東電は10日、原子力規制委から承認を受け、柏崎刈羽原発6号機の原子炉に核燃料を入れる燃料装荷を始めました。
一方原発の再稼働に反対する市民団体は「県民の理解を得ないまま強行したことに強く抗議し、即刻、燃料装荷の作業を取りやめ、県民の疑問と不安に真摯に向き合い、安全最優先を履行することを求める」として、プラカードを掲げて抗議の声をあげました。
柏崎刈羽原発では、当初は7号機の再稼働を優先するとして準備を進めてきましたが(核燃料装荷も終了)、7号機では新規制基準で義務づけられているテロ対策施設が完成しておらず、10月にはその「猶予期間」が過ぎて稼働できなくなるため、6号機の稼働を目指す考えと思われます。
6号機の核燃料装荷に関連する件は別記事でも紹介します。
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柏崎刈羽原発6号機で“燃料装荷”開始 市民団体からは抗議の声も…地元同意の行方見通せない中“再稼働”に向けた準備進む
NST新潟総合テレビ 2025/6/11
東京電力は6月10日、原子力規制委員会から承認を受け、柏崎刈羽原発6号機の原子炉に核燃料を入れる燃料装荷を始めました。一方で原発の再稼働に反対する市民団体は抗議の声をあげています。
■6号機への燃料装荷に市民団体が抗議
【記者リポート】
「東京電力新潟本社。柏崎刈羽原発6号機への燃料装荷まであと30分ほどとなりましたが、こちらでは市民団体がプラカードを掲げて抗議活動を行っています」
10日午後0時半ごろ、新潟市中央区の東京電力本社前で市民団体が抗議を行ったのは柏崎刈羽原発6号機への燃料装荷について。
【市民団体】
「県民の理解を得ないまま強行したことに強く抗議し、即刻、燃料装荷の作業を取りやめ、県民の疑問と不安に真摯に向き合い、安全最優先を履行することを求めます」
東京電力は午後1時すぎに燃料プールに保管されている872体の核燃料を原子炉に移し替える燃料装荷を開始。
24時間体制で行われる作業は約2週間で完了する見込みで、その後、設備の健全性確認などが順調に進めば、6号機も8月には技術的に再稼働ができる状態となります。
東京電力は「作業を進める中で課題などが見つかれば立ち止まり、必要な対策を講じるなど一つ一つの工程を着実に進める」としていますが…
【市民団体 桑原三恵 代表】
「自分たちが決めた計画を強行、私たちに言わせれば強行していく。そういうあり方について、やはり黙っていられない」
■6号機の再稼働を先行させる可能性も
柏崎刈羽原発をめぐっては、これまで7号機の再稼働を優先するとして準備を進めてきた東京電力。
しかし、7号機では新規性基準で義務づけられているテロ対策施設が完成しておらず、10月以降は稼働できない状態に。
花角知事が県民の意思を確認する1つの方法として挙げる公聴会も8月末まで予定されていて、その判断の時期は見通せない現状です。
7号機の早期再稼働を求めてきた柏崎市の桜井雅浩市長は苦言を呈します。
【柏崎市 桜井雅浩 市長】
「この6月、7月の段階でご判断なされないような状況になってきたというのは非常に残念」
ただ、6号機はテロ対策施設の設置期限が2029年となっていて、設備の健全性が確認され、地元の同意が得られれば再稼働できるため、柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は6号機の再稼働を先行させる可能性も示唆しています。
【柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「当然のことながら10月に特定重大事故等対処施設の設置期限というのが来るので、現場の安全を考えたときにどうしていくのかというのは、地元のご理解の状況等も踏まえてしっかり総合的に判断をしていく」
6月末に始まる公聴会などを通して花角知事は県民の意思をどう見極め、いつ・どのような判断を下すのか。
地元同意の行方は見通せない状況でも東電の再稼働に向けた準備は着々と進んでいきます。
“計画強行”という抗議の声も 8年7か月ぶりの核燃料装填 東京電力 柏崎刈羽原発6号機
BSN新潟放送 2025/6/10
東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の6号機で、原子炉に核燃料を入れる作業が10日から始まりました。6号機の原子炉に燃料が入るのは、8年7か月ぶりです。
10日午前11時に原子力規制委員会が『燃料装填』を承認したのを受けた東電は、装填に向けた作業を開始。
午後1時ごろに制御棒を挿入し、午後1時50分には、872体の燃料のうちの1体目を装填したということです。
柏崎刈羽原発6号機は2012年3月から運転を停止していて、原子炉に燃料が入るのは8年7か月ぶりです。作業が順調に進めば、7号機に続いて6号機も、再稼働に向けた技術的な準備が8月にも整う見通しです。
こうしたなか、原発再稼働に反対する市民団体は、東京電力の新潟本社前でプラカードを掲げ、燃料装填に抗議をしました。
【規制庁・規制委員会を監視する新潟の会 桑原三恵代表】
「自分たちが決めた計画を、私どもに言わせれば“強行”していくやり方には、黙っていられない」
市民団体は、燃料の装填を中止し新潟県民の疑問と不安に向き合うこと、などを求める文書を東電に手渡しました。
東電はこれまで、7号機の再稼働を優先して準備を進めてきました。
しかし、設置が義務付けられているテロ対策施設の完成が大幅に遅れているため、仮に再稼働したとしても、2025年10月以降は7号機の運転ができなくなります。
このため東京電力ホールディングスの小早川智明社長は、テロ対策施設の設置期限まで猶予がある6号機の再稼働を先行させる可能性も示唆していました。
一方で“地元同意”の鍵を握る、新潟県の花角英世知事の判断が今秋以降にずれこむ見通しでもあり、依然として再稼働のめどは立っていません。