2022年3月12日土曜日

原発ゼロ 決断求める 共産党の笠井亮氏・岩渕友氏 衆・参院予算委で

 福島原発事故から11共産党の笠井亮議員は衆院経済産業委で9日、岸田政権が昨年閣議決定した「第6次エネルギー基本計画」のもとで、安全性確保が大前提としながら原発再稼働に進む姿勢を厳しくただしました。
 笠井氏は、規制委に再稼働の前提となる申請をした原発は審査終了を含めて27基であり、30年度末には12基の原発の運転期間が原則の40年を超えることを指摘し、「規制委員会の審査はすべて合格という結論ありきだ」と批判しました。
 また共産党の岩渕友議員は10日の参院予算委で、原発事故がふるさと・人生を丸ごと奪い続け、被害者を苦しめ続けていると指摘し、原発ゼロの決断をするよう求めました。
 岩渕氏の論戦ハイライト」を含めてしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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再稼働ありきの姿勢 エネルギー基本計画 笠井議員が批判 衆院経産委
                        しんぶん赤旗 2022年3月11日
 東京電力福島第1原発事故から11年。日本共産党の笠井亮議員は衆院経済産業委員会で9日、岸田政権が昨年閣議決定した「第6次エネルギー基本計画」のもとで、安全性確保が大前提としながら原発再稼働に進む姿勢を厳しくただしました。
 基本計画は2030年度の電源構成で原発を20~22%としています。笠井氏が、どの原発の稼働を見込んでいるのか質問したのに対し、萩生田光一経済産業相は「25~28基程度の稼働で達成は可能」としつつ、根拠となる具体的な原発は答えませんでした。
 笠井氏は、規制委に再稼働の前提となる申請をした原発は審査終了を含めて27基であり、30年度末には12基の原発の運転期間が原則の40年を超えることを指摘。「規制委員会の審査はすべて合格という結論ありきだ」と批判しました。
 定期検査間隔の拡大や運転期間の検討について経済産業省が「官民一体で開始すべき」だとして、電気事業連合会(電事連)がこれらを強く求めていることを追及。萩生田氏が「規制を緩めるのは前提ではない」と強弁したことに対し、笠井氏は「電事連や原発産業界の要求に応えているだけだ」と批判し、「再生可能エネルギーへの転換の時」だと主張しました。


東日本大震災・原発事故きょう11年
原発ゼロ 決断求める 岩渕氏 少ない賠償 見直し急務 参院予算委
                       しんぶん赤旗 2022年3月11日
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11年。日本共産党の岩渕友議員は10日の参院予算委員会で、原発事故がふるさと・人生を丸ごと奪い続け、被害者を苦しめ続けていると指摘し、原発ゼロの決断をするよう求めました。(論戦ハイライト=下掲
 岩渕氏は冒頭、ロシア軍が、ウクライナのザポロジエ原発を攻撃し、占拠するチェルノブイリ原発で電源供給が途絶えていることにふれ、「東電福島第1原発事故のような爆発を起こしたら、被害は全世界に及ぶ」と批判しました。
 岸田文雄首相は「原子力施設に対するロシアの一連の行動を非難するとともに、ロシアに対してこのような行為を即座に停止するよう求める」と答弁。岩渕氏は、「私は福島県の出身だ。原発事故の被害が今もどれだけ多くの人を苦しめているか。ロシアの蛮行は絶対に許されない」と満身の怒りを込めて告発し、唯一の被爆国、原発事故を経験した国として厳重に抗議するよう求めました。

 その上で岩渕氏は、東電福島第1原発事故で避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟)、群馬訴訟、千葉訴訟の集団訴訟で、最高裁が東京電力の上告を退ける決定を行い、東京電力の責任が初めて確定していることに言及。いずれも賠償の目安を定めた国の『中間指針』を上回る損害を認めている」とし、訴訟を踏まえ「中間指針の見直しをすぐに行うべきだ」と迫りました。
 岸田首相は「賠償すべき損害の範囲や項目など考えが異なる判決が複数言い渡されている。文部科学省に設置された原子力損害賠償紛争審査会で議論するものだ」と答弁。岩渕氏は「事故から11年がたつ。被害者のことを考えれば、今すぐやるのが当然だ」と迫りました。


論戦ハイライト
原発事故の責任果たせ 参院予算委 岩渕議員の追及
岩渕 漁業者の理解得る約束を反故
首相 海洋放出は避けては通れない
岩渕 放出回避へ英知結集を
                       しんぶん赤旗 2022年3月11日
 「まず除染が前提だ」―。岩渕氏は原発事故による原子力緊急事態宣言がいまだ解除されず、避難を強いられている人が福島県で3万人を超える中、帰還困難区域全域の除染こそ必要だと訴えました。
 岩渕氏は、帰還困難区域の福島県浪江町津島の養鶏場では「原発事故当時、4万羽の鶏を飼育していたが、避難せざるを得ず、鶏が骨だけの状態で残されていた」と指摘。事故から11年たっても、「生まれ育った場所、景色やにおい、先祖代々の家や土地、山々など、ふるさと・人生そのものを丸ごと奪い続けているのが原発事故だ」と告発しました。

 岩渕 現状や思いを聞いてどう思うか。
 岸田文雄首相 重く受け止めないといけない。
 岩渕氏は、帰還困難区域が東京23区の面積の半分以上あるとして、全住民が避難する双葉町では「戻りたい」「迷っている」は4~5割いると指摘。政府が昨年8月に決定した特定復興再生拠点区域以外の地域について帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を進めるとの方針にかかわって除染箇所をただすと、経済産業省の須藤治・福島復興推進グループ長は「自宅と道路などが想定される」と答えました。

 岩渕 避難解除にあたって全域の除染を行うべきだ。
 首相 まずは(昨年8月の)方針を踏まえて取り組みを進める。
 岩渕氏は、「住民は『自宅と道路だけ除染されても戻れない』と声を上げている。原発事故を起こし除染もまともにやらないなど、許されない」と強調しました。
 岩渕氏は、政府が昨年4月に福島第1原発事故で発生する汚染水(アルプス処理水)の海洋放出を決定した問題で、「県内7割の議会が『反対』『慎重』な対応を求めている」と強調。同県漁連が15年8月、「漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対行わないこと」との要望に、東京電力と経済産業相は「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と回答したと指摘しました。

 岩渕 約束を反故(ほご)にしたのではないか
 文挟誠一東京電力副社長 反故にしたとは考えていない。今後、風評被害を最大限抑制するため、全力で取り組んでいく。
 首相 (燃料デブリ取り出しや廃炉作業のスペース確保で)敷地がひっ迫するなか、海洋放出は避けては通れない。懸念を払拭(ふっしょく)するよう説明を尽くす。
 岩渕 沿岸地域、漁業全体の重要な問題にもかかわらず説明さえ行われていない
 岩渕氏は、原発事故で溶けた燃料などが冷えて固まった燃料デブリが推定880トンあり、「廃炉ロードマップの見直しがない」と批判しました。

 岩渕 燃料デブリを取り出す見通しも示していない。一方で、海洋放出ありきだ。
 首相 海洋放出が現実的な対応だ。
 岩渕氏は、福島原発の北側にタンク置き場に活用できる空き地があることや、汚染水を減らす方法を専門家が提案していることを示し、「タンク保管を継続させて、その間にあらゆる英知を結集し、海洋放出以外の方法を進めるべきだ」と主張しました。