東電は柏崎刈羽原発について6号機から先行して再稼働する方針に転換しました。これは7号機のテロ対策施設の設置猶予期限が10月13日のため、それ以降はテロ対策施設が完成するまで運転ができないからです(6号機の設置猶予期限は29年9月)。
因みに関電の美浜原発3号機は、21年6月に再稼働しましたが、テロ対策施設設置猶予期限が同年10月23日に迫っていたため運転を停止しました(テロ対策施設完成後の22年9月に再稼働)。テロ対策施設の設置猶予期限は、原発本体の安全対策工事の詳細設計が認可されてから5年以内と定められています。本来は稼働時に完成しているべきものなのですが、福島原発事故後に新たに定められた施設なので猶予期限を設けたものです。
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現実路線に舵を切った東電 原発1基稼働で利益1000億円 柏崎刈羽6号機先行稼働へ
産経新聞 2025/6/25
東京電力は新潟県の柏崎刈羽原発について6号機から先行して再稼働する方針に転換した。今夏の再稼働を目指した7号機はテロ対策施設の工事が遅れ、地元同意も見通せず、現実路線にかじを切った。経営再建中の東電にとって、原発稼働で見込める利益を優先した「苦渋の決断」とも言えるが、道は険しい。
国と東電はこれまで、電力需要が高まる今夏以降、7号機を再稼働させる方向で準備を進めてきた。ただ、原子力規制委員会が認めたテロ対策施設の設置期限が10月13日に迫り、仮に今夏の再稼働が実現した場合でも、わずかな時間しか稼働できない。
今月21日に燃料装荷が完了した6号機は、技術的に稼働できる状態となる健全性の確認が8月ごろに終了する。地元同意が得られれば、テロ対策施設の設置期限となる令和11年9月まで運転が可能となる。
柏崎刈羽原発の再稼働は東電の経営を左右する。福島第1原発事故で巨額の賠償責任を負う東電にとって、柏崎刈羽6、7号機の再稼働は再建計画の柱だ。6、7号機が再稼働すれば火力発電の燃料費が減るため、1基につき年間約1000億円の収支改善を見込む。赤字が続く経営好転の一手に同原発の稼働は欠かせない。
同原発の稲垣武之所長は25日の記者会見で「7号機を再稼働できなかったことは私どもの力不足だが、地元には6号機が今度どうなるのかを丁寧に説明したい」と述べた。当初目指した7号機の早期稼働を断念してでも、「まずは1基でも動かす」という経営判断に迫られたことは想像に難くない。
ただ、6号機の先行稼働に方針転換しても、地元同意がハードルとして立ちはだかる。再稼働について県民の意思を見極める新潟県の公聴会は8月末まで続く。花角英世知事が判断を示すのは9月以降になるとみられ、先を見通すのはまだ難しい。(白岩賢太)
東京電力が再稼働めぐり方針転換 柏崎刈羽原発は6号機を優先
ー 7号機のテロ対策施設の建設遅れで
福島テレビ 2025/6/25
東京電力は柏崎刈羽原発の再稼働をめぐり、6号機を優先させることに方針転換した。
東京電力は6月25日、柏崎刈羽原発について、先行して準備が進んでいた7号機ではなく、6号機を優先して再稼働させると表明した。
柏崎刈羽原発では2024年4月、東京電力の原発としては震災後初めて7号機の原子炉に核燃料が入ったが、テロ対策施設の建設遅れで再稼働したとしても10月から4年ほどは運転ができない。
再稼働に向けた新潟県知事の判断は、早くても秋以降となる見通しで、東京電力はテロ対策施設の設置期限に余裕のある6号機に集中するとしている。
【速報】7号機の核燃料取り出し検討と柏崎原発所長
共同通信 2025年06月25日
東京電力柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は25日の記者会見で、7号機の原子炉に装填した核燃料を取り出し、使用済み核燃料プールに戻すことを検討すると明らかにした。