浜岡原発の安全性向上対策工事の一部で、不適切な仕様変更手続きと未精算が明らかになった中部電力の林欣吾社長は27日記者会見し、「心からおわび申し上げる。皆様から信頼される原子力事業の運営に努めたい」と陳謝しました。
今回の件が審査にどのような影響を及ぼすかを問われ、林社長は「分からない」と苦しい表情を浮かべました。背景には、再稼働を急ぐ現場の「工程プレッシャー」があり、少しでも工期を短縮しようと、調達部門を経なかったという事情がありました。
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浜岡原発不適切契約 安全審査への影響「分からない」 中部電社長
毎日新聞 2025/11/27
浜岡原発(静岡県御前崎市)の安全性向上対策工事の一部で、不適切な仕様変更手続きと未精算が明らかになった中部電力(名古屋市)。27日記者会見した林欣吾社長は「心からおわび申し上げる。皆様から信頼される原子力事業の運営に努めたい」と陳謝した。
中部電唯一の原発である浜岡原発は、再稼働に向け原子力規制委員会が新規制基準適合性を調べる安全審査を実施中だ。今回の件が審査にどのような影響を及ぼすかを問われ、林社長は「分からない」と苦しい表情を浮かべた。その上で「一日でも早くガバナンスを機能させてステークホルダー(利害関係者)から信頼される事業経営をすることが一番大切」と強調した。
同社では、2017年以降、安全審査の内容を見定めるまで浜岡原発への新たな投資を止めている。引責辞任することになった原子力本部長の伊原一郎副社長らは、不適切契約を取締役会で報告しなかったことについて「新規投資が止まっている中、追加予算は取締役会で承認されないと思い報告しなかった」と理由を説明しているという。同社はこれを受け、12月1日付で原子力本部にコンプライアンス・リスク管理担当の副本部長を新設する。
また、背景には、再稼働を急ぐ現場の「工程プレッシャー」があり、少しでも工期を短縮しようと、調達部門を経なかったという。林社長は、こうした状況に触れた上で「現場がやりやすい工事を安心してできるようにしたい」と話した。
今後、取引先との契約変更内容を精査して精算手続きをしていく。後任の原子力本部長は、浜岡原発の豊田哲也所長が12月1日付で兼務する。【川瀬慎一朗】