柏崎刈羽原発について12月定例県議会は22日、再稼働を容認した花角知事を信任する付帯決議案を賛成多数で可決しました。知事選立候補時、原発の再稼働については「県民に信を問う」と公約した知事は、この信任を以て「県民の信を得た」として「再稼働を認める」方向に舵を切りました。
「議会の信任」が「県民の信」を得たことになるというのは明らかに詭弁です。
県議会の前には県民ら300人以上が集まり、「知事は『県民の信を問う』公約を守れ」「再稼働の是非は私たち県民が決めたい」と抗議宣伝しました。
「未来にいがた」、「リベラル新潟」、「無所属」(馬場秀幸氏)の3県議が反対討論に立ち、「信を問うなら県民に直接問うべきだ」「安全対策や避難道路の整備の遅れなど、県民の安全が確認できないうちは再稼働の判断はすべきでない」などと批判しました。
重大事故時に安全に避難するための諸施設(避難道路、道路の除排雪設備、公共避難所など)が完備されないうちの再稼働は考えられないことです(しんぶん赤旗より)。
同日、県民からは「話が違う」、「裏切られた気持ちだ」、「県民投票で県民の意思をきちんと確認しなかった知事をもう支持できない」、「投票で意思を表明する機会があればよかった」、「県議会ではなく、一般市民の声を聞いてほしかった」などと残念がる意見が相次ぎました。(新潟日報)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
新潟県議会 再稼働容認の知事信任 県民抗議「信問う公約守れ」
しんぶん赤旗 2025年12月23日
新潟県の東京電力柏崎刈羽原発について、12月定例県議会は22日、再稼働を容認した花角英世知事を信任する付帯決議案を賛成多数で可決しました。県議会の前には県民ら300人以上が集まり、「知事は『県民の信を問う』公約を守れ」「再稼働の是非は私たち県民が決めたい」と抗議宣伝しました。
自民党と公明党が提出した付帯決議案は、柏崎刈羽原発が再稼働した場合の国の交付金を財源に、原発の安全対策などの広報費を計上した補正予算案につけられ、「県知事の職務を続けていくことの是非について、『是』という意思を表明する」と明記しました。
大渕健(未来にいがた)、小泉勝(リベラル新潟)、馬場秀幸(無所属)の3県議が反対討論し、「信を問うなら県民に直接問うべきだ」「安全対策や避難道路の整備の遅れなど、県民の安全が確認できないうちは再稼働の判断はすべきでない」などと批判しました。
採択後に「柏崎刈羽原発再稼働の是非を考える新潟県民ネットワーク」が記者会見を開き、「県民の世論と不安を置き去りにした『地元了解』に抗議」する声明を発表。耐震安全性や避難計画の実効性など未解決の課題が山積していると指摘し、「新たなフェーズ(段階)の運動を進めたい」(片岡豊世話人)と話しました。
花角知事は、23日にも国へ「地元理解」を伝える見込みです。
県会再稼動判断「信任」
信の問いに失望 知事手法「裏切られた」 県民の賛否なお割れる
新潟日報 2025年12月23日
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を容認する意向の花角英世知事を県議会が信任した22日、県民からは県民投票などで直接意思を示す機会がなかったことに「話が違う」と失望する声が上がった。再稼働についても肯定的見方と否定的意見が交錯し、今も揺れる県民の思いが浮き彫りになった。
「裏切られた気持ちだ」。新潟市中央区のJR新潟駅で、県議会が花角知事を信任したことを伝える本紙号外を手に取った五泉市のパート鹿間佑未さん(42)は顔をしかめた。
地震などの自然災害に伴い原発事故が起これば「困るのは県民」と強調。花角知事を支持し、再稼働の是非を問う県民投票の実施を期待していたという。「県民の意思をきちんと確認しなかった知事を、もう支持できない」と憤った。
花角知事はこれまで、柏崎刈羽原発の再稼働について「県民の意思を確認する。信を問う方法が最も明確で重い」と説明していた。しかし、最終的に県議会に信任、不信任を委ねた。
長岡市でも20代の会社員女性や50代のパート女性らから「投票で意思を表明する機会があればよかった」「県議会ではなく、一般市民の声を聞いてほしかった」などと残念がる意見が相次いだ。
不満の声は、原発の立地地域の住民からも上がった。柏崎市の無職男性(79)は、花角知事が自らを支える自民党が単独過半数を占める県議会に信任、不信任を語ったことに「できレース。再稼働ありきの決め方だ」と語気を強めた。
県議会の議決で「地元同意」に関する県側の手続きは区切りを迎え、23日に国へ容認を伝える見通しだが、再稼働に対する県民の賛否は今も割れたままだ。
阿賀野市の高校3年戸田蒼健さん(18)は、東電福島第1原発事故を踏まえて「原発再稼働は心配が強い。原子力災害は怖い」と慎重な立場。長岡市の無職佐藤良行さん(78)は「事故が起きた時の責任の所在が曖昧。再稼働に反対」と言い切る。
一方、肯定的な意見も聞かれた。柏崎市のパート男性(71)は、脱炭素社会の実現などのため「再稼働はやむを得ない」とみる。柏崎市で美容院を営む中沢照代さん(70)は「経済的なメリツトがある」として再稼働に期待した。