2020年11月7日土曜日

避難時の課題は情報提供 渋滞対策  那珂市・市民アンケート

  東海第二原発から30キロ圏内にある那珂市は、深刻な事故が起きた際全市民約53千人が、筑西、桜川の二市の避難所に、自家用車で避難する計画です。原発事故時の広域避難に関する市民アンケートを行った結果「避難における課題」(複数選択可)を聞いたところ、「正確かつ迅速な情報提供」を選択したのが80%、「道路の渋滞対策」が70%を超えました。複合災害時の道路の分断や通行止めを課題とした人は37でした。

 また「長期の避難生活と補償」と「避難先の受け入れ体制の確立」を選択したのが、それぞれ50%以上でした。
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情報提供、渋滞 課題に 東海第二広域避難 那珂市・市民アンケート
                          東京新聞 2020年11月5日
 東海村の日本原子力発電東海第二原発から三十キロ圏内にある那珂市は、原発事故時の広域避難に関する市民アンケートの結果を公表した。情報提供や避難時の渋滞対策、長期の避難生活などを課題に挙げる人が多かった。「指定された避難所を把握していない」という意見も多く、実際の避難時に混乱する可能性が浮き彫りに。再稼働反対を訴える声もあった。(松村真一郎)
 調査は、避難時の行動などを問う計十二問で、一部を除いて選択式。四〜五月、住民基本台帳から無作為抽出した市内に住む十八歳以上の世帯主二千人を対象に実施し、千十四件(50・7%)の回答を得た。
 那珂市では東海第二で深刻な事故が起きた際、全市民約五万三千人が、自治会ごとに筑西、桜川の二市の避難所に、原則的に自家用車で避難するとしている。
 調査で「避難における課題」(複数選択可)を聞いたところ、「正確かつ迅速な情報提供」を選択したのが80%、「道路の渋滞対策」が70%を超えた
 地震などとの複合災害時の道路の分断や通行止めを課題とした人は36・7%だった。
 避難所にたどり着いてからの暮らしにも不安を抱える人が多かった。「長期の避難生活と補償」と「避難先の受け入れ体制の確立」を選択したのが、それぞれ50%以上だった。
 一方、回答者の56・2%が、市が指定する避難所に避難すると答えた。そのうち、八割以上が自家用車で避難するとした。ただ「避難所がどこか分からない」という意見が多く寄せられた。
 調査では、指定避難所を把握しているかを問う設問は盛り込まれなかった。この点に、市防災課の小林尚人主事は、二〇一七年度に原子力災害の「避難ガイドマップ」を市内全戸に配布したとした上で「周知したと思っていた。ガイドマップの改訂も含めて、普及啓発に努める」と話した。
 自由記述では、「再稼働に反対」「再稼働しなければ、災害発生の心配はない」「電力供給は足りている」「原子力に代わるエネルギーを考えるべきだ」と再稼働に否定的な声があった。
 また、新型コロナウイルスに関する設問はなかったが、感染症対策を踏まえた避難の見直しを訴える意見も寄せられた。
 市はこの調査と同時期に、市内の高齢者や障害者ら自力での避難が難しい避難行動要支援者千四百四十三人にもアンケートした。回答は八百二十九件(57・4%)だった。
 このうち、避難先でのケアが不安などの理由で、約20%が「避難は難しい」と回答。60%以上は指定避難所に避難すると答えたものの、そのうちの約三割は、避難時に家族や親戚以外の支援が必要とした。
 調査結果は、市のホームページで公開している。市は本年度中に、近接する複数の自治会単位で、地域住民らが原発事故時の避難などについて話し合う図上訓練をする方針だったが、新型コロナの影響で見送る。