2025年3月3日月曜日

柏崎原発7号機テロ対策施設 完成延期 【続報】

 2月28日付の新潟日報に、柏崎原発テロ対策施設完成延期に関連する2つの記事が載りました。「続報」として紹介します。
 現時点では特重施設の完成時期は、7号機は2029年8月、6号機は31年9月を目標としています。
 7号機の特重施設の工期が延びた理由について、稲垣所長は「沸騰水型軽水炉として初の特重施設の工事で、かなり検討が必要だった。原子炉建屋の建設と比べても数倍の工事規模になっており、人手不足などもあって、工期短縮が難しくなった」と説明しました。
 完成時期の遅れについて柏崎市の桜井雅浩市長は「他電力状況から年から1年は遅れると考いたが、4年という年月ははるかに長非常に残」と述べました。

 また、7号機の特重施設の設置期限が10月に迫る中、運転期間が短くなっても再稼働の意味はあるのかとの質問には「3、4、5ヵ月ならば経営上のプラスは生じるはずだ。福島の復興や賠償にも資する点で、数カ月でも再稼働の意義はある」と答えました。
 まだ屋内退避問題についての規制委「専門委」の答申もなく、避難道路も着工されていない中でのこの発言は、住民の「安全な避難」という観点が完全に欠落していて理解のしようがありません。
 花角英世知事は、「今議論を進めているのは柏崎刈羽原発と県民がどう向き合うか。何号機がどうこうというのは本筋の議論ではない」、「施設の安全性や万が一の場合に避難できるのか。そうした課題について県民がどう理解し、受け止めていくかを見極めていきたい」と述べました。正論です。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
柏崎原発テロ対策施設完成延期
 桜井市長「遅く非常に残念だ」花角知事「本筋の議論進める」
                        新潟日報 2025年2月28日
 東京電力が27日、再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機で工事が進む「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の設置期限である10月の完成を断念し、工事完了時期を4年半後の2029年8月に遅らすと正式に発表した。設置期限後の運転はできないため7号機は仮に再稼働しても10月以降、長期停止に入ることになる。立地自治体の首長らは「完成時期が遅く残念」「(今回の発表に関係なく)原発と県民の向き合い方という本筋の議論を進める」などと語った。

 柏崎市の桜井雅浩市長は役所で報道陣に「他電力状況から(完成目標は)半年から1年は遅れると考えていた。4年という年月ははるかに長い。非常に残」と述べた。
 7号機の特重施設の設置期限が10月に迫る中、運転期間が短くなっても再稼働の意味はあるのかとの質問には「3、4、5ヵ月ならば経営上のプラスは生じるはずだ。福島の復興や賠償にも資する点、数カ月でも再稼働の意義はある」と答えた。
 刈羽村の品田宏夫村長は村役場で新潟日報社の取材に応じ、特重施設の工事の進捗にかかわらず、できるだけ早期に再稼働させる意義を強調。「できないものはしょうがない。村としても早く動けば交付金の入り方が違う。再稼働できていない現状に法的な根拠はなく、一日も早く動かすべきた」と話した。
 花角英世知事は県庁で報道陣に「今議論を進めているのは柏崎刈羽原発と県民がどう向き合うか。何号機がどうこうというのは本筋の議論ではない」との考えを改めて示した。その上で「施設の安全性や万が一の場合に避難できるのか。そうした課題について県民がどう理解し、受け止めていくかを見極めていきたい」と述べた。
 また、林芳正官房長官は.27目の記者会見で、7号機の再稼働時期への影響を問われ「コメントは差し控えたい」と述べ、言及を避けた。原発の再稼働には地元の理解が不可欠だとし、関係省庁で連携し、原子力災害対策の強化や情報発信など、地域の実情を踏まえ丁寧に取り組んでいくと強調した。

3系縫目電源の工事計画を変更 6、7号機
 東京電力は27日、柏崎刈羽原発6、7号機の工事計画変更届出を、原子力規制委員会に提出した。地震などで外部電源が喪失した事態に備える3系統目の常設電源設備について、工事期間を先送りした。
 2026年10月~27年3月としていた6号機は29年9月~31年2月に、25年4月~9月った7号機は26年10月~28年3月になった。設備の詳細設計が進み、工事期間がより正確に見通せるようになったことから変更した。
 新規制基準では、独立した3系統の常設電源設備の設置を義務付けており、6、7号機には既に蓄電池と可搬型設備の2系統がある。
 3系統目の電源設備は、原発本体の工事計画が認可されてから5年以内に設置しなければならず、6号機は29年9月、7号機は25年10月が期限となる。
 期限内に完成しなければ仮に再稼働をしていても、停止しなければならならない。


柏崎原発7号機テロ対策施設 完成29年8月に延期 東電発表
                        新潟日報 2025年2月28日
 東京電力は27日、再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機で工事を進めているテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」(特重施設)について、設置期限の10月13日までの完成を断念し、工事完了時期を今年3月から2029年8月に延期すると発表した。27日、計画変更を原子力規制委員会に届け出た。東電は厳しい夏場の電源供給に貢献するなどとして、期限前の7号機再稼働を目指すと強調したが、期限後は運転できず、約4年の長期停止に入る。
 特重施設は新規制基準で設置が義務付けられている。6号機の特重施設も26年9月の完成目標を31年9月に遅らせる。6号機の設置期限は29年9月
 今年10月までに地元同意を得て7号機を再稼働できるかは不透明。そのため特重施設の設置期限に余裕がある6号機の再稼働が先行する可能性もある。
 同原発の稲垣武之所長は27日の定例記者会見で「原発の稼働が進んでいない東日本は夏場の電力需給が厳しく、7号機を稼働させる意義はある」と強調。県民の理解が前提としつつ、短期回でも7号機の早期再稼働を目指す考えを改めて示した。
 稲垣所長は特重施設の工期が延びた理由について「BWR(沸騰水型軽水炉)として初の特重施設の工事で、かなり検討が必要だった。原子炉建屋の建設と比べても数倍の工事規模になっており、人手不足などもあって、工期短縮が難しくなった」と説明した。
 東電は6号機について、今年6月10日に核燃料を装填し、8月には再稼働に向けた技術的な準備を整えるとしている。稲垣所長は、7号機の停止中は6号機を稼働させたいとする考えを示し「工程を精査中だが、できる限り発電を継続し、重日本の電力需給に貢献したい」と述べた。

 また重電は27日、6号機の特重施設について、設計および工事計画認可申請を規制委に提出した。先行している7号機の実績を参考に3分割で申請する方針で、今回が1回目となる。