四国電力・伊方原発3号機の運転差し止めをめぐる裁判で、広島地裁は5日、「規制委の新基準に適合しており、原告らの生命や健康などを侵害する具体的危険が生じているとは言えない」として原告側の訴えを棄却しました。原告側は控訴する方針です。
また2月21日に鹿児島地裁判決が川内原発に「事故の具体的危険性はない」として運転の差し止め請求を退けたのを不服として、住民側は福岡高裁宮崎支部に控訴しました。
かつて「確率論的に原発の重大事故は数億年に1回しか起きない」と東大の某教授が豪語したように、そもそも原発は具体的な危険性が見えるようなものであってはならないものです(それが見通せるようであれば再稼働は認められません)。
司法がそうした論理矛盾の要求を繰り返すのは、かつての「安全神話」に戻ろうとする「思考停止」の手法にほかなりません。
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愛媛の伊方原発3号機差し止め訴訟 原告側が敗訴
広島テレビ放送 2025/3/5
愛媛県にある四国電力・伊方原発3号機の運転差し止めをめぐる裁判で、広島地裁は5日、「原子力規制委員会の基準に適合しており、原告らの生命や健康などを侵害する具体的危険が生じているとは言えない」として原告側の訴えを棄却しました。原告側は控訴する方針です。
伊方原発3号機の運転差し止め請求棄却 被爆者「非常に無責任な判決」
中國新聞 2025/3/5
「新たな原発の安全神話に手を貸すかのごとき許されざる判決」。四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を認めた5日の広島地裁判決を受け、運転差し止めを求めていた原告の被爆者たちから落胆や憤りの声が上がった。
【関連記事】伊方原発3号機の運転差し止め請求棄却 広島地裁判決
判決直後に広島市中区であった原告側の記者会見。原告団長で被爆者の堀江壮さん(84)=広島市佐伯区=は「非常に無責任な判決じゃないか」と悔しさをにじませた。
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川内原発訴訟、住民側が控訴 差し止め認めず不服
共同通信 2025/03/05
九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)は地震や噴火などにより事故の可能性があるとして、住民らが九電と国に運転差し止めを求めた訴訟で、住民側は5日、事故の具体的危険性はないとして請求を退けた2月21日の鹿児島地裁判決を不服とし、福岡高裁宮崎支部に控訴した。
原告弁護団の森雅美共同代表は記者会見で、東日本大震災以前の行政追従の判決だとし「福島第1原発事故の教訓はどうなったのかと思わざるを得ない」と批判。原告団長の森永明子さん(53)は「福島では今も家に帰れない人がいることを忘れてはいけない。判決に意気消沈せずにやっていきたい」と前を向いた。