東海第二原発の再稼働問題などについて「情報を共有する」ためとして県議会有志の「原子力政策研究会」が29日に発足し、総会には県議約40人に加え、約80人の市町村議が出席しました。
東海第二の再稼働に反対する共産党や立憲民主党は含まれず、排除された県議からは「全員に声をかけるのが筋では」との声もが上がっています。共産党の山中泰子氏は「県民は開かれた場での議論を求めている。議会の中に原子力に関する特別委員会を設置するべきだ」と指摘しています。
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東海第二再稼働 自民県議らが研究会発足 反対の共産、立民含まれず
東京新聞 2020年10月30日
日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働問題などについて情報共有する県議会有志の「原子力政策研究会」が二十九日、発足した。「超党派」と銘打つものの、東海第二の再稼働に反対する共産党や立憲民主党は含まれず、参加したのは最大会派いばらき自民党と公明党、旧国民民主党系、一部無所属のみ。排除された県議からは「全員に声をかけるのが筋では」との声も上がる。(宮尾幹成)
この日、水戸市内のホテルで設立総会が開かれ、会長に自民の海野透県議(ひたちなか市)、幹事長に自民の下路健次郎県議(東海村)を選任。他の役員にも、東海第二の事故に備えて避難計画の策定が義務づけられている三十キロ圏の十四市町村を選挙区とする県議が主に就いた。
海野氏は「一層の研さんを積み重ね、原子力の前進を図りたい。東海第二再稼働に向けてもご意見を頂戴できれば」とあいさつ。一九五七年に日本最初の「原子の火」が東海村に灯った本県の歴史に触れ、「原子力をエネルギーだけでなく科学技術として捉え、発展させていかなければならない」と強調した。
研究会設立のきっかけは、県議会六月定例会で否決された「東海第二原発の再稼働の賛否を問う県民投票条例案」だ。審議の中で、原子力問題について超党派で議論できる場を設けるべきだとの意見が多く出たのを踏まえ、海野、下路両氏らが準備を進めてきた。
条例案に反対した自民(四十二人)、旧国民系の県民フォーラム(五人)、公明(四人)と無所属の三人に入会を呼びかけたところ、ほぼ全員が応じた。県民フォーラムのうち、立民への合流を検討している設楽詠美子氏(筑西市)は加わらなかった。
一方、条例案に賛成した共産(二人)と立民(一人)、無所属の二人には声をかけなかった。海野氏は「原子力そのものに否定的だから」と説明するが、参加を求められれば「寛容の精神」で拒まないとした。
立民の玉造順一氏(水戸市・城里町)は「県議はそれぞれが県民の代表。立場が違っても、全員で議論してこそ議会の役割を果たせる」と疑問を呈した。共産の山中泰子(たいこ)氏(つくば市)は「県民は開かれた場での議論を求めている。議会の中に原子力に関する特別委員会を設置するべきだ」と指摘する。
県民投票条例の制定を大井川和彦知事に直接請求した住民グループの共同代表を務めた徳田太郎氏は、「研究会をポーズやアリバイにとどまらないものにするには、少なくとも全会派を包摂し、継続的かつ実質的な議論が行われるなどの条件を満たすようにするべきだ」と注文を付けた。
総会には県議約四十人に加え、約八十人の市町村議も出席した。東海第二再稼働反対などの意見書を採択する県内市町村議会が相次いでいる状況への危機感から「彼らとも情報共有したい」(下路氏)との狙いで参加を求めたという。
総会では、原発推進派の論客として名高い奈良林直(ただし)・東京工業大特任教授(原子炉工学)が「再エネと原子力のベストミックス」と題して講演した。