2025年3月20日木曜日

東電再建 抜本計画見送り 社長「地元理解が前提」 柏崎原発再稼働が不透明

 東電ホールディングスは一部改定した経営再建計画で、30年度までの柏崎刈羽原発の稼働想定を従来の「最大3基」から「1基」に減らして収支を見通しました。
 東電は今夏の7号機再稼働を目指して準備を進めるとしていますが、30キロ圏内の屋内退避問題が何もクリアになっていない段階の再稼働はあり得ず、逆にテロ対策施設の完成時期が大幅に遅れ、運転停止が長期化する可能性が浮上しています。
 別掲の記事にもある通り、東電の再建計画で、賠償金の捻出に向け国が東電に資金を貸し付けるために発行する交付国債枠を1兆9千億円増やすことを踏まえ、3月末までに変更する必要がありました。
 当初は10年先の収支なとを示すことを目指していましたがそれは断念しました。
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柏崎原発 1基稼働想定も実現は見通せず
                         新潟日報 2025年3月18日
 京電カホールディングスは一部改定した経営再建計画で、2030年度までの柏崎刈羽原発の稼働想定を従来の「最大3基」から「1基」に減らして収支を見通した。東電経営陣は17日、「経営の最重要課題である柏崎刈羽原発の再稼働に向け、国と連携して取り組む」と述べたが、実現性は依然、不透明だ。
 12年に全7基が運転停止して以降、柏崎刈羽原発は一度も再稼働していないが、東電はこれまでも再働を前提に再建計画を組み立ててきた。現行計画が示された21年当時は、「仮置き」の位置付けながら、最短で22年に7号機を再稼働させるなど、30年度までに計3基を動かす想定だった。
 しかし、21年に同原発でテロ対策上の不備が相次いで発覚し、原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けた。23年末に解除されたものの、再稼働に必要な地元同意が得られる見通しは立っていない。
 東電は今夏の7号機再稼働を目指して準備を進めるが、テロ対策施設の完成時期が大幅に遅れ、運転停止が長期化する可能性が浮上している。
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構によると、これらを踏まえた今回の一部改定では、従来の「最大3基再稼働」を改め、いずれか基を稼働させる想定とした
 計画上とはいえ、柏崎刈羽原発の再稼働を経営改善の柱に据え続けることの妥当性を報道陣から問われた東電の小早川智明社長は、「原子力エネルギーの活用は、資源のない日本にとって重要だ」と述べるにとどめた。


東電再建 抜本計画見送り 社長「地元理解が前提」 柏崎原発再稼働が不透明
                         新潟日報 2025年3月18日
 【総合特別事業計画」の一部改定のポイント
  ・東京電力柏崎刈羽原発の再稼働時期が不透明で収支見通しが固まらないため、抜
   本的な見直しを見送り
  ・賠償金の捻出に向け、国が東電に資金を貸し付けるために発行する交付国債枠を
   1兆9000億円増やすことを踏まえた修正
  ・仮に柏崎刈羽原発1基が稼働できた場合、2026年3月期の経常利益が
   1181億円になると予想

 【総合特別事業計画
   2011年の福島第1原発事故で図経営危機に陥った恵京電力の再建策。東電が
  策定し、政府が認定する。被災者への賠償や除染など事故対応の費用を計画的に捻
  出するのが目的。12年5月に第1次計画が認められた。数年ごとに改定し、現行
  の第4次計画は21年に認定を受けた。事故対応費用として年5千億円程度の確保
  が目標だが、業績悪化で達成できない年もあった。次回の抜本改定では、他社との
  事業提携による収益力強化も検討課題に挙がっている。

 東京電カホールディングスは17、福島第1原発の廃炉と事故賠償の費用確保を目的に策定している経営再建計画の一部を見直した。柏崎刈羽原発の再稼働時期が不透明で収支見通しが固まらないため、抜本的な改定を見送った。経済産業者が同日認定した。小早川智明社長は、再稼働について「地元の皆さまからの理解を前提に安全確保を第一に取り組みを進める」と記者団の取材に改めて強調した。
 再建計画は「総合特別事業計画(総特)」。賠償金の捻出に向け国が東電に資金を貸し付けるために発行する交付国債枠を1兆9千億円増やすことを踏まえ、3月末までに変更する必要があった。東電は10年先の収支なとを示すことを目指していたが断念した。
 総特では、仮に柏崎刈羽1基が再稼働できた場合、2026年3月期のループ5社を合算した経常利益が1181億円になると予想した。東電は基の再稼働で約1千億円の収益改善効果を期待するが、実現できなくても合理化で業績に悪影響が及ばないよう努めるという。
 小早川氏は、総特の抜本改定の見送りに関し「電力需要増加に対する電源の対応や、投資額が増えたことなど、しっかり見極めた計画が必要だと判断した」と説明した。小早川氏は取材に先立って武藤容治経産相柏崎原発と面会。武藤氏は「信頼確保に全力を尽くしてほしい」と要請した。
 また東電は17日、これまで未定としてきた25年3月期連結業績予想を発表し、純利益を前期比35・8%減の1720億円と見込んだ。燃料費の変動を遅れて電気料金に反映する制度の差損益計上が響く。