2025年3月31日月曜日

屋内退避 継続判断は3日後 規制委検討チーム報告書 「一時外出は必要」明記

 原発事故時に被ばくを低減するために行う屋内退避の運用について原子力規制委の検討チームは28日、報告書をまとめました。屋内退避開始から3日後を退避の継続を判断する最初のタイミングの目安とし、その後も退避継続が基本としています。
 原発事故と自然災害が同時に起きる複合災害については「自然災害対応との連携を強化することが極めて重要」との記載にとどま「(家屋の損壊問題については)規制庁だけで解決できない」とするのみでした。
 多くの自治体が「複合災害の前提なしに避難計画の実効性が図れない」と悩んでいるのに、ではどの部署がそれを検討をするのかも示さないのでは、屋内避難の問題はそこから何も進みません。
 1年余りもかけて検討チームに一体何を検討させたのか規制委の責任は重大です。
 また避難路の混雑を避けるために当初(の3日間程度は)「5~30キロ圏内は屋内退避」するということでスタートした筈なのに、3日以降も放射性プルームの発生がなくならない限り継続するというのも「安易でしかも重大」な変更です。
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屋内退避 継続判断は3日後 規制委検討チーム報告書 「一時外出は必要」明記
                      しんぶん赤旗 2025年3月29日
 原発事故時に被ばくを低減するために行う屋内退避の運用について原子力規制委員会の検討チームは28日、報告書をまとめました。屋内退避開始から3日後を退避の継続を判断する最初のタイミングの目安とし、その後も退避継続が基本としています。近く規制委に報告され、原子力災害対策指針(原災指針)への反映などを検討します。
 報告書は原発事故と自然災害が同時に起きる複合災害について、「自然災害対応との連携を強化することが極めて重要」との記載にとどまっています。しかし、2月の意見照会で43自治体から寄せられた約250件の意見の中には、「(複合災害の前提なしに)避難計画の実効性が図れない」と、複合災害時の対応の具体化を求める意見が複数ありました。
 原災指針では、事故が発生し周辺住民に放射線の影響の恐れがある場合は、原発から5キロ圏内(PAZ)の住民は避難を実施。5~30キロ圏内(UPZ)の住民は屋内退避し、その後、空間放射線の測定結果に応じて避難などに移行することになっています。
 しかし、昨年1月の能登半島地震では、断水や家屋の倒壊、避難道路の寸断、一部の放射線防護施設が損傷。同県にある北陸電力志賀原発は運転停止中でしたが、仮に事故が起きていれば多くの住民が屋内退避も避難も困難な状態でした。
 規制委は、原災指針の考え方を変更する必要はないとした上で、屋内退避の実施期間などについて検討チームで昨年4月から議論。
 報告書は、屋内退避実施3日後も、プルーム(放射能雲)対策が必要な場合は、屋内退避の継続を基本として、継続可能かどうかを日々判断。生活の維持が難しいと判断されれば、国が地域ごとに避難への切り替えを判断し、指示することが適切としています。一時的な外出も退避の継続上、必要な行為と明記しています。


原発事故「屋内退避」報告書まとまる 複合災害の課題は積み残し
                            毎日新聞 2025/3/28
 原発事故時に5~30キロ圏内の住民に求める「屋内退避」の運用を見直す原子力規制委員会の検討チームは28日会合を開き、退避の期間や解除の条件などを示した報告書をまとめた。一部の自治体が意見を出していた、地震などを伴った複合災害への対応や退避中の生活支援などについては引き続き検討するとして対策を先送りした。4月の規制委定例会で報告書を説明し、原子力災害対策指針に反映する項目を諮る。
 報告書は、屋内退避の開始から3日後を目安に継続の可否を判断し、避難への切り替えを慎重に検討するとした。物資の調達や医療など最低限の外出は認め、屋内退避の継続を基本とする。退避を解除する要件として、放射性プルーム(放射性物質を含む雲)が新たに到来する可能性がなく、滞留していない場合とした
 報告書を巡っては、2月に案が公表され、自治体への意見照会では計43自治体から約250件の意見が提出された。この日の会合では全ての意見が公表され、「屋内退避の運用を改めて検討する必要がある」(石川県)「政府全体として想定される事象に優先順位をつけ、対応の検討を」(福島県)と複合災害などへの具体的な対応策を求める声が相次いだことが明らかになった。しかし、報告書は「自然災害への備えが重要」とする従来の方針を維持。「規制庁だけで解決できない」として、新たな対応策は盛り込まなかった
 出席者から「複合災害についてどう議論するつもりか」「留保事項が結構ある。誰がやるのか示してほしい」など修正を求める声が上がったが「関係機関と連携して取り組みを進める必要がある」と追記するにとどまった。検討チームは自治体から寄せられた意見について、4月に改めて回答するとしている。【木許はるみ】


原発事故時の屋内退避、開始から3日後目安に国が継続の可否を判断…原子力規制委が報告書
                            読売新聞 2025/3/28
 原子力発電所の事故時に半径5~30キロ・メートル圏内の住民が行う屋内退避について、原子力規制委員会の検討チームは28日、屋内退避の開始から3日後を目安に国が継続の可否を判断するとした報告書をまとめた。自然災害と原子力災害が重なる複合災害への対策強化の必要性も盛り込んだ。
 報告書では、国が屋内退避の継続可否を判断する時期の目安を開始から3日後とした理由について、〈1〉原子炉施設の状態を確認するのに数日間を要する〈2〉国の防災基本計画で最低3日間の食料備蓄を呼びかけている――ことなどを挙げた。
 昨年1月の能登半島地震を踏まえ、土砂崩れなどによる道路の寸断や集落の孤立といった複合災害への対応の必要性も指摘。具体的には、放射性物質が放出された場合に逃げ込む「指定避難所」の耐震化などを挙げた。規制委は今後、災害対応を担う内閣府の担当者らと課題を共有する方針だ。


屋内退避解除、3日後に判断 原子力規制委が報告書議論
                            共同通信 2025/3/28
 原子力規制委員会は28日、原発事故時の屋内退避の運用を検討する会合を開き、退避解除を判断する目安を3日後とする報告書の取りまとめに向け議論した。事故と自然災害が同時に起こる複合災害などに関する記載で意見がまとまらず、同日午後に参加者に修正案を送り、了承されれば取りまとめとする方針。
 規制委は2月に報告書案を公表し、関係自治体から意見を募集していた。報告書案では、複合災害への対応について「自然災害の備えが十分あることが重要」としていたが、関係自治体からは「改めて検討を」「具体的な指針を示してほしい」と要望があった
 国の防災基本計画が最低3日間の食料備蓄を求めていることを解除判断の根拠とした。解除には大量の放射性物質を含む空気の塊が滞留しておらず、新たに到達する可能性もないことが条件。退避中でも生活必需品の調達や緊急性の高い医療を受けるための外出は可能とした。
 国の原子力災害対策指針では、原発から大量の放射性物質が放出される可能性が高い場合、原則5キロ圏内は避難する。

柏崎刈羽原発 再稼働の是非問う県民投票求め新潟県に署名提出

 柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票の実施を目指して県内で署名活動を行ってきた市民団体が27日、条例の制定を求める143000人余りの署名を県に提出しました(選管が有効と認定した分)。
 条例の制定について話合われる臨時県議会は4月16日から3日間開かれる方向で調整されています。条例案に付ける「知事意見」について知事は28日、県民投票の実施を求める市民団体や、県議会で県民の意思を確認すべきだとしている経済団体とそれぞれ面会したうえで、行いたいと述べました。
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柏崎刈羽原発 再稼働の是非問う県民投票求め新潟県に署名提出
                 NHK 新潟 NEWS WEB 2025年327日
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の是非を問う県民投票の実施を目指して県内で署名活動を行ってきた市民団体が27日、条例の制定を求める、14万3000人余りの署名を県に提出しました。
今回の請求が受理されれば、県議会の臨時会が招集され、条例案の審議が行われることになります。
柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票の実施を目指している市民団体は去年10月から先月までの間、県内全域で署名活動を行い、条例の制定を県に直接請求するために必要となるおよそ3万6000人を大幅に超える14万3000人余りの署名が集まりました。
27日は署名の提出を前に、新潟市中央区で市民団体のメンバーなど200人余りが集会を行いました。
このあと横断幕を掲げて県庁まで移動し、担当課の職員に署名を提出しました。
今回の請求が受理されれば、県議会の臨時会が招集されることになり、花角知事がみずからの意見を付けたうえで、条例案を提出して審議が行われます。
関係者によりますと、臨時会は来月16日から3日間、開かれる方向で調整されているということです。

「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」の水内基成さんは「署名簿が入った箱を持つと非常に重く、一筆一筆、署名した人や署名を集めた人の思いが凝縮されていると感じます。この声をしっかりと知事や県議会議員にも届けたい」と話していました。
柏崎刈羽原発をめぐっては、8年前、6号機と7号機が再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査に合格し、このうち先行する7号機では去年4月に原子炉に核燃料が入れられ、これまでに設備面の準備としては最終段階となる検査が完了しています。
また、東京電力は6号機についても、ことし6月に原子炉に核燃料を入れる方針を発表しています。
柏崎刈羽原発の再稼働をめぐっては、地元の同意が焦点となっていますが、県民投票の実施を求める動きが花角知事の判断にどのように影響するか注目されます。
花角知事は県庁で、記者団に対し「まだ提出されたばかりなので、これから法律に基づいた手続きはきちんと進めていこうと思う」と述べました。
条例案に付ける「知事意見」については、28日、県民投票の実施を求める市民団体や県議会で県民の意思を確認すべきだとしている経済団体とそれぞれ面会するとしたうえで、「両方の話を聞いたうえで頭を整理したい」と述べました。
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の稲垣武之所長は27日の定例会見で、「当社はコメントを申し上げられる立場にないが、引き続き、地域のみなさまに発電所の取り組みや安全性などについてしっかり説明し、理解を得られるよう尽力していく」と述べました。

福島第一原発 今年度分の処理水放出が終了 総放出量約5万4000トン

 24年度のトリチウム水の海洋放出量は約5万4000トンで、30日に終了しました。
 25年度も7回に分けて同じ量の処理水を海に放出する計画です。
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東電・福島第一原発 今年度分の処理水放出が終了 総放出量は約5万4000トン
                       FCT福島中央テレビ 2025/3/30
東京電力は、福島第一原発で今年度(2024年度)予定していた分の処理水の放出が、3月30日に終了したと発表しました。
▽警察の飲酒検査を拒否 会社員の男を現行犯逮捕 改めて調べると…
処理水の海への放出は2023年度から始まり、2024年度は期間を7回に区切って放出を行いました。
東京電力によりますと、予定していた分の処理水の放出は3月30日午前11時51分に終了したということです。
今年度の放出量は約5万4000トンで、これまでに周辺の海水や魚から異常のある値は確認されていません。
東京電力は2025年度も7回に分けて同じ量の処理水を海に放出する計画で、空になったタンクの解体も進めていく考えです

柏崎刈羽原発の使用済み核燃料、2025年10~12月に青森に輸送

 東電は28日、251012月に柏崎刈羽原発4号機にある専門容器2基分の使用済み核燃料138体を、青森県むつ市のリサイクル燃料貯蔵が運営する中間貯蔵施設に送る計画であると発表しました。
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柏崎刈羽原発の使用済み核燃料、2025年10~12月に青森に輸送 東京電力が計画発表
                        新潟日報 2025/3/29 11:45
 東京電力は3月28日、2025年度の核燃料などの輸送計画を発表した。10〜12月に当初計画通り、新潟県の柏崎刈羽原発4号機にある専門容器2基分の使用済み核燃料138体を、青森県むつ市のリサイクル燃料貯蔵(RFS)が運営する中間貯蔵施設に送る。同原発で出た低レベル放射性廃棄物のドラム缶1800本は、青森県六ケ所村の日本原燃に輸送する。
 東電は昨年9月、柏崎刈羽原発4号機の使用済み核燃料69体を専用...
    (以下は会員専用記事のため非公開 残り210文字 全文:410文字)

31- 東電 福島第一原発の汚染水中の高線化した「土のう」の回収作業に着手

 東電は福島第一原発の汚染水の中に残されている高線量化した「土のう」の回収作業に着手したと発表しました。
 同原発の事故直後、放射性物質を吸着する「ゼオライト」を詰めた約26トンの土のうを建屋の地下に敷きましたが、これが高線量化していました。
 26日、東電は土のうに詰めたゼオライトを遠隔ロボットで吸引して回収する作業に着手しました。ゼオライトの全量を吸引し保管容器に入れる作業を27年までに完了するとしています。
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東京電力 福島第一原発の汚染水に残された高線化した「土のう」の回収作業に着手
                     テレビ朝日系(ANN) 2025/3/26
東京電力は福島第一原発の汚染水の中に残されている高線量化した「土嚢(どのう)」の回収作業に着手したと発表しました。
 福島第一原発では事故直後、放射性物質を吸着する鉱物「ゼオライト」を詰めた約26トンの土のうが建屋の地下に敷かれ、これが高線量化していました。
 この土のうに詰めたゼオライトを吸引して回収する作業を24日にも始めるとしていましたが、作業に使う遠隔ロボットをつり上げるクレーンのフック部分が動かなくなり、延期していました。
 その後、フックのバッテリーを交換したところ動くようになり、26日にゼオライトを吸引する作業に着手したということです。
 東京電力は2027年までに吸引して集めたゼオライトを保管容器に入れる作業を完了するとしています。

2025年3月27日木曜日

東電に1千万円の損害賠償命令 移住者の財産損害否定、大幅減額

 福島第1原発事故で豊かな自然に囲まれた生活が困難になったとして、福島県田村市内への移住者らが東電と国に損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、東電に対し、うち16人に計約1千万円を支払うよう命じました。
 これは一審東京地裁判決が認めた約6500万円から大幅に後退したものです。精神的慰謝料を算入した判決例もある中で、移住生活の財産的損害をほぼ認めない冷淡なものでした。
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東電に1千万円の損害賠償命令 移住者の財産損害否定、大幅減額
                        共同通信 2025年03月26日
 東京電力福島第1原発事故で豊かな自然に囲まれた生活が困難になったとして、福島県田村市内への移住者らが東電と国に損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、東電に対し、うち16人に計約1千万円を支払うよう命じた。移住生活の財産的損害をほぼ認めず、一審東京地裁判決が認めた約6500万円から大幅に減額した。国への請求については、棄却した一審判決を支持した

 中村也寸志裁判長は、田村市内を生活の本拠地としていた移住者らについて、精神的損害を認めた。一方で、自然との共生生活のため取得した不動産に関しては、そうした生活に移住者らが価値を見いだしていたとしても「不動産自体の価値とは言えない」とし、財産的損害をほぼ認めなかった。一審判決は不動産の利用が制限されたことで損害を受けたと認め、49人に賠償するよう命じていた

 判決などによると、移住者らは事故前、田村市内に土地や自宅、別荘を購入。事故後、国は移住者らの居住地域を含め一帯を「緊急時避難準備区域」に指定したが、2011年9月に指定が解除された。

柏崎原発 7号機の工期遅れは 規制委の追加検査対応に作業員・資金など割いたためと

 柏崎刈羽原発・7号機のテロ対策施設の工期の遅れについて、柏崎刈羽原子力規制事務所の伊藤所長は、テロ対策の不備を受け、原子力規制委が2021年から約3年にわたり行っていた追加検査への対応に東電の作業員や資金などが割かれていたことが影響しているとの見解を示しました。
 工期遅れで騒ぎになってからワンクッションおいて説明ですがそれが実態なのでしょう
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東京電力・柏崎刈羽原発 7号機のテロ対策施設の工期遅れは「追加検査が影響」 原子力規制委による追加検査への対応に作業員・資金など割く
                      NST新潟総合テレビ 2025/3/25
柏崎刈羽原発・7号機のテロ対策施設の工期の遅れについて、柏崎刈羽原子力規制事務所の伊藤所長は、テロ対策の不備を受け、東京電力に対し2021年から行っていた追加検査が影響しているとの見解を示しました
東京電力は2月、柏崎刈羽原発・7号機のテロ対策施設について、3月としていた完成予定が4年以上遅れ、2029年8月になると発表しました。
これにより、設置期限の今年10月以降、7号機は稼働できなくなります。
柏崎刈羽原子力規制事務所の伊藤信哉所長は3月25日の会見で、大幅な工期の遅れについて…
柏崎刈羽原子力規制事務所 伊藤信哉 所長
「ほかのサイトと大きく柏崎が違うところは、3年間、セキュリティの追加検査でリソースが食われている部分があった
テロ対策の不備などを受け、原子力規制委員会が2021年から約3年にわたり行っていた追加検査への対応に東京電力の作業員や資金などが割かれていたことが影響しているとの見解を示しました。
また、施設の設置期限は規制側として事業者と意見交換しながら決めたとし、「仮に再稼働していたとしても今年10月に淡々と止めるだけ」と話しました。

強まる圧力に懸念も…経済同友会が原発“再稼働の必要性”訴え ~

 柏崎刈羽原発をめぐり3月22日、経済同友会の新浪代表幹事が視察に訪れ、再稼働の必要性を訴えました。
 一方再稼働反対の市民団体は、柏崎刈羽原発の安全性の確認をしてきた県技術委員会の報告書の内容について、県民向けの説明会を開くよう求める申し入れ書を県に提出しました。
 花角知事は24日朝の会見で「経済的なメリット」は「安全性と必要性の議論がなされたあとの議論」と述べました。
 いずれにしても再稼働に向けては、避難問題をはじめとしてまだその基本的な条件が何も整っていません。
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強まる圧力に懸念も…経済同友会が原発“再稼働の必要性”訴え 新潟県知事は「恩恵の有無で気持ちの固まり方に違い」
                      NST新潟総合テレビ 2025/3/24
東京電力・柏崎刈羽原発をめぐり3月22日、経済同友会の新浪代表幹事が視察に訪れ、再稼働の必要性を訴えました。政府や経済界から再稼働に向けた働きかけが強まる一方、反対する市民団体も声をあげています。
経済同友会 新浪剛史 代表幹事
「いかに安心安全に向けて努力されているのか状況を理解し、我々、まさに“活・原子力”に向けて、私たちに一体何ができるかなということも考えていきたい」
こう話すのは、22日、柏崎刈羽原発を視察した経済同友会の新浪剛史代表幹事。
再稼働の必要性を強調した上で、半導体工場を例に「原発でつくった電力を新潟県の新たな産業に活用できる仕組みが必要」と立地地域の経済的メリットについて言及しました。
政府も検討するとしている原発再稼働によるこの地元のメリットについて、花角知事は24日の会見で「原発の必要性や安全性の議論のあとのこと」とした上で
花角知事
「(県民が)仮に受け入れるとなったときに、経済メリットみたいなものがあるかないかは気持ちの固まり方に違いを生じると思う」
政府や経済界などから再稼働に向けた働きかけが強まる中
市民団体
「この前の安全対策確認報告書について、申し入れの紙をお持ちしました」
再稼働に反対する市民団体は柏崎刈羽原発の安全性の確認を確認してきた県技術委員会の報告書に関して、県に申し入れを行いました。報告書では、東京電力の適格性などについて「原子力規制委員会の判断を否定するものではない」と技術委員会としての評価を避けています。
このため、自治体などからも疑問の声が上がっていて、市民団体は報告書の内容について県民向けの説明会を開くよう求めています。
技術委員会に県民の声を届ける会 桑原三恵 共同代表
「『否定するものではない』という趣旨は『あくまでも否定しない』であって、それ以上でもそれ以下でもない。『否定しない』は決して適切であるという、そういう結論には至らない」
花角知事の言う“判断材料”が次第に揃いつつある中、今後どのように議論は進んでいくのでしょうか。


【柏崎刈羽原発】再稼働の経済的メリットに花角知事「安全性議論のあとの話」
                       UX新潟テレビ21 2025/3/24
花角知事は、経済界の関係者から原発再稼働による地元へのメリットを求める声が上がっていることについて、見解を述べました。
【動画】【柏崎刈羽原発】再稼働の経済的メリットに花角知事「安全性議論のあとの話」
柏崎刈羽原発の再稼働に対する『経済的なメリット』は、県内の経済団体が要望しているほか、先週末に柏崎刈羽原発を視察した経済同友会の新浪剛史代表幹事も必要性に言及しています。
これについて、花角知事は24日朝の会見で「安全性と必要性の議論がなされたあとの議論」と述べたうえで、このように語りました。

■花角英世知事
「必要性なりが議論されたあとで、最終的に県民の多くの皆さんが仮に『受け入れる』となった時に経済メリットみたいなものがあるかないかは、気持ちの固まり方に違いを生じると思う。」
その上で、改めて安全性などとの議論とは次元が違うと強調しました。

27- 政府から運転停止を要請された全国で唯一の浜岡原発の〝いま″

 静岡県の浜岡原発は、福島第1原発事故後に政府の要請を受けて全国で唯一停止した原発です。当時、浜岡原発は東海地震の震源域の真上に位置していて世界ー危険な原発とされていたので、国民の中に違和感はありませんでした。
 その浜岡原発はいま再稼働に向け新規制基準の適合審査が続いています。その進行は遅々とはしていますが、特段の支障もなく審査が進んでいるように見えることに、当時のことを知る人たちは違和感を持っているのではないでしょうか。
 地震については活断層の真上でなければOKという新規制基準をクリアしているというのでしょうか。いまはひたすら防潮壁に注力していてそれも勿論必要なことですが、直下型地震に対してはどうなのかが釈然としません。
 テレビ静岡NEWSが掲題の記事を出しました。
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政府から運転停止を要請された全国で唯一の浜岡原発のいま 東日本大震災から14年 安全対策の進捗状況
                       テレビ静岡NEWS 2025/3/22
死者・行方不明者あわせて1万8000人を超える未曽有の大災害、東日本大震災から14年。全国各地の原発は、福島第1原発のメルトダウンの影響により運転停止を余儀なくされたが、年月を経て運転再開へ向けての動きが進んでいる。

【動画】政府から運転停止を求められた全国で唯一の原子力発電所 東日本大震災から14年 浜岡原発の”いま”

政府の要請を受け停止した静岡県の浜岡原発も再稼働に向け新規制基準の適合審査が続いているが、南海トラフ巨大地震のリスクを抱える地域の原発として安全対策の進捗状況はどうなっているのだろうか。
 
運転再開を目指す浜岡原発
稼働を停止している3号機と4号機の運転再開を目指し、新たな基準に沿って審査が進められている静岡県御前崎市の浜岡原子力発電所。
目の前に巨大な壁がそびえ立つ。
中部電力 浜岡原子力発電所
統括広報グループ・榊原浩之 専門部長:この壁は海抜22mの高さがある。いま地表面が海抜6mなので、ここから見ると16mの壁が設置されていることになる
総延長1.6kmにも及び巨大な防潮堤。
ただ、2024年10月の審査会で想定される津波の高さが25.2mとなったことを受け、現在の高さからさらに6mかさ上げする方針だ。
中部電力 浜岡原子力発電所
統括広報グループ・榊原浩之 専門部長:前後を控え壁という壁で挟み込むような堅牢な形にする。また、基礎を追加して十分な対応を取るよう対策する
 
政府から運転停止を求められた唯一の原発
世界一厳しいとも言われる原発の新基準。背景には14年前の教訓がある。
枝野幸男 官房長官(当時)11時5分現在3号機から煙が出ているという可能性があって、爆発の起こった、あるいは爆発のおそれがあるのではないかということで事実関係を確認中
地震に伴い発生した津波は福島県にある東京電力福島第1原子力発電所を襲い、原子炉を冷やすための電源などを喪失。
3つの原子炉で同時に核燃料が溶け落ちる、いわゆるメルトダウンが起きた。
そして、2011年5月。
菅直人 首相(当時):浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請した
「防潮堤の設置など中長期的な対策を確実に実施することが必要」として政府が全国で唯一、運転停止を求めたのが浜岡原発だった。
 
予備の予備で万全な体制を
車に乗り坂道を上がって案内された場所には建物があった。
齊藤力公 記者:結構に上ってきましたが、どういう場所ですか?
中部電力浜岡原子力発電所
統括広報グループ・榊原浩之 専門部長:ここは海抜40m地点となります。ここにある建物の中にガスタービン発電機6台が設置してある。仮に原子炉の電源が失われた場合、5号機の建屋内に設置されているディーゼル発電機が非常用として機能する
このガスタービン発電機は津波の被害を受けないように高台に置かれ、仮に原子炉が電源を失ったとしても「予備の予備」としての役割を果たす想定となっているそうだ。
さらに敷地内の2カ所に電源車を配備しているほか、万が一の時に本部機能を担う緊急時対策所には放射性物質の浸入を防ぐ扉が備え付けられている。
一方、原子炉のすぐ隣にある使用済みの核燃料が保管されているプールは貯蔵可能な量の9割近くが埋まってしまっている状況だ。
中部電力浜岡原子力発電所
統括広報グループ・榊原浩之 専門部長:浜岡に関しては、乾式貯蔵施設を設置することで規制委員会に申請している。それができると4400体(3・4号機が空になる量)の使用済み燃料を一時貯蔵することが出来るので、十分使用済み燃料に対しても対応できる
防災訓練(2023年3月)
また、再稼働に向けて何よりも大切なのが周辺に住む人たちの理解だ。
新潟県の柏崎刈羽原発では2020年に新規制基準の審査に合格し、燃料の装填も実施されているが地元の同意が得られず、いまだに再稼働に至っていない。
中部電力浜岡原子力発電所
統括広報グループ・榊原浩之 専門部長:安全性対策に対する取り組みをしっかりと地域の住民に説明していく。常に地域の住民とコミュニケーションをとって私たちがやっていることをしっかり伝えていくことが大事
今後30年以内の発生確率が80%程度と言われる南海トラフ巨大地震。
そのリスクを抱える地域にある原子力発電所として、万全を期した安全体制の構築と地元住民の理解を得るための丁寧な会話が求められている。

2025年3月24日月曜日

原発再稼働の是非に関する東電管内9知事アンケート結果 新潟日報

 新潟日報は20日、東電管内の1都8県の知事9人に対して行った、柏崎原発の再稼働の是非についてのアンケート結果を明らかにしました。
「再稼働を必要」と考えているのは埼玉県知事1人にとどまり、同知事「再稼働に当たっては立地自治体における住民理解が不可欠」とコメントしたことを含めて、全ての知事が地元住民や自治体の意向が重要と考えていることが分かりました
 アンケートは知事に対し書面で実施し、3月中旬までに全知事から回答を得ました。
 全文を文字起こししましたので紹介します。
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東電管内9知事 本社アンケート 柏崎原発再稼働必要 埼玉のみ 他は明確意思示さず
                         新潟日報 2025年3月21日
 東電電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非について、東電管内の都8県の知事9人のうち、「再稼働は必要」と考えているのは埼玉県知事1人にとどまることが20日、新潟日報社のアンケートで分かった。柏崎刈羽原発は、政府が県に対し再稼働への同意を要請しているが、県議会内には「電力消費地の意向が伝わってこない」との意見がある。だが、埼玉県以外の8都県の知事は再稼働の是非について明確な意思を示さなかった。

 アンケートは政府の再稼働要請が21日で1年となるのに合わせ、東電の営業エリアに該当する東京、神奈川、埼玉、千葉、静岡、茨城、群馬、栃休、山梨の都8県の知事に書面で実施。3月中旬までに、全知事から回答を得た。
 騎刈羽原発再稼働の是非について、再稼働が「必要」と回答した埼玉県知事は「再稼働に当たっては立地自治体における住民理解が不可欠」とコメントした。
 意思を示さなかった都県の知事のうち、東京と栃木は「地元の理解を得ることが重要」などとし、神奈川は「地元住民や自治体の意向が重要」と答えた。千葉は国に対応を求めた。
 原発の必要性に関する問いでは、群馬だけが「必要」と答え、「エネルギーは経済、国民生活の生命線」などと説明した。東京、千葉、静岡、茨城、栃木、山梨は「国が責任を持って決定していくべきだ」「国のエネルギー政策に関わる問題」などと回答した。
 原発立地自治体と電力消費地の関係を巡る自由記述では、群馬が「新潟県議会言の議論について意見を述べる立場にない」、栃木は「エネルギー政策は国が責任を持って計画、施行していくもので、電力消費地から再稼働を求めるものではない」などと答えた。
 東京は「原子力政策は国レベルで議論、検討されるもの。回答を差し控える」とした。

  柏崎刈羽原発再稼働の是非

再稼働は必要

埼玉県

再稼働は必要ない

 ー

その他

神奈川県、千葉県、静岡県、茨城県、群馬県、栃木県、山梨県

選択肢を選ばず

東京都


     原発  必要性

必要

群馬県

必要ない

 ー

その他

神奈川県、埼玉県、千葉県、静岡県、茨城県、栃木県、山梨県

選択肢を選ばず

東京都


「原発は国策」回答乏しく 電力供給不安は半数以下
 東京電力管内の1都8県の知事に新潟日報社が行ったアンケートでは、柏崎刈羽原発が停止で東電の電力供給体制に[不安を感じる」と答えた知事は半数以下の4人った。電気料金の値上げによる都・県民生活への影響については8人が「ある」と回答したが、柏崎刈羽原発の再稼働に対する消費地としての要望や意見は、「国策」などを理由に、具体的な回答は乏しかった。

「東日本は東京湾岸の火力発電に依存し、バランスと分散という意味で脆弱性が高い。日本海側にある柏崎刈羽原発の再稼働は極めて重要だ」―。14日、同原発再稼働問題の集中審議を行った県議会の連合委員会。参考人出席した経済産業省資源エネルギー庁の村瀬佳史長官は再稼働の意義をこう主張した。
   ×   ×
 だが、アンケートの回答からは、必ずしも東電管内の知事電力供給に不安を抱いているわけではないことが分かった。
「ある程度不安を感じる」と答えたのは埼玉、千葉、群馬、栃木の4県知事。「大いに不安を感じる」と回答した知事はいなかった
 一方「あまり不安を感じない」を選んだのは神奈川と山梨の県知事。茨城、静岡県知事は「その他」、東京都知事は選択肢を選なかった。
「ある程度不安を感じる」を選んだ理由として、栃木の福田富一知事は老朽化した火力発電所の存在を指摘。024年度は夏、冬ともに電力需要に対する供給の余力を示す「予備率」が最低限必要とされる3%を上回ったものの、「発電所のトラブルなどのリスクを踏まえると、逼迫が懸念される」とした。
 これに対し「あまり不安を感じない」とした山梨の長崎幸太郎知事は「国が再生エネルギー導入と電力の地域間連系線整備に取り組んでいるため」と説明した。
 茨城の大井川和彦知事は「22年6月を最後に東電管内で電力逼迫注意報の発令はないが、デジタルトランスフォーーメーション(DX)などの進展で電力需要増が見込まれる」とし、「どちらとも言えない」を結論とした。
 東京都の小池百合子知事は「国や東電に電力価格の高騰抑制や需給の安定化を要望している」とした。
 電気料金値上げによる住民への影響については、選択肢を選なかった東京都を除く8県が「大いにある」か「ある程度ある」と回答。多くの知事が、電力のほか物価全般の高騰を指摘し、静岡の鈴木康友知事は「企業活動にも影響を及ぼしている」とした。
   ×    ×
 14日の県議会連合委では自民県議が村瀬長官に対し、「都8県の住民や知事らが柏崎刈羽原発の再稼働を本当に求めているのかが聞こえてこないのが現状だ」とぶつけた。県議会から根強く聞かれる声だ。
 アンケートでは、こうした意見をどう考えるかも自由記述形式で問うた。
 だが原発をどうするかは「国策」などとし、具体的な言及を避ける答えが目立った。
「エネルギー政策は安全性を前提とした上で安定供給や経済性などを勘案し、国が総合的に取り組むべき」(千葉・熊谷人知事)、「地元住民や自治体の意向が重要であり、回答は差し控える」(神奈川・黒岩祐治知事)といった内容だった。
   東京電力の電力供給体制に不安を感じるか

大いに不安を感じる

 ー

ある程度不安を感じる

埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県

全く不安を感じない`

神奈川県、山梨県

全く不安を感じない

 ー

その他

静岡県、茨城県

選択肢を選ばす

東京都


   電気料金の値上げによる都民・県民生活への影響

大いに不安を感じる

神奈川県、静岡県、茨城県、山梨県

ある程度不安を感じる

埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県

全く不安を感じない

 ー

全く不安を感じない

 ー

その他

 ー

選択肢を選ば

東京都


再稼働の賛否世論調査分析 東電管内では桔抗
 本社加盟の日本世論調査会がこのほどまとめた原発に関する全国郵送世論調査の結果によると、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の賛否について、東電管内とほぼ重なる衆院比例ブロックのエア(静岡県を除く)でみると、「どちらかといえば」を含めた「反対」が49・9%、「賛成」が48・9%で拮抗した。
 設問では、東電が経営再建計画の柱として柏崎刈羽原発を再稼働させる方針で、昨年4月には7号機の原子炉に核燃料を装填し終えたとし、東電が原発を再稼働させることの賛否を聞いた
 衆院比例ブロックのうち、東電管内に入る「東京」「北関東」(茨城、栃木、群馬、埼玉4県)「南関東」千葉、神奈川、山梨3県)の回答でみると、柏崎刈羽原発再稼働に「賛成」は13・8%、「どちらかといえば賛成」は35・1%、「どちらかといえば反対」は34・7%、「反対」は14・7%った。
 東京、北関東、南関東ブロックを個別でみても賛否は桔抗していた。
 全国では、どちらかといえばを含め「反対」が計54・1%、「賛成」が計43・6%。本県を含む北陸信越ブロックでは「反対」が計63・2%で、「賛成」の計31・I%の倍たった。
 調査はI~3月、全国の18歳以上の男女3千人を対象に実施した。
       東京電力柏崎刈羽原発の再稼働への賛否

 

 

東電管内

再稼働に賛成

11.0 %

13.8 %

再稼働にどちらかと言えば賛成

32.6 %

35.1 %

再稼働にどちらかと言えば反対

39.4 %

34.7 %

再稼働に反対

14.7 %

14.7 %

無回答

 2.3 %

 1.8 %

             注 四捨五入のため合計が100%にならない