2025年6月9日月曜日

原発60年超運転可能に GX脱炭素電源法が全面施行

 原発の60年超運転を可能にする「グリーントランスフォーメーション(GX)脱炭素電源法」が6日、全面施行されました。最長60年は維持するものの、安全審査や国の行政指導などで停止した期間の分の延長が可能になります。

 運転開始から30年を超える原発は10年ごとに「長期施設管理計画」を策定し、原子力規制委の審査を受ける必要があるのですが、電力4社で計12基がそのために必要な手続きを完了させています。
 従来の点検内容に加え、放射線や熱に長期間さらされることで生じる設備の劣化などを確認するのは当然ですが、どのようにしてそれを確認が出来るのか、規制委や電力には分かりやすく説明する義務があります。
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原発60年超運転可能に GX脱炭素電源法が全面施行
                             時事通信 2025/6/6
 原発の60年超運転を可能にする「グリーントランスフォーメーション(GX)脱炭素電源法」が6日、全面施行された
 東京電力福島第1原発事故後に定めた「原則40年、最長60年」のルールを維持するものの、原子力規制委員会による安全審査や国の行政指導などで停止した期間の分、延長が可能になる。電力需要の増加をにらみ、政府は既設原発のフル活用にかじを切った。
 国内で稼働している原発のうち、最も古い関西電力高浜原発1号機(福井県)は今後約20年間、運転が可能になる計算だ。1974年11月に運転を開始したが、福島第1原発事故後の安全審査などで約12年停止していた。一方、電力会社のミスで停止した分の延長は認められない。東電柏崎刈羽原発(新潟県)がテロ対策の不備で規制委から事実上の運転禁止命令が出ていた約2年8カ月などが当てはまる。
 政府は、2月に閣議決定したエネルギー基本計画に既設原発の「最大限活用」を明記し、2040年度の電源構成で原発の割合を現在の1割弱から2割程度まで増やす方針を掲げた。この水準は30基以上の稼働が前提だが、再稼働した原発は14基にとどまる。新増設のハードルも高く、既存原発の長期利用によって電力需要の増加に対応し、脱炭素との両立も目指す。


新制度、12原発で対応済み 「60年超運転」、本格施行
                             時事通信 2025/6/7
 原発の「60年超運転」を事実上可能とするGX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法では、運転開始から30年を超える原発は10年ごとに「長期施設管理計画」を策定し、原子力規制委員会の審査を受ける必要がある
 規制委によると、本格施行された6日までに電力4社で計12基が新制度に必要な手続きを完了させている。
 長期施設管理計画では、従来の点検内容に加え、放射線や熱に長期間さらされることで生じる設備の劣化などを確認することや、使われている部品が将来製造中止となって調達できなくなる事態を防ぐための対応などを盛り込む必要がある。
 手続きを済ませた12基の運転期間別の内訳は、30年超が6基、40年超が5基、50年超が1基。ほかに7月に運転開始から30年を迎える東北電力女川原発2号機(宮城県)が審査中だ。
 事業者別では関西電力が7基で、九州電力が3基、中国電力と四国電力が1基ずつ。最多の関電では高浜1号機(福井県)が昨年11月に運転開始から50年を迎えており、今年から来年にかけて同2号機と美浜3号機(同)が50年を超える。
 新制度では、運転から40年目の時点で劣化状態を詳細に調べる「特別点検」を行うほか、60年目以降も同様の「追加点検」を実施することが定められた。規制委の山中伸介委員長は5月の定例記者会見で「特に60年以降は特別な検査をしていくことになる」と強調。「新しい知見の有無などを慎重に見極めながら審査を進めたい」と述べている。