台湾人の団体「福島前進団」のメンバーの、日本在住の台湾人留学生や会社員ら5人が16〜21日、福島県を訪れ、福島原発や観光地などを視察し、最終日には福島大や横浜国立大の学生らと復興への課題などについて議論しました。
メンバーは「被害の大きさを改めて感じた。長い年月がかかっても、必ず廃炉を成し遂げてほしい」、「福島は放射線量が高いと思っていたが、実際はそれほど高くない。普通の暮らしが広がっていることを知らない人もいる」などと語りました。
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台湾人団体「正しい情報を」原発など視察、風評払拭へ発信 福島
時事通信 2020年11月21日
東日本大震災で被災した福島県の復興状況を伝えるため、東京電力福島第1原発や観光地などを視察した台湾人団体が21日、同県喜多方市で日本の大学生らと風評被害の払拭(ふっしょく)などについて意見交換した。団体側は「正しい情報を多くの人に知ってもらいたい」として、インターネット交流サイト(SNS)での発信に力を入れる考えを示した。
視察したのは今月発足した台湾人の団体「福島前進団」のメンバー。日本在住の台湾人留学生や会社員ら5人が、16〜21日に福島県内を巡った。
18日には福島第1原発を訪れ、廃炉作業の状況や放射性物質トリチウムを含む処理水について説明を受けた。会社役員呉廷中さん(32)=東京都新宿区=は「被害の大きさを改めて感じた。長い年月がかかっても、必ず廃炉を成し遂げてほしい」と話した。
最終日の21日は、福島大や横浜国立大の学生らと、復興への課題などについて議論。京都情報大学院大の謝秉澄さん(25)=京都市=は「福島は放射線量が高いと思っていたが、実際はそれほど高くない。普通の暮らしが広がっていることを知らない人もいる」と指摘した。
福島の現状を台湾に発信 日本在住の若者ら、県内巡るツアー
河北新報 2020年11月20日
日本に在住する台湾籍の若者たちが、東京電力福島第1原発事故で被災した福島県を巡るツアーに取り組んでいる。原発事故後に福島産食品などの輸入禁止措置を続ける台湾に会員制交流サイト(SNS)を通じて復興の現状を伝える一方、12月には台北市でメンバーがツアーを報告するイベントも予定している。
留学生や社会人ら24~32歳の男女5人による「福島前進団」は19日、中通り地方を回った。
このうち大学院生の謝秉澄さん(25)=京都市=は福島県須賀川市の農業設楽哲也さん(41)方を訪問。風評被害で首都圏の取引先を失い、市内の飲食店に通って野菜を直接売り込んだ経験談に耳を傾けた。
設楽さんの農園で収穫された旬のサトイモを使ったピザやスイーツも試食し、謝さんは「福島産の食べ物はどれもおいしい。素晴らしさを台湾に発信する責任感が強まった」と語った。
16日から県内全域に足を運ぶ一行は18日、廃炉作業が進む福島第1原発の構内も視察した。最終日の21日は福島大生との交流会に参加する。
ツアーを発案したのは在日台湾人らでつくる「東京台湾の会」の理事長を務める簡憲幸さん(66)=東京都中野区=。
台湾籍で日本で生まれ育った簡さんは「被災地の真の姿が台湾に伝わっていないのが悔しかった」と語る。発信力の高い若者が福島を歩き、ありのままを伝えれば風評被害の払拭(ふっしょく)や禁輸措置の解除につながると考え、復興支援のNPO法人「元気になろう福島」(福島県川内村)に企画を依頼した。
メンバーはフェイスブックなどを通じて台湾の賛同者を募り、1万人の登録を目指す。賛同者も今後、日台で開くイベントなどに参加してもらう方針だ。
リーダーの広告代理店経営呉廷中さん(32)=東京都新宿区=は「台湾人にとって原発事故があった福島は負の印象が強いが、われわれが新しいイメージに塗り替える」と意気込む。