昨秋まで原子力規制委員会委員を務めた地質学者の石渡明さんが、かつて御前崎沖に浮かんでいた直径数百メートルの小島が1854年12月の安政東海地震か翌年11月の余震により海の底に沈んだ可能性が高いとして、沈降の原因となった新しい活断層の存在の可能性に言及し話題を呼んでいます。
阪神淡路大地震もそうですが、地震が起きてはじめて活断層があったことが判明するケースは沢山あります。従って原発敷地内で行われている地層の調査で活断層であるか否かを判断して良いのかは疑問です。
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御前崎沖に“幻の島”? 安政東海地震で沈んだか 日本地質学会で話題に 近くに新しい活断層の可能性も
静岡新聞 2025/12/11
御前崎の沖合にかつて島があった―。
地質学者で昨秋まで原子力規制委員会委員を務めた石渡明さん(72)=東京都狛江市=が、かつて御前崎沖に浮かんでいた直径数百メートルの小島の存在を日本地質学会で指摘し、話題を呼んでいる。1854年12月の安政東海地震か翌年11月の余震により海の底に沈んだ可能性が高いといい、沈降の原因となった新しい活断層の存在の可能性にも言及する。
【▶写真を見る】幻の島が記載された古地図
〝幻の島〟があったのは、御前埼灯台から東に3・2キロの岩礁付近。三脚構造の「御前岩(ごぜんいわ)灯台」が海上にぽつんと立つ場所だ。現在は「御前岩」と言われる一帯にある。両灯台を管理する清水海上保安部の担当者は「部内や史料でも見聞きしたことがない」と話す。御前岩灯台がかつて島だった場所に立つことはあまり知られていないようだ。
一方、石渡さんはかなり以前から古地図の記載を基に小島が存在していた可能性に気付いていたという。
本格的な研究開始は3年前ごろから。2014年から規制委の仕事で中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)周辺の地質に関心を持ったこともきっかけになった。「最初は古地図の信ぴょう性を疑っていた」というが、あれこれ調べるうちに、伊能忠敬の地図を含め1728年から1842年までの114年間に描かれた七つの古地図のいずれにも直径数百メートル程度とみられる小島「沖御前島(岩)」とそれに連なる小さな岩が描かれていることに気付いた。
現在、新規制基準の適合性審査が行われている浜岡原発には津波堆積物の調査で何度も足を運んだ石渡さん。「中電や国にも関心を向けてほしい」と話す。