害の要因は自然災害が非常に多い。自然災害への備えが第一」として、自然災害への対応について、関係省庁と緊密に連携する必要があると述べました
改正案は一般からの意見公募を経て、9月頃に正式に決定される見通しです。


原子力災害指針を改正へ 規制委、屋内退避盛り込む
                            共同通信 2025/6/18
 原子力規制委員会は18日に定例会合を開き、原発事故時の防災対策を定めた「原子力災害対策指針」の改正案を了承した。一般からの意見公募を経て、9月にも正式決定する。改正案には、住民の被ばくを低減するための屋内退避について、継続期間や解除条件を盛り込んだ。全国の原発立地・周辺自治体は指針を基に避難計画を作っている。
 現在の指針は、原則として原発5キロ圏内は避難、5~30キロ圏内は自宅や避難所に屋内退避するが、退避の解除条件は具体的に示していない。昨年の能登半島地震後に自治体側から要望を受け、規制委は専門家らを交えた検討チームを設置、3月に報告書をまとめた。
 改正案では解除条件として、原発の状態が安定し、放射性物質を含む空気の塊が周囲に滞留していないことと規定。退避開始3日後に国が解除の可否を判断する。退避中も物資の調達や通院のための外出は可能とした。
 能登半島地震で課題となった、事故と自然災害が同時発生する複合災害への対応は「関係機関などと連携する必要がある」とし、具体案を示さなかった。