22日、柏崎刈羽原発再稼働を前提とした補正予算案と花角知事への信任を示す付帯決議案が可決される見通しです。
常任幹事会を開いた立民党県連は21日、来年の知事選に向け候補者擁立を目指す方針を示し、有効な避難計画と地元同意がない限り再稼働は認められないとする立場だとして、異議を唱える声明を発表する構えです。
一方、市民約24万人が原発30キロ圏内に居住する長岡市の磯田達伸市長は、県民意識調査の結果、再稼働の条件は現状で整っているかについて、全体の「6割ぐらいがまだ十分に条件が整っていないと意思表明している段階では、対策のさらなる充実や情報提供に努力すべき」と述べました。
再稼働の条件は「必要な諸施設の施工計画が出来ている」ことでは勿論不十分であり、「完成乃至完備している」でなくてはなりません。
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立憲民主党新潟県連 来年の知事選へ候補者擁立方針 柏崎刈羽原発再稼働「有効な避難計画ない限り認められない」
NST新潟総合テレビ 2025/12/21
立憲民主党新潟県連は、来年の知事選に向け候補者擁立を目指す方針を示しました。
21日、新潟市で常任幹事会を開いた立憲民主党県連。
この中で来年6月の任期満了に伴い行われる知事選について、県連として候補者擁立を目指す方針を共有したということです。
【立憲民主党県連 西村智奈美代表】
「県政に対してちゃんとこういった県政であって欲しいと示す意味でも県知事候補については擁立を検討する。そういう責任があると思っている」
県議会では22日の採決で、柏崎刈羽原発の再稼働を前提とした補正予算案と、花角知事への信任を示す自民党などの付帯決議案が可決される見通しです。
立憲県連は、有効な避難計画と地元同意がない限り再稼働は認められないとする立場だとして、異議を唱える声明を発表する構えです。
「発電所あってこそ」「もう少し時間を」 柏崎刈羽原発再稼働 30キロ圏内の首長の思い
産経新聞 2025/12/21
新潟県議会12月定例会では今、東京電力柏崎刈羽原発(同県柏崎市、刈羽村)6、7号機の再稼働を容認した新潟県の花角英世知事の判断について、信任するか不信任かの議論が続けられている。再稼働問題では花角氏の判断がクローズアップされがちだが、原発から半径30キロ圏内にある県内9市町村の首長は、さまざまな思いを胸に成り行きを見守っている。これまでの発言をもとに、各首長の思いに触れてみた。
■判断までの時間「長かった」
花角氏が再稼働容認を表明した11月21日、柏崎刈羽原発の立地自治体である柏崎市の桜井雅浩市長は「決断に敬意を申し上げる」と歓迎した。桜井氏は、エネルギー安定供給や地球温暖化対策の観点から、原発の再稼働には意義があるとの立場をとる。
一方、判断までにかかった時間について「他の原発立地自治体と比べてあまりにも長かった」とも述べ、花角氏はもっと早く決断すべきだったとの考えを改めて示した。
また、再稼働を目指す柏崎刈羽原発6、7号機が立地する刈羽村の品田宏夫村長は11月12日、桜井氏とともに花角氏と会談した。終了後、取材に応じた品田氏は「再稼働していけない理由は現在ない。粛々と進めればいい」と語った。
品田氏は令和6年11月の村長選で無投票で7選を決めた際も、「発電所(柏崎刈羽原発)が村にあって発電することで地域が機能していく。発電所があることが私たちが望む村の姿だ」と話していた。
■民意の改善が必要
一方、市の総人口の9割超に当たる約24万人が原発30キロ圏内に居住する長岡市の磯田達伸市長は、現時点で再稼働の是非を判断することに慎重な姿勢を崩さなかった。
30キロ圏内の7市町の首長が11月14日、花角氏と意見交換を行った際、磯田氏は「(再稼働に対する)県民の理解、(長岡)市民の理解を広げるためにもう少し時間をかけるべきではないかと知事に申し上げた」と明かした。
磯田氏が重視するのは、県が行った県民意識調査の結果だ。柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働の条件は現状で整っているかどうかを問う設問で、全体の60%が「そうは思わない」「どちらかといえばそうは思わない」と答えた。
「6割ぐらいがまだ十分に条件が整っていないと意思表明している段階では、対策のさらなる充実や情報提供に努力し、民意の改善をみていく必要がある」というのが磯田氏の考えだ。
■避難の実効性に「課題」
県市長会と県町村会は11月下旬から12月上旬にかけて臨時会合を開き、花角氏の判断を尊重することを決めた。ただ、各首長の話の端々からは手放しで尊重しているわけではない実情も垣間見える。
市の一部が原発から30キロ圏内にある見附市の稲田亮市長は、11月23日告示の市長選で無投票での再選を決めたあと、こう語った。「知事の判断は尊重するが、原発事故時の避難の実効性向上にはまだ課題がある。県の取り組み、国の対応をしっかりと注視していく」
また、町全域が30キロ圏内にある出雲崎町の仙海直樹町長は11月14日に花角氏と意見交換をした際、「津波対策の必要性を話した」という。同町は日本海に面しており、大規模地震と原発事故が同時に起きる複合災害に備え、津波の際に避難できる高台の一時避難所の整備を求めている。
県議会の過半数を占める自民党県議団は、花角氏の再稼働容認の判断を信任する方針を決めており、柏崎刈羽原発6号機は早ければ来年1月にも再稼働を実現する公算が大きい。再稼働問題は大きな区切りを迎えることになるが、これで終わるわけではない。
避難計画の実効性などに対する県民や自治体の不安を払拭(ふっしょく)する活動は、再稼働を実現するかどうかに関係なく加速させる必要がある。(本田賢一)