福井県高浜町議会は25日、運転40年を超えた高浜原発1、2号機の再稼働について、全員協議会を開き、町議会として再稼働への同意を正式決定しました。40年超原発について地元議会が同意するのは国内初です。
原発の原子炉の寿命は当初30年と見込まれ、炉内に設置された鋼板の強度を試験するためのテストピースは30年分しかありませんでした。それが福島事故後40年と定められると共に例外規定として「1回だけ、最長20年延長できる」として60年運転が認められたのでした。60年耐用できるというなにか証明でもあるのでしょうか。
例外だからある程度冒険が出来るというようなものではないのはいうまでもありません。
朝日新聞の社説「老朽原発 『40年』原則を思い出せ」を紹介します。
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(社説)老朽原発 「40年」原則を思い出せ
朝日新聞 2020年11月26日
東京電力福島第一原発の事故を受け、原発の運転は40年までとするルールができた。事故の恐れが相対的に強い老朽原発の廃炉を着実に進め、原発に頼らない社会にしていくためだ。
ところが、電力不足などに備えた「1回だけ、最長20年延長できる」との例外規定の適用で、40年を超す運転が現実になりつつある。看過できない。原則を思い出すべきだ。
1970年代に稼働した関西電力高浜1、2号機(福井県高浜町)の再稼働に、高浜町議会が同意した。原発の安全性を審査する国の原子力規制委員会が運転延長を認めてから4年。まだ高浜町長や福井県の議会と知事の同意手続きが残るが、国内初となる40年超運転が具体化に向けて動き出した。
原発が地域経済を支えてきた事情があるとはいえ、住民の安全を守るために議論を尽くしたか。10月末の高浜町での説明会では、事故時に避難路となる県道について、自然災害が重なった場合への懸念が出た。課題は解消されていない。
より問われるのは政府だ。
菅政権は「省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する」と強調する。しかし原発については規制委と地元自治体の判断に委ね、手続きが終わると再稼働に向かった安倍政権時代から、姿勢に変化は見えない。それどころか、経済産業省資源エネルギー庁の幹部が高浜原発の関係自治体を訪れ、再稼働への同意を働きかけてきた。
福井県内では、高浜原発とともに若狭湾沿いに立地する関電美浜原発3号機(美浜町)でも規制委が40年超運転を認めており、町議会は12月に再稼働について判断する予定だ。
大飯原発(おおい町)を含めて福井県で計11基を動かしてきた関電は美浜、大飯両原発の計4基の廃炉を決めたが、40年超運転がすべて実現すれば7基が残る。福島の事故が浮き彫りにした集中立地の危うさは消えないままだ。
老朽原発を閉じる姿勢をはっきりと示し、民間事業者の再エネへの投資を後押しする。原発に依存してきた自治体とともに地域社会の将来を考え、政策で支援していく。それが政府の務めではないか。
関電も考えを改める時だ。
元高浜町助役からの金品受領など一連の不祥事では、信頼回復への改革がなお途上にある。福井県内の原発に置いている使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外候補地を示すという県との約束も、見通しは不透明だ。
経済的にも疑問が多い古い原発に見切りをつけ、経営を転換する。それが責任ある対応だ。
高浜町議会の全員協議会「再稼働は必要」 老朽原発に同意
中日新聞 2020年11月26日
運転開始四十年超になる高浜原発1、2号機の再稼働に二十五日、同意した高浜町議会。意見集約の場となった全員協議会では、同意に十人が賛成し、反対の三人を大きく上回った。採決後、上尾徳郎議長は「拙速という意識はない」と議論を尽くしたことを強調した。議会の意向を受けた野瀬豊町長、県議会、杉本達治知事の判断が注目される。
町によると、歳入に占める原発関連収入の割合は二〇二〇年度当初は六割に迫る五十三億円。廃炉になれば減収は避けられない。
全協では議員から「地元経済の活性化や雇用確保のために再稼働は必要」との意見が相次ぎ、小幡憲仁議員は「地域の雇用や経済を支える重要な発電所。共存共栄の立場で進んでいく道が妥当」と賛成した。
反対議員らは「四十年超の老朽原発を動かすのは危険」などと主張。児玉千明議員は「住民への説明が不十分」としてさらなる議論を求め、松井昭人議員は「町だけが前のめりで、県とのずれを感じる」と現状では同意できないとした。
議会の意向を受けて手続きは次の段階へ。野瀬町長は再稼働の判断について「エネルギー基本計画における原子力の位置付けや廃炉後の地域振興策など、国や関電から納得のいく回答...
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高浜町議会、再稼働に正式同意 40年超原発では国内初
共同通信 2020/11/25
福井県の高浜町議会は25日、運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機を巡り、全員協議会を開き、町議会として再稼働への同意を正式決定した。40年超原発について地元議会が同意するのは国内初で、再稼働すれば、東京電力福島第1原発事故後に「原則40年、最長で延長20年」のルールができて以降初となる。
再稼働には町と県の各議会と首長の4者から同意を取り付けるのが通例。杉本達治知事は、関電による使用済み核燃料の県外搬出先の年内提示が同意の前提との認識を示しており、議論の行方には不透明感もある。