2022年9月25日日曜日

25- 北海道富津町の高校生が福島第1原発を訪れて【北海道発】

 北海道寿都の高校生と福島県の高校生が8月7日~12日、6日間にわたり相互に相手の土地を訪れて福島第1原発の現状と富津町での核のゴミ埋設候補地等を見学しました。その様子を24日、FNNTVが報じました。
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「見るだけで心が痛い」高校生が福島第一原発へ 地元が「核のごみ」処分場“調査”に手を挙げ…【北海道発】
                     FNNプライムオンライン 2022/9/24
高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定にむけて、文献調査が進む北海道寿都町。
処分場は誘致すべきなのか…寿都町の高校生がこの夏、「核の今と未来」に向き合った。
    【画像】福島第一原発の現状を視察する高校生

夏も強い風が吹く北海道の寿都町。夏休み中の高校に生徒が集まってきた。
寿都高校生:福島のことを、いろいろ知れたらいいなと思います
特産のウニ漁が最盛期を迎えた8月。寿都高校の生徒は福島に向かう準備を進めていた。
寿都町の高校生は、何を思い、被災地を訪れるのか。

動き出す"核のごみ"…高校生が見た「現実」
寿都高校2年・沖田一心さん寿都町が、核のごみの処分場の調査を始めたのがきっかけです
沖田さんが住んでいるのは、隣の島牧村だが、寿都町での文献調査は自分たちの未来にも関わると感じている。
そして、1年生の三浦碧唯さん。福島県での体験を将来の町づくりに活かしたいと考えた。
寿都高校1年・三浦碧唯さん寿都町に協力できるようなことを体験したい
日本の原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物。
たまり続ける、いわゆる「核のごみ」の最終処分場選定調査に、2020年に寿都町が手を挙げた。現在、第一段階となる文献調査が行われていて、周辺市町村を巻き込み、賛否両論の声が渦巻いている。
今回の研修には、寿都町の高校生10人と福島県の高校生10人が参加。寿都町と福島県をお互いに訪問する形で行われた。
福島県を訪れた高校生の前に広がっていたのは、10年以上が過ぎた今も、むき出しの鉄骨が残る福島第一原発だ。廃炉に向けた作業が続いている。
東京電力の担当者4号機の燃料プールに、一番燃料が入っていたので、4号機から一番最初に工事を着手した
東日本大震災当時、5歳から6歳だった生徒たち。初めて見る原発事故の現場。
東京電力の担当者2号機もまだ、使用済み燃料プールから燃料の取り出しの方は行われておりません。なるべく作業員が被ばくしないように時間短縮に努めています
ときおり響く警告音のようなものが、高校生を緊張させる。
寿都高校1年・中山凌空さん第一原発のがれきがあって、10年以上経ってもあれだけ残っているとは。(原発事故は)経験していないけど、すごく大きかったんだなと思った。見るだけで心が痛くなった
原発を間近に見て、考えが揺らぐ。
寿都高校1年・中山凌空さん持ってきたりするのもダメなのかなと。いまいちわからない気持ちです
研修会を企画した福島のNPO法人の理事長西本由美子さんは、賛成か反対かの前に自分で見て、考えることが何より大切だと話す。
ハッピーロードネット・西本由美子理事長:子どもたちと核のごみ。福島も寿都町も同じ話題を抱えている。抱えているだけで、なかなか言葉に出せない子どもたちがいる。自分の目で確かめてほしい。そのうえで自分たちが何をしなければならないか。全国に発信できたり、世界に発信できたら素敵ではないか
高校生たちは、かみしめる様に被災地を歩く。続いて向かったのは…

あふれる"廃棄物" 「これが地元だったら…」
双葉町役場・橋本靖治さん2045年まで保管するから「中間」です。その一方で、最終処分する地はまだ決まってません
除染で取り除かれた放射性廃棄物の保管施設を案内するのは、原発が立地する双葉町職員の橋本靖治さん。
4年前から被災地を案内してきた。東京ドーム100個分にもなる広大な中間貯蔵施設。
最終処分がどこで行われるのかは、まだ決まっていない。行き場のない廃棄物が核のごみと重なる。
そのあと訪れたのは、橋本さんの大切な場所だ。
双葉町役場・橋本靖治さん真正面に見える2階建ての建物。あれが僕が育った実家
実家は空き巣の被害に遭い、さらにイノシシなどに荒らされている。
双葉町役場・橋本靖治さん見ないという人がいたら全然オッケー。無理しないで
足の踏み場もない状態、1分も経たずに外に出る高校生も
参加した高校生やば、やば、やば。もう満足、行こう、行こう
避難指示は解除されても、帰還することは現実的ではない。
もう一つ、見てほしい場所があった。橋本さんの娘も通っていた小学校だ。
双葉町役場・橋本靖治さんこの小学校は片づけられていて、きれいになっています
教室に残るランドセル。持ち主はいま19歳になっている。学校の時は、2011年の3月11日で止まっている。
参加した高校生:リアルに初めて見て、悲しいというか、しんみりしましたね
参加した高校生見てみると悲惨な状況下で、これが自分の地元だったらやるせない、という思いがあります

核がもたらす"今と未来"…将来担う若者たちの「葛藤」
復興が進んだとされる被災地。そこから取り残された場所が確かにあった。
寿都高校1年・蝦名由芽子さん核のごみに対して怖い気持ちを持つ人がたくさんいると思うので、正しいことを伝えて知ってもらわなければと思いました
さらに、寿都町だけでは決められないと感じた高校生もいる。
寿都高校1年・蛯名翔太さん福島でも原発が2つの町で共同でやっていたので、寿都町も他の町や村に許可を得てというか、後志全体で意見が合致してからの方が、僕はいいのかなと思いました

町の未来を考えるとき避けて通れなくなった、核という存在。どう向き合っていくのか、考え続ける旅は始まったばかりだ。   (北海道文化放送)