国際原子力機関(IAEA)は9日、ロシア軍が占拠したウクライナ南東部のザポロジエ原子力発電所について、核物質監視システムからの通信が途絶えていると発表しました。前日には、チェルノブイリ原発についても、放射性廃棄物施設からのデータ送信が途絶えたと明らかにしています。
日米など9か国は、ウクライナ政府に原子力施設の技術支援を申し出て、ウクライナ側の要請に応じて、原発の安全や事故時の緊急対応などに関する専門技術で支援する姿勢を示しました。
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ロシア占拠のザポロジエ原発、核監視データ停止 IAEA
ロイター 2022/3/10
[ウィーン 9日 ロイター] - 国際原子力機関(IAEA)は9日、ロシア軍が占拠したウクライナ南東部のザポロジエ原子力発電所について、核物質監視システムからの通信が途絶えていると発表した。
IAEAは前日、ウクライナ北部のチェルノブイリ原発についても、放射性廃棄物施設からのデータ送信が途絶えたと明らかにしている。
IAEAは声明で「(グロッシ事務局長は)使用済み、もしくは未使用核燃料などの形で大量の核物質がある両原発からIAEA本部へのデータ送信が突然途絶えたことを懸念している」と述べた。
原因は定かでなく、データ送信が止まった機器の状態は不明とした。ウクライナの他の原発からのデータ送信は続いているという。
IAEAによると、ザポロジエ原発からの報告では、外部の高圧電線4本のうち2本が損傷し、現在使用できるのは2本になっている。必要なのは1本で、5本目が待機しているほか、バックアップのディーゼル発電機もあるという。
また、原子炉1基の変圧器について、同原発一帯で戦闘が起きた今月4日以降に冷却システムに損傷が見つかり、緊急修理が行われているとした。
日米など9か国、ウクライナ政府に原子力施設の技術支援申し出…事故時の緊急対応など
読売新聞 2022/3/10
原子力規制委員会は9日、日米など9か国の規制当局で作る「国際原子力規制者会議」が、ウクライナ政府に対し、原子力施設の安全に関する技術支援を申し出る書簡を送ったと発表した。
同会議は、日米のほかイギリス、フランス、ドイツ、カナダ、韓国、スペイン、スウェーデンが参加し、現在は日本が議長国を務めている。書簡では、ロシアによる原子力施設への軍事行動と威嚇を非難し、ウクライナへの支持を表明。ウクライナ側の要請に応じて、原子力の安全や事故時の緊急対応などに関する専門技術で支援する姿勢を示した。