2022年3月14日月曜日

「バックフィット」対象の高浜原発を停止するよう求めた裁判で訴えを棄却 名古屋地裁

 高浜原発の再稼働の規制基準審査に当たって当初想定した大山噴火時の降灰量が、その後の降灰量データの発見によって過少であったことが分かり降灰対策を見直しました。
 現在、同原発の3号機と4号機が運転されていますが、原発では安全上の配慮から新に定められた基準は、施工済みの原発に対しても適用されるという「バックフィット」条項があるので、本来であれば稼働は認められない筈です。
 福井県高浜町や名古屋市などの住民9人が、規制委員会に運転停止を命じることを求めていた裁判で、名古屋地裁は10日、原告の訴えを退けました。理由は「噴火が差し迫った状況にないとする原子力規制委の判断は間違っていない」というものです。
 しかし「噴火の余地は出来ない」というのが火山学会の定説なので、噴火は差し迫っていないというのは、単なる「予断」ではないでしょうか。
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「バックフィット」対象の高浜原発を停止するよう求めた裁判 住民の訴え棄却 名古屋地裁
                        中京テレビNEWS 2022/3/11
福井県にある関西電力の高浜原子力発電所について、火山の噴火への対策が不十分だとして、福井県高浜町や名古屋市などの住民9人が国に運転停止を命じることを求めていた裁判で、名古屋地裁は10日、原告の訴えを退けました。
裁判で原告は、鳥取県の大山の噴火規模の想定が見直されたにもかかわらず、高浜原発3号機と4号機が安全確認をしないまま運転を続けているとして、国の原子力規制委員会に運転の停止命令を求めていました。
名古屋地裁・日置朋弘裁判長は「火山活動で事故が起こった場合、重大な損害が生じるおそれがある」と指摘した一方で、「噴火が差し迫った状況にないとする原子力規制委員会の判断に裁量権の範囲の逸脱はない」などとして原告の訴えを退けました。
判決を受け、原告側は「原発の危険性を認めながら、停止命令を出さないことは矛盾している」などと批判していて、控訴を検討しているということです。

この裁判は、2019年に大山の火山灰などの噴出想定に基づいて原発の安全対策が見直されることになったことがきっかけとなっています。見直しは、東京電力・福島第一原発の事故を教訓に自然災害の影響など新たな知見が得られた場合には、電力会社に対応を求める「バックフィット」が適用されたことを受けたものです。
ただ、原子力規制委員会がバックフィット適用を命じたものの運転停止まで求めなかったことから、住民が今回の訴訟を起こしていました。


「大山噴火の際、火山灰への対策不十分」国に高浜原発の停止命令出すよう求めた裁判 住民らの訴えを棄却
                           東海テレビ 2022/3/11
 福井県にある高浜原発は、火山灰への対策が不十分として、住民らが国に対し停止命令を求めた裁判で、名古屋地裁は訴えを棄却しました。
 訴えを起こしていたのは、高浜町や名古屋市に住む住民ら9人で、高浜原発で稼働中の2基は鳥取県の大山が噴火した際の火山灰対策が不十分だとして、国の原子力規制委員会に対し稼働の停止命令を出すよう訴えていました。
 高浜原発の2基を巡っては、3年ほど前に、噴火の規模が従来の想定を超えるとの新たな知見に基づき、原子力規制委員会が対策を命じていましたが、裁判では停止命令を出さないことが違法かどうかが争点となっていました
 10日の判決で名古屋地裁は、「対策が確認されておらず、安全性に欠ける可能性がある」とした一方で、「活火山ではないとして停止を命じなかった判断は裁量権の範囲を逸脱しない」などとして、訴えを棄却しました。
 原子力規制委員会は、「新たな科学的・技術的知見を入手することに努め、厳正な規制を進めて参りたい」とコメントしています。