2022年3月6日日曜日

東電の責任確定も賠償額「実態に見合わず」 避難者集団訴訟

 福島原発事故で避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた3件の集団訴訟で2日、最高裁は東電の上告を退ける決定をし3600人に総額約13億9千万円の支払いを命じた部分が確定しました。

 4日に記者会見した原告らは「賠償額は被害の実態に見合っていない」と複雑な心境を語り、被災者の早期救済を訴えました。賠償額は平均で38万円になりますが、原告の大半が自主避難者群馬訴訟確定した東電の賠償額は25万円程度にとどまりました。
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賠償「実態に見合わず」 避難者集団訴訟、東京電力の責任確定
                        福島民友 2022年03月05日
 東京電力福島第1原発事故を巡り、避難者らが国と東電に慰謝料などを求めている集団訴訟で初めて、東電の賠償責任が確定した。ただ、4日に記者会見した原告らは「賠償額は被害の実態に見合っていない」と複雑な心境を語り、被災者の早期救済を訴えた。
 「9年間の裁判は長くもあり、あっという間だった。賠償額は被害実態を踏まえると不十分で残念だ」。浪江町から千葉県に避難した原告の一人、瀬尾誠さん(69)は肩を落とす。避難後も共に過ごした住民や原告を思い出しては何度も連絡を取り合ったり、県内に戻った知人を訪ねたりしてきた。気持ちは常に本県に置いたままだ。「避難は終わっていないし、被害は続いている。速やかに救済してほしい」と求める。

 群馬県に避難する住民による群馬訴訟は、原告の大半が自主避難者。訴訟で確定した東電の賠償額は25万円程度にとどまった。いわき市から避難した丹治杉江さん(65)は「自主避難という立場でいじめも生活困窮もたくさんあった。避難区域内と区域外の差は何があるのか。これでひと区切りついたが、喜びは半分」と語った。
 事故後も自宅がある相馬市にとどまり、食料品店を続ける福島訴訟の中島孝さん(66)は「大震災、原発事故、そして裁判と闘うことを強いられ、既に多くの仲間が亡くなった。国は早急に原発事故の責任を認めるべきだ」と訴えた。