2025年3月31日月曜日

屋内退避 継続判断は3日後 規制委検討チーム報告書 「一時外出は必要」明記

 原発事故時に被ばくを低減するために行う屋内退避の運用について原子力規制委の検討チームは28日、報告書をまとめました。屋内退避開始から3日後を退避の継続を判断する最初のタイミングの目安とし、その後も退避継続が基本としています。
 原発事故と自然災害が同時に起きる複合災害については「自然災害対応との連携を強化することが極めて重要」との記載にとどま「(家屋の損壊問題については)規制庁だけで解決できない」とするのみでした。
 多くの自治体が「複合災害の前提なしに避難計画の実効性が図れない」と悩んでいるのに、ではどの部署がそれを検討をするのかも示さないのでは、屋内避難の問題はそこから何も進みません。
 1年余りもかけて検討チームに一体何を検討させたのか規制委の責任は重大です。
 また避難路の混雑を避けるために当初(の3日間程度は)「5~30キロ圏内は屋内退避」するということでスタートした筈なのに、3日以降も放射性プルームの発生がなくならない限り継続するというのも「安易でしかも重大」な変更です。
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屋内退避 継続判断は3日後 規制委検討チーム報告書 「一時外出は必要」明記
                      しんぶん赤旗 2025年3月29日
 原発事故時に被ばくを低減するために行う屋内退避の運用について原子力規制委員会の検討チームは28日、報告書をまとめました。屋内退避開始から3日後を退避の継続を判断する最初のタイミングの目安とし、その後も退避継続が基本としています。近く規制委に報告され、原子力災害対策指針(原災指針)への反映などを検討します。
 報告書は原発事故と自然災害が同時に起きる複合災害について、「自然災害対応との連携を強化することが極めて重要」との記載にとどまっています。しかし、2月の意見照会で43自治体から寄せられた約250件の意見の中には、「(複合災害の前提なしに)避難計画の実効性が図れない」と、複合災害時の対応の具体化を求める意見が複数ありました。
 原災指針では、事故が発生し周辺住民に放射線の影響の恐れがある場合は、原発から5キロ圏内(PAZ)の住民は避難を実施。5~30キロ圏内(UPZ)の住民は屋内退避し、その後、空間放射線の測定結果に応じて避難などに移行することになっています。
 しかし、昨年1月の能登半島地震では、断水や家屋の倒壊、避難道路の寸断、一部の放射線防護施設が損傷。同県にある北陸電力志賀原発は運転停止中でしたが、仮に事故が起きていれば多くの住民が屋内退避も避難も困難な状態でした。
 規制委は、原災指針の考え方を変更する必要はないとした上で、屋内退避の実施期間などについて検討チームで昨年4月から議論。
 報告書は、屋内退避実施3日後も、プルーム(放射能雲)対策が必要な場合は、屋内退避の継続を基本として、継続可能かどうかを日々判断。生活の維持が難しいと判断されれば、国が地域ごとに避難への切り替えを判断し、指示することが適切としています。一時的な外出も退避の継続上、必要な行為と明記しています。


原発事故「屋内退避」報告書まとまる 複合災害の課題は積み残し
                            毎日新聞 2025/3/28
 原発事故時に5~30キロ圏内の住民に求める「屋内退避」の運用を見直す原子力規制委員会の検討チームは28日会合を開き、退避の期間や解除の条件などを示した報告書をまとめた。一部の自治体が意見を出していた、地震などを伴った複合災害への対応や退避中の生活支援などについては引き続き検討するとして対策を先送りした。4月の規制委定例会で報告書を説明し、原子力災害対策指針に反映する項目を諮る。
 報告書は、屋内退避の開始から3日後を目安に継続の可否を判断し、避難への切り替えを慎重に検討するとした。物資の調達や医療など最低限の外出は認め、屋内退避の継続を基本とする。退避を解除する要件として、放射性プルーム(放射性物質を含む雲)が新たに到来する可能性がなく、滞留していない場合とした
 報告書を巡っては、2月に案が公表され、自治体への意見照会では計43自治体から約250件の意見が提出された。この日の会合では全ての意見が公表され、「屋内退避の運用を改めて検討する必要がある」(石川県)「政府全体として想定される事象に優先順位をつけ、対応の検討を」(福島県)と複合災害などへの具体的な対応策を求める声が相次いだことが明らかになった。しかし、報告書は「自然災害への備えが重要」とする従来の方針を維持。「規制庁だけで解決できない」として、新たな対応策は盛り込まなかった
 出席者から「複合災害についてどう議論するつもりか」「留保事項が結構ある。誰がやるのか示してほしい」など修正を求める声が上がったが「関係機関と連携して取り組みを進める必要がある」と追記するにとどまった。検討チームは自治体から寄せられた意見について、4月に改めて回答するとしている。【木許はるみ】


原発事故時の屋内退避、開始から3日後目安に国が継続の可否を判断…原子力規制委が報告書
                            読売新聞 2025/3/28
 原子力発電所の事故時に半径5~30キロ・メートル圏内の住民が行う屋内退避について、原子力規制委員会の検討チームは28日、屋内退避の開始から3日後を目安に国が継続の可否を判断するとした報告書をまとめた。自然災害と原子力災害が重なる複合災害への対策強化の必要性も盛り込んだ。
 報告書では、国が屋内退避の継続可否を判断する時期の目安を開始から3日後とした理由について、〈1〉原子炉施設の状態を確認するのに数日間を要する〈2〉国の防災基本計画で最低3日間の食料備蓄を呼びかけている――ことなどを挙げた。
 昨年1月の能登半島地震を踏まえ、土砂崩れなどによる道路の寸断や集落の孤立といった複合災害への対応の必要性も指摘。具体的には、放射性物質が放出された場合に逃げ込む「指定避難所」の耐震化などを挙げた。規制委は今後、災害対応を担う内閣府の担当者らと課題を共有する方針だ。


屋内退避解除、3日後に判断 原子力規制委が報告書議論
                            共同通信 2025/3/28
 原子力規制委員会は28日、原発事故時の屋内退避の運用を検討する会合を開き、退避解除を判断する目安を3日後とする報告書の取りまとめに向け議論した。事故と自然災害が同時に起こる複合災害などに関する記載で意見がまとまらず、同日午後に参加者に修正案を送り、了承されれば取りまとめとする方針。
 規制委は2月に報告書案を公表し、関係自治体から意見を募集していた。報告書案では、複合災害への対応について「自然災害の備えが十分あることが重要」としていたが、関係自治体からは「改めて検討を」「具体的な指針を示してほしい」と要望があった
 国の防災基本計画が最低3日間の食料備蓄を求めていることを解除判断の根拠とした。解除には大量の放射性物質を含む空気の塊が滞留しておらず、新たに到達する可能性もないことが条件。退避中でも生活必需品の調達や緊急性の高い医療を受けるための外出は可能とした。
 国の原子力災害対策指針では、原発から大量の放射性物質が放出される可能性が高い場合、原則5キロ圏内は避難する。