市民グループ「いばらき原発県民投票の会」の鵜沢恵一共同代表らは19日、記者会見し、東海第二原発の再稼働について県民が意思表示する機会をつくるために、県民の意見を聴く方法の検討や実現を知事や県議会に働き掛ける「県議会アプローチ」、再稼働に関する情報収集や学習会を担う「原発情報」、対話カフェ開催や地域のネットワークづくりに当たる「カフェ・ネットワーク」の三つの部会を設け、取り組みを進めることを明らかにしました。
また同日、県民が意思表示する方法を検討する「東海第二原発再稼働問題調査特別委員会」を県議会に設置するよう求める要望書を、森田悦男議長宛てに提出しました。
会の共同代表三人のうち徳田氏と姜氏が退任し、当面は鵜沢氏が一人で務め、事務局長には富岡彰氏が就いたことを発表しました。
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「県民投票の会」活動継続 「東海第二再稼働 意思表示を」 条例制定、再挑戦も
東京新聞 2020年11月20日
市民グループ「いばらき原発県民投票の会」の鵜沢恵一共同代表らは十九日、県庁で記者会見し、日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働について県民が意思表示する機会をつくるための活動を今後も続けると発表した。同会が大井川和彦知事に直接請求した県民投票条例の制定は県議会の否決で頓挫したが、再挑戦も視野に入れている。(宮尾幹成)
県民投票の会は五月、九万筆近い署名とともに「東海第二原発の再稼働の賛否を問う県民投票条例」の制定を知事に直接請求した。知事が県議会六月定例会に提出した条例案は、共産党、立憲民主党などの賛成少数で否決された。
鵜沢共同代表は、直接請求と条例案審議までこぎ着けたことについて「広い意味での『民主主義の共通体験』のプラットフォーム(基盤)となり得た」と総括した上で、「(署名した)九万人の思いが宙に浮いてしまっている」と強調。「県民の声を県政に反映させるため、まだまだできることがある」と活動継続の狙いを説明した。
具体的には、県民の意見を聴く方法の検討や実現を知事や県議会に働き掛ける「県議会アプローチ」、再稼働に関する情報収集や学習会を担う「原発情報」、対話カフェ開催や地域のネットワークづくりに当たる「カフェ・ネットワーク」の三つの部会を設け、取り組みを進める。
メンバーには再稼働への賛否を問わず、「さまざまな立場の個人・団体・組織と等しい距離でゆるやかにつながる」としてきた従来の姿勢は堅持するとした。
また、同会は十九日、県民が意思表示する方法を検討する「東海第二原発再稼働問題調査特別委員会」を県議会に設置するよう求める要望書を、森田悦男議長宛てに提出した。
要望書は、東海第二の事故対策工事が二〇二二年十二月に完了予定で、県は早ければ二三年初めにも再稼働の判断を迫られると指摘。条例案審議で「練られた民意を得るための最良の手段について議会の中でより活発に議論していく」(自民党の飯塚秋男氏)といった発言が出ていることを踏まえた。色よい反応がなければ、陳情や請願なども検討するという。
県議会の自民党が十月、条例案の採決で反対した会派のみに声を掛け、「超党派」と称する「原子力政策研究会」を設立したことに対しては、鵜沢共同代表は「違和感はあるが、突っ込んで異を唱える気持ちはない。自分たちのできることを一生懸命やる」と静観する考えを示した。
同会の共同代表三人のうち徳田太郎氏と姜(かん)咲知子氏が退任し、当面は鵜沢氏が一人で務めることも発表。事務局長には富岡彰氏が就いた。