2022年9月27日火曜日

避難者への賠償基準の見直し 議論の必要性を指摘 原賠審中間報告

 原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)は26日、指針を上回る東電の賠償責任を認めた七つの集団訴訟判決を分析した結果をまとめましたそして指針が考慮していない点を議論する必要性を指摘しましたが実際に見直しをするのか否かについては結論を先送りしました。

 原陪審の「中間指針」の不合理さについては、これまで弁護士会から繰り返し指摘されてきましたが、原陪審は再検討の要求について会長(議長)が門前払いし議題にすらなりませんでした。
 今回ようやく原陪審が腰を上げかけたかに見えましたが、実際は前向きに進むのかどうか予断を許しません。
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避難者への賠償基準の見直し、議論の必要性を指摘 原賠審中間報告
                            毎日新聞 2022/9/26
 東京電力福島第1原発事故による避難者への賠償基準「中間指針」を見直すかどうか検討している国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)は26日、指針を上回る東電の賠償責任を認めた七つの集団訴訟判決を分析した結果をまとめた。指針が考慮していない点を議論する必要性を指摘したが、見直しの可否については結論を先送りした。
 原賠審の専門委員がこの日公表した「中間報告」によると、避難を余儀なくされた ▽故郷の喪失・変容 ▽自主避難――の三つの損害に対する慰謝料を主な論点に、検討を深めることが必要とした。
 その上で、避難当初の過酷な状況が十分に指針で考慮されていたか ▽故郷の変化は指針で示されず、議論の対象となっていなかった ▽各判決が認めた自主避難の賠償期間や賠償額は指針で定めたものとは異なる――などを指摘した。
 原賠審は今後、専門委員による最終報告を受けて指針の見直しの可否を判断する。原賠審の内田貴会長は「なるべく早く結論を出したい」と話した。
 中間指針は2011年8月に定められた賠償基準で、避難指示に基づく強制避難者の精神的賠償額などを定めている。七つの集団訴訟で指針を上回る賠償を認めた判決が確定し、原賠審は初めて基本的な見直しも含めた検討を進めている。【鳥井真平】


原発事故の賠償基準「中間指針」 国の審査会は見直し要否示さず
                         テレビユー福島 2022/9/26
原発事故に伴う賠償の基準「中間指針」について議論する国の審査会は26日、基準を見直すかどうかを判断する中間報告をまとめました。
原発事故の賠償をめぐる7つの集団訴訟で、東京電力の責任が確定したことを受け、審査会では基準を見直す必要があるかどうかを議論してきました。
26日の中間報告では、原発事故による故郷の喪失や自主避難に伴う慰謝料について、「さらに検討を深める必要がある」として、見直しに向けた結論には、至りませんでした
委員からは、「指針を全面的に見直すのではなく、『第5次追補』という形が望ましいのではないか」という意見が出されました。
審査会の内田貴会長は、指針の見直しについて、「中間報告では方向を明確にすることを避けた書き方になっている。現時点で予断をもって判断することはできない」と話しています。