2022年3月9日水曜日

09- 福島原発周辺8町村 1514人が震災関連死

 毎日新聞は福島県内の自治体に、震災関連死の認定を巡って遺族が提出した書類の開示を請求し書類は死亡に至るまでの経緯書などで、内容を分析しました。それによると
 ほぼ全住民が県内外に避難した福島県双葉郡の8町村で、1514人が震災関連死に認定され、少なくとも1025人は3回以上にわたって避難先を移転していたことが判明しました。1514人のうち136人は16年以降に死亡しており、長期化する避難生活が被災者を追い込んでいることがうかがえます。
 県全体で震災関連死と認定された人は2331人で、直接死(1605人)の約15倍に達しています
 双葉郡8町村で震災関連死と認定された1514人について、死亡するまでの間に避難先を移転した回数を調べたところ、3回以上移転していた人が少なくとも1025人いました。
 双葉郡8町村の1514人と、第1原発の半径20キロ圏内に避難指示が出た南相馬市で震災関連死と認定された520人の計2034人について調べると、80代以上が7割を占めました。
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福島原発周辺8町村 1514人が震災関連死 7割が3回以上移転
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 2011年3月の東京電力福島第1原発事故で避難指示が出され、ほぼ全住民が県内外に避難した福島県双葉郡の8町村で、1514人が震災関連死に認定され、少なくとも1025人は3回以上にわたって避難先を移転していたことが判明した。この1年の間にも新たに11人が認定された。1514人のうち136人は16年以降に死亡しており、長期化する避難生活が被災者を追い込んでいることがうかがえる。
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 毎日新聞は福島県内の自治体に、震災関連死の認定を巡って遺族が提出した書類の開示を請求した。書類は死亡に至るまでの経緯書などで、内容を分析した。県全体で震災関連死と認定された人は2331人で、直接死(1605人)の約1・5倍に達している。
 双葉郡8町村(浪江、双葉、大熊、富岡、楢葉、広野の6町、葛尾、川内の2村)で震災関連死と認定された1514人について、死亡するまでの間に避難先を移転した回数を調べたところ、3回以上移転していた人が少なくとも1025人いた。このうち248人が3回、267人が4回、211人が5回、299人が6回以上、避難先を移転していた。22回移転していた人もいた。
 双葉郡8町村の1514人と、第1原発の半径20キロ圏内に避難指示が出た南相馬市で震災関連死と認定された520人の計2034人について調べると、80代以上が7割を占めた。既往歴のある人は8割で、肺炎や心疾患が死因となった人が多かった。長期避難でうつ病になったり認知症を悪化させたりした人も多数いた。
 復興庁によると、東日本大震災で被災した岩手、宮城両県で震災関連死と認定された人の9割以上は、震災から1年以内に死亡していた。これに対し、双葉郡8町村と南相馬市では、1年を過ぎてから関連死で亡くなった人は全体のほぼ半数を占めている。
 遺族からの震災関連死の申請は今も続いている。しかし年月の経過で死亡との因果関係は分かりづらくなっており、認定率は低下している。双葉郡で最多の454人が認定された富岡町では、12年度の94%(申請88件のうち認定83件)に対し、19~21年度は38%(計45件のうち認定17件)まで下がっている。【寺町六花、尾崎修二】

◇震災関連死
 地震に伴う建物倒壊や津波などによる直接的な死ではなく、震災後の避難生活による体調の悪化などで死亡したことを指す。災害弔慰金制度に基づき、医師や弁護士らで構成する審査会が遺族から申請を受けて審査し、自治体が認定する。認定された場合は遺族に最大500万円が支給される。復興庁によると、東日本大震災では2021年9月末現在、10都県で3784人が認定された。