2022年3月23日水曜日

電力逼迫も原発再稼働にハードル 綱渡り続く

 東京電力と東北電力の管内に初の「電力需給逼迫警報」されたのは、16日の地震の影響で東日本の一部の火力発電所が運転停止になったためです。自民党内には原発の再稼働を促進する議連が出来ていますが原発の再稼働を急ぐというのは論外で、しばらくは綱渡りの運用が続くということです。

 産経新聞が報じました。
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電力逼迫も原発再稼働にハードル 政府、続く綱渡り
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政府が東京電力と東北電力の管内に初の「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」を出した背景には、原子力発電所の運転停止などによる慢性的な電力の供給力不足がある。岸田文雄首相は原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発に限って活用する方針だが、周辺住民の理解などハードルは高い。一方、ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格は急騰している。今夏にも再び電力不足に陥る可能性があり、政府の綱渡りは続く。
「世界でも最も厳しい水準の新規制基準に適合すると認められた場合のみ、地元の理解を得ながら(原発の)再稼働を進めるのが政府の方針だ」
松野博一官房長官は22日の記者会見で、原発の再稼働はあくまで新規制基準の要件を満たすことが前提だとの立場を強調した。

国内の原発36基(建設中含む)のうち平成23年の東電福島第1原発事故後に一度でも再稼働した原発は10基にとどまる。事故後に策定された新規制基準のクリアに数年を要しているのが実情だからだ。安全審査などに加え、地元自治体をはじめとした周辺住民の理解を得る必要もある。
また、新規制基準を満たすうえでハードルとなっているのが、航空機の衝突などのテロに備えた特定重大事故等対処施設(特重施設)の建設だ。建設には一定の猶予期間が与えられているものの、間に合わなければ運転を停止する必要がある。関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)は再稼働に必要な安全対策工事を完了し、地元自治体の同意も得たが、特重施設が完成していないため再稼働に至っていない。
再稼働が進まない原発の穴埋めをしてきたのが火力発電所だったが、ウクライナ侵攻の影響で燃料となる原油や液化天然ガス(LNG)の価格は高騰している。そこに、16日の地震の影響で東日本の一部の火力発電所が運転停止になったことが、今回の警報につながった。経済産業省幹部は「日本のエネルギー構造の脆弱(ぜいじゃく)さがあらわになった。何とかやってきたが、綱渡りだった」と打ち明ける。
首相は22日の参院予算委員会で「エネルギー安全保障の観点からもしっかり電力供給に取り組んでいかなければならない」と強調した。