2020年11月11日水曜日

女川原発再稼働「地元同意」へ

  女川原発2号機の再稼働の前提となる「地元同意」を巡り、宮城県は9日、全首長の意見を聴く市町村長会議を仙台市内で開きました。35首長のうち20人が発言し、会議は予定の倍となる約2時間に及びました。結果は村井・宮城県知事と立地2市町長の判断に委ねることになりました。

 村井知事は9日、再稼働に同意する方針を固め11日に須田善明女川町長、亀山紘石巻市長と最終協議し、正式表明します。
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女川原発再稼働「地元同意」へ 宮城知事、あす立地2市町長と協議
                        河北新報 2020年11月10日
 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を巡り、村井嘉浩宮城県知事は9日、再稼働に同意する方針を固めた11日に須田善明女川町長、亀山紘石巻市長と最終協議し、正式表明する。女川町議会と石巻市議会、県議会が賛成の陳情、請願を既に採択。仙台市で9日に開いた市町村長会議で首長から一定の理解を得たと判断した。
 村井知事は月内に梶山弘志経済産業相に伝える見通しで、再稼働の前提となる「地元同意」が成立する。東日本大震災で被災した原発の再稼働に向けた同意は初めて。
 市町村長会議では冒頭、新規制基準の審査に合格した2号機の評価、原発をベースロード電源と位置付ける国の姿勢などを県当局が説明。討議では東京電力福島第1原発事故の被害を念頭に、賛否を問わず多くの首長が2号機の安全性確保への懸念を表明した。
 賛成派は、立地2市町の議会と県議会が下した判断の重さを強調し、新規制基準に合格した安全性に言及。地球温暖化対策や国内のエネルギー自給率向上に原発が寄与するとの意見も出た。
 反対派は、重大事故時に数千人規模が同じ時間帯に逃げる広域避難計画の実効性の低さを主張。9年7カ月が過ぎた現在も続く原発事故の被害、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分といった課題について批判した
 「立地2市町長と知事が判断すべきだ」との立場から、賛否を示さない首長もいた。県民への具体的な恩恵など、判断材料となる情報が県から主体的に示されなかったとして「判断できない」との指摘もあった。
 発言を求められた須田町長は「県の判断を受け止めた上で回答したい」、亀山市長は「さまざまな意見を含めた上で総合的に考え、判断したい」とそれぞれ述べた。
 村井知事は、3者協議で結論を出す考えを提示。「この場で総意を見いだして賛否を決めたいと思っていたが、それぞれがまさに県民の声であり、正論だった。3人の同意をもって(結論を)まとめたい」と締めくくった。
 女川2号機は2月、原子力規制委員会の審査に合格。東北電は安全対策工事が終わる2022年度以降の再稼働を目指す。1号機は廃炉作業に入り、3号機は再稼働の申請を準備中。


女川原発再稼働 市町村長会議で賛否 「県民に新たな不安」「地元議会が熟慮し決断」
                        河北新報 2020年11月10日
 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働の前提となる「地元同意」を巡り、宮城県は9日、全首長の意見を聴く市町村長会議を仙台市内で開いた。首長の発言は賛否に加え、広域避難計画の実効性や東京電力福島第1原発事故の影響といった課題に及んだ。予定の倍となる約2時間の議論は、村井嘉浩知事と立地2市町長の判断に委ねるという「総意」を示した。

 市町村長35人の半数を超える20人がマイクを握った。相沢清一美里町長は「県民に新たな不安を背負わせる」と再稼働への反対を鮮明にした。「民意をないがしろにするのは地方自治の否定だ」として、同意手続きを着々と進める村井知事にくぎを刺した。
 重大事故時に原発30キロ圏の約20万人が県内31市町村に避難する計画の熟度を疑問視したのは、猪股洋文加美町長。石巻市から避難者を受け入れる想定を引き合いに、「図上訓練すらしていない。(県は)実効性を確保する努力をすべきだった」と批判した。
 避難計画で石巻、東松島両市から最大7万人を受け入れる仙台市。郡和子市長は「全ての市町村が統一した形での体制を作るべきだ」と注文した。

 原発事故から間もなく9年8カ月。今なお残る爪痕を踏まえ、懸念を示す首長も複数いた。
 山田周伸亘理町長は、福島第1原発と女川原発からの距離が共に約70キロと説明し、「放射性物質のモニタリング態勢はどうなっているのか」とただした。大沼克巳村田町長は、原発事故による農産物の風評被害について「今後絶対に起こしてはならない」と安全性確保の不断の努力を求めた。
 女川町、石巻市の各議会と県議会が再稼働容認の意思表示した事実を尊重する市町村長も少なくなかった。斎清志大河原町長は「女川、石巻の議会が地域の将来を見据え、熟慮の上で下した決断」と理解を示した。
 保科郷雄丸森町長は、原発事故の被害対応について県の姿勢を質問したが、立地2市町の判断に思いを寄せた。終了後、「町内に事故で発生した放射性廃棄物がいまだに置かれ、不安もある」と心情を明かした。
 発言しなかった首長も難しい判断を迫られた。伊藤康志大崎市長は「立地自治体の意思を受け止めたが、不安や疑問も残る。県が国や東北電にしっかり申し入れることが重要だ」と指摘した。