2025年6月16日月曜日

残り任期1年 花角県政の現在地-花角知事に聞く <前編・後編>

 新潟テレビ2112日と13日の2回に分けて花角知事への単独インタビューを伝えました。以下に紹介します。
 柏崎刈羽原発の再稼働問題に関しては後編で、知事が県民の意見をどう集約し、判断に当たるのか、来年の知事選に出馬するのかなどに迫っています。
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【特集|UX単独インタビュー】残り任期1年 花角県政の現在地-花角知事に聞く<前編>【新潟】
                        UX新潟テレビ21 2025/6/12
2026年6月9日の任期満了まで1年を切った花角知事が、UXの単独インタビューに応じました。県政が抱える課題にこれまでどう向き合い、今後はどのような道筋を示すのか。2回にわたってインタビューの模様をお伝えします。

【前編:政策編】
人口減少問題を中心に聞きました。
2018年。前任者の不祥事で空席となった知事の座に名乗りを上げたのが、国土交通省の官僚だった花角英世さんでした。
■花角英世さん(2018年当時)
「新潟に戻ってきた。これから新しいチャレンジをするぞ。」
「この『新潟県民丸』という船を、前に進めなければならない。かじ取り役、船長の役を任せていただけないでしょうか。」
元官僚として『国とのパイプ』をアピールした花角さん。自民・公明の支援を受けて、野党系候補に競り勝ち〝戦後10人目の公選知事〟に就任しました。
前回の知事選は大差で再選し、2期目も終盤に差しかかった今、『新潟県民丸』はどのような地点にいるのか。
そして、どこへ進めようとしているのかを聞きました。

■岡拓哉アナウンサー
2018年当初は財政難からのスタートでしたね。」
■花角英世知事
「就任の前までは分からなかったことであり、就任して県政の状況を色々と確認していく中でこれは大変だと。」
県債残高は、年間の歳入額を大きく超える約2兆3300億円(2023年度末)。徐々に減らしていますが、2023年から県債の発行に国の許可が必要となっています。
■花角英世知事
「職員の給与カット、給与だけじゃなくてボーナスも含めて年収ベースでカットした。関係の業界への補助金なども見直し、色んな政策を見直して影響を受けた方々もいたと思うが、皆さんの協力で何とかめどがついたという状況。ただ、今でも色んな投資事業にはキャップ(制限)がかかっている。借金をこれ以上増やせない。」

―<人口減少について>――
■岡拓哉アナウンサー
「そんな中で全国的な傾向でもあるが、人口減少は本当に大きな問題だったと実感していると思いますが。」
■花角英世知事
「『だった』という過去形ではない。今まさにその渦中にある。新潟県で生まれた子どもが1万人を切ってしまった、昨年。」
■岡拓哉アナウンサー
「最新の数字が現状207万人。人口がどんどん減っていくと、新潟県への影響がどんなところに出てきますか?」
■花角英世知事
「縮んでいく社会。至るところにその影響が出てくる。現状でも例えば“医療”、それから“交通”。バスや鉄道といった公共交通を維持するのが難しくなっている。さらに教育も小・中・高、統廃合がどんどん進めざるを得ない。」
病院の統廃合や高校の再編など整理を進める一方、力を入れてきたのは-
■花角英世知事
「子育てしやすい環境、子育てに優しい環境づくりということを、ずっと政策の課題『重要課題』に掲げてきたつもり。今年度の予算で市町村への支援の交付金を作った『放課後児童クラブ』。」
県が、今年度の予算で目玉に掲げた『放課後児童クラブ』への補助。運営する市町村の事業を支援します。
新潟市中央区にある『沼垂ひまわりクラブ』。市立沼垂小学校に通う児童のうち、約170人が利用していて増加傾向にあるといいます。補助について聞きました。
■保護者
「上の子を預けていた時よりも金額が下がったので、すごく助かっている。」
■保護者
「すごく助かっているとは思います。」
評判は上々ですが、物価高のなかこんな声も-
■保護者
「学校でかかる費用がもっと負担が減ればいい。」

さらに-
■保護者
「小学校よりも下の学年の遊ぶ場所はいっぱいあるが、小学生になると児童館とか安心してどの天気でも遊べる場所は少ないかなと思う。」

―<子育て政策について>――
■岡拓哉アナウンサー
「子育て環境の県民満足度が『どちらかといえば子育てしやすい』という人も含めて45%。評価は?」
■花角英世知事
「主観的な満足度が、もう少し上げていきたいと思う。」
■岡拓哉アナウンサー
「目標が70%。ここに達するためには、またさらにというのは?」
■花角英世知事
「色んな経済的支援やサービスの充実、次々と手を打っていきたい。」

―<若者の流出について>――
人口減少が止まらない新潟県で、特に深刻なのが〝若者の県外流出〟です。なぜ、若者は県外を目指すのか。5月に新潟市内で開かれた『就職フェア』を訪ねました。
県内企業が出展した催しですが、参加者からは「まだ迷っているとの声」も-
■大学3年生
「県内・県外決められてないんですけど、これから色んなイベントに行って決めたい。」
■大学3年生
「関東か県内という感じ。」
理由を尋ねると-
■大学3年生
「県外の方が発展している地域があったり、新しい店などいっぱいあったりして魅力的な部分がある。」
■大学3年生
「新潟に残った方がいいのかなと思いつつも、挑戦したい自分もいるので迷っている。東京の方が選択肢が多いので。」
■花角英世知事
「就職ですよね。こちらは非常になかなか改善していくのは難しい、時間がかかる。(県内企業には)自社の働く環境の良さなど、仕事の魅力みたいなものを伝えていく。その努力をやってほしい。それを県としても関係機関と一緒に応援していく、支援していきたい。そうすることで、新潟で働くことを選択してもらえる。」

県が今年つくった将来ビジョン『県総合計画』では、人口が減るなかでも成長力のある社会づくりを掲げた花角知事。

―<展望について>――
最後に展望を聞きました。
■岡拓哉アナウンサー
「新潟の強み、どんな強みを今後生かしていきたいですか?」
■花角英世知事
「新潟は様々な可能性など、いいもの・豊かさがあると思いますよね。人を引きつける魅力という意味でも、経済的な産業の力という意味でもたくさんの潜在可能性はあると思っている。伸びようとする、大きくしようとする力を、背中を押すことで走ってもらいたい。」


【特集|UX単独インタビュー】「選挙の時には・・・」原発再稼働の判断-花角知事に聞く<後編>【新潟】
                        UX新潟テレビ21 2025/6/13
任期が残り1年となった花角知事に聞く「UX単独インタビュー第2弾」。
政府が再稼働を求める東京電力の柏崎刈羽原発。花角知事は、県民の意見をどう集約し、判断に当たるのでしょうか。そして、来年の知事選に出馬するのでしょうか。その考えに迫りました。

柏崎刈羽原発の再稼働は、知事に名乗りを上げたときから最大のテーマでした。
■花角英世知事
「原発は、おそらくここにお集まりの皆さんと同様、不安をもっています。できれば、ない方がいいと思っている。しかし、現実には存在している。これをどうするか。」
当選後の記者会見でも-
■花角英世知事
「責任者として、リーダーとして、こうするべきだという何らかの結論を取りまとめて、それを県民に示す。」

あれから7年―
政府は、国策として原発活用を前面に打ち出し、花角知事に再稼働を要請。東電は、核燃料を装てんするなど、「包囲網」を狭めているように見えますが・・・。
■岡拓哉アナウンサー
「原発の安全性・必要性・東電の信頼性という部分を現状どう認識していますか?」
■花角英世知事
「議論の材料も順次出てきたし、議論が深まっていく、ちょうどその段階ではないか。それを県民がどう受け止めて、気持ちがどう固まっていくのか。まさに見極めていく段階。」

議論の材料とは-
原発事故が起きたとき、避難路は政府が国の負担で作ることを確約。避難のあり方も、ほぼ議論が終わりました。今後は、公聴会や県内首長との意見交換などを残すのみです。
■岡拓哉アナウンサー
「多様な意見が上がってくると思いますか?」
■花角英世知事
「多様な意見があると思う。条件付き賛否というか『何が何でも嫌だ』という人もいるだろうし、『動かさないと駄目だ』と決めている人。両端あると思うが、むしろ大半は『どうなんだろう』『心配だ』とか。心配の種が一体どこなのか、これまでも探ってきています。」
■岡拓哉アナウンサー
「多様な中で、パーセンテージや数で整理するのが難しいと思うが・・・」
■花角英世知事
最後は判断。まさに〝総合的な判断〟。」
■岡拓哉アナウンサー
「その意見をどう知事は整理するのですか?」
■花角英世知事
「〝総合的な判断〟としか言いようがない。でも、多数の人たちの“多数”はどこにあるのかということを、意識調査・首長の声などで認識していけるところはあると思う。」
■岡拓哉アナウンサー
「繰り返し言っている『信を問う』ということだが。」
■花角英世知事
「『信を問う』という言葉をくり返しているのではない。最後、私の出した結論について〝県民の意思を確認する〟と言っている。」

『信を問う』発言は、初出馬のときから訴えていました。
■花角英世氏(2018年知事選当時)
「しっかりと検証結果を踏まえて、リーダーとして・船長として答えを出し、皆さんの『信を問う』それも考えている。その覚悟がある。」
選挙選で飛び出した『信を問う』発言。

その手法は-
■花角英世知事
「意思を確認する方法は、まだ決めたものはない。ただ、責任の取り方としてもっとも明確で重いのは『信を問う』方法だと。」
■岡拓哉アナウンサー
「決断をしたい、しなければならないと。」
■花角英世知事
「めぐり合わせなのでしょう。この時期に私がこの仕事をしているということで、どこかでこれは県民の“のどに刺さった骨”みたいな世界で、これを整理したいと。それがめぐり合わせだった。自分の手でやらざるを得ないと思っています。」
■岡拓哉アナウンサー
「県民の皆さんの意見を聞きたいと思っている真意は?」
■花角英世知事
「丁寧に進めているつもりなんです。というのは、なぜ丁寧ということが大事なのかというと、やっぱり県民の気持ちは割れている。割れてるというか〝多様〟。」

4月の臨時県議会。
住民団体が求めた県民投票条例案は、再稼働について「賛成または反対」の二択で問う内容でしたが、花角知事は「県民の多様な意見を把握できない」と指摘。自民党などが否決しました。
再稼働をめぐっては、首長の間にも温度差があります。
■花角英世知事
「できるだけ分断を避けたいという思いはある。ずっとしこりがあれば、本当に新潟県の発展のためによくない。立地市村の強い意向もあるし、国や国の後ろにいる首都圏の人たちや色んな人たちが期待しているものもある。そうしたものを全部見ながら、新潟の県民が最後、できるだけ多くの人が納得というか『それでいこう』となる形を取りたい。」
〝首都圏の電源基地〟と言われる柏崎刈羽原発。他県の原発と異なるのは、発電した電気を県民が使わないこと。自民党や地元経済界からは、再稼働を認める代わりに『経済的メリット』を求める声が出ています。
■花角英世知事
「カネで安全と引き換えるということではないが、やはりこれだけのある意味で“危険物”を身近で抱える以上、それ相応の見返りというかプラスがあっていいというのは、素朴な感情としてあると思う。安全性の確保や事業主体(東電)の信頼など、そういう次元とは違うが、これはこれでやはり追求しなければいけないことだと思う。」
始まった任期満了へのカウントダウン。野党からは、次の知事選をにらんだ動きも出ています。

再稼働の判断と、自らの去就との関係は-
■岡拓哉アナウンサー
「来年の任期満了選挙という声も出ているが。」
■花角英世知事
「そこは何とも言えない。少なくとも、選挙のときには何か言わなければいけない。結論を出しているか分からないが、でも言わなければいけない。たとえば、検証が終わるまでは議論しないと言ってきた。さすがに8年たって、検証も終わり、色んな材料は出てきたわけですので。選挙のときには、間違いなく何か自分の判断を、判断できているか分からないが、その状況は説明する必要が出てくる。」
さらにこう述べました。
■花角英世知事
「あるいは、結論を出して選挙になっているかもしれない。あるいは、その前に何らかの方法で、県民の意思を確認しているかもしれない。」
■岡拓哉アナウンサー
3期目への思いは?」
■花角英世知事
「そんな先まで考えていない。」

秋以降、政府は再稼働へ一気にかじを切るとみられるなか、今の思いは-
■花角英世知事
「非常に悩む課題ではある。だから頭の中から消えない。常に頭の中にあるという意味では、なかなか難しい課題。」
■岡拓哉アナウンサー
「決着のタイミング、決断のタイミングは?」
■花角英世知事

まだ見通せない。急いではいけない。でも、いたずらに延ばしてもいけない。」