2022年9月24日土曜日

24- 「バイオ炭」で茶畑からの温室効果ガスの発生を防げるか

 農業活動に伴う土壌微生物の作用によって発生する一酸化二窒素(N2O)は温室効果ガスの主要なものの1つで、CO2の約300倍の温室効果があるとされています。

 バイオ炭(もみ殻などで作る)を茶畑に敷くことでCO2の発生は防げますが、もしもそれによってN2Oを生成するようであれば逆効果です。バイオ炭を敷くことでN2Oが発生しないかを検証する実験が静岡の茶畑で始まりました。25年までの予定です。
 発生しないことが分かればバイオ炭の実用化は一気に進みます。
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【1.5℃の約束】
茶畑から温室効果ガス? CO2削減の秘密兵器は「バイオ炭」
                        静岡放送(SBS) 2022/9/24
一見、地球温暖化と関係のなさそうな農業の分野でも温室効果ガスの削減が求められているのをご存じでしょうか?国の調査によると農林水産分野からおよそ5000万トン、国内の全排出量のおよそ4%にあたる温室効果ガスが出ているといわれています。県内の茶畑ではあるものを土に加える事で地球を守る画期的な実験が行われています。
山口駿平記者>「菊川市の茶畑です。この茶畑では地球温暖化対策として炭が撒かれているんです」
7月から菊川市で始まった国、中部電力、JAの三者による炭を茶畑にまく実験。これ、ただの炭ではありません。農業分野の温室効果ガスを減らす秘密兵器として注目されている「バイオ炭」です。
中部電力バイオグループ 鈴村素弘研究主査>「バイオ炭というのは植物の残渣を炭にしたものです。今回の研究で使っているのは、お米のもみ殻を炭にしたものを使っています」
大気中の炭素は光合成により植物に取り込まれています。枝や葉っぱが地面に落ちると、炭素もそのまま土壌に蓄積されます。枝や葉っぱを微生物が分解すると二酸化炭素が発生。この二酸化炭素こそ、温室効果ガスで地球温暖化の原因といわれています。
ここでバイオ炭の登場。バイオ炭は微生物に分解されにくい特性があります。バイオ炭を土に撒くことで、枝や葉っぱが含む炭素をそのまま土に閉じ込め、その効果は100年以上続くと期待されています。バイオ炭が二酸化炭素の発生を防ぐことは明らかになっている一方で別の温室効果ガスが増えるのではないかという懸念もあります。
農研機構 茶品種育成・生産グループ  廣野祐平グループ長補佐>「この研究室では現地で採取したサンプルについて、その中に含まれている一酸化二窒素の濃度を分析しています。温室効果というものを総合的に評価する上では(バイオ炭によって)一酸化二窒素の発生量が増えるのか減るのかというのを抑えておくことが重要であると考えてこのような分析を行っています」
温室効果ガスの一酸化二窒素が増えなければ、バイオ炭の実用化は一気に進む可能性があります。実験に協力する茶農家は。
茶農家 井伊谷融司さん>「ここのところ、気象の方もおかしくなってきてて、茶園を管理するにあたって、なかなか僕らも苦労してるので、そういうものが少しずつでも軽減されてくれればありがたい」
今回の実験で使われたバイオ炭は市販のもみ殻からつくったものですが、いずれはお茶の枝などからつくるより持続可能な形も模索しています。
バイオ炭の実験は2025年まで行う予定で、その実用性を研究していくということです。