日本はいうまでもなく、欧米各国はAIコンピューターのデーターセンターの巨大な電源を如何に確保するか、いつまでに確保できるのかで大いに頭を悩ませています。ある推計によれば、25年から30年の間に世界の企業はAIの需要に追いつくためには6・7兆ドル(約1,000兆円超)もの新規データセンター設備への投資が必要となるということです。
それに対して中国はとっくに解決済みで、中国の全国的な電力予備率は80~100%を下回ったことがなく、常に必要量の2倍以上の容量を維持しているからです。
如何に中国に先見の明があるからと言って、常用量の2倍もの電力設備を整えるのは至難の業ですが、再生エネに依拠すれば自ずと道は開けるものです。
新潟日報に中国の再生エネ事情に関する記事が載りましたので紹介します。
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中国発電事情ルポ 街中にEV 農村に風車 導入量で世界トップ
新潟日報 2025年12月22日
中国・北京市内の路上では電気自動車(EV)があふれていた。日本新聞協会の取材団の一員として10月に訪れた際に目にした光景だ。世界2位の人口を抱える中国は、世界最大の電力消費国でもある。現地で目の当たりにしたEV普及の様子をリポートするとともに、これらを支える電気を中国がどうつくっているのかを調べた。
(報道部 高橋央樹)
電源は再エネ 存在感
大量の車が行き交う北京市内。そこかしこでクラクションが鳴り響いた。
列をなす車のナンバープレートに目を向けると、主に青と緑の2色があった。現地通訳の女性が、青はガソリン車、緑はEVなどの新エネルギー車だと教えてくれた。
北京市内で目にした車のうち、3~4割が緑ナンバーの新エネ車のように感じた。バスは緑ナンバーばかりだ。中国国営通信新華社によると、都市部の路線バスは2024年末時点で8割が新エネ車だという。
中国はEV大国であると同時に世界最大の電力消費国でもある。大量のEVを動かし、国民の生活も支えている電気はどのようにつくられているのだろう。
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国際エネルギー機関(IEA)の資料で中国の電源構成(23年)を見ると、右炭61・3%、水力13・5%、風力9・3%、太陽光6・1%などと続く。バイオ燃料なども含めた再エネの比率は30%を超え、日本の22・9%(23年度)を大きく上回る。
原発は4・6%で日本の8・5%よりも低い。日本では天然ガスが電源の最も多くを占めるが、中国では3・O%にとどまる。石油はO・1%しかない。
北京市内にある中国屈指のシンクタンク「中国人民大学重陽金融研究院」を訪れた際、中国の再エネ況を聞いた。研究院のトップ、王文院長から興味深い答えが返ってきた。
「クリーンエネルギー発電(の設備容量)は、伝統的な発電を超えた。過去10年でエネルギーの大きなモデルチェンジを遂げてきた」。発電能力で比較すると、水力、風力、太陽光など二酸化炭素を排出しない発電方法が石炭火力を追い越したという。
このクリーンエネルギー発電には原発も含まれており、中国が今、原発の建設を加速させているのも事実だ。経済産業省資源エネルギー庁によると、24年6月時点で56基の原発があり、25基が建設中だが、日本の10倍ほどの電力需要がある中で、その存在感は決して高いとは言えないJ
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一方、再エネの導入は世界を圧倒するほどのスピードで進む。世界の再エネの設備導入量(23年実績)は多い順に、中国1595ギガワット(1ギガワットは100万キロワット=おおよそ原発I基分)、アメリカ437ギガワット、インド203ギガワットと続く。日本は171ギガワットで、世界で6番目という。
実際、北京市に近い河北省をバスで走ると、農地に風力発電用の風車が何基も並んでいるのを目にした。建設中のものも目立つ。
世界風カエネルギー協会によると、24年に世界で導入された風力発電は約117ギガワット。王院長は「そのうち3分の2は中国によるものだ」と胸を張った。