2022年9月12日月曜日

デブリ取り出し難航 福島第1原発

 福島第1原発事故から11年半1~3号機原子炉格納容器内に残る880トンのデブリの取り出しにはまだ着手出来ていません。福島民報がその間の事情やトリチウム水の海洋放出工事の問題を取り上げました。以下に紹介します。
 元記事にはトリチウム水の海洋放出に至る経緯が「年表形式」でかなり詳細に記載されていますが、その分は割愛しました。
 ご覧になりたい方は下記から原記事にアクセスして下さい。
 ⇒<廃炉・処理水>デブリ取り出し難航 東京電力福島第一原発【震災・原発事故11年6カ月 福島県】(福島民報 
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【震災・原発事故11年6カ月 福島県】
<廃炉・処理水> デブリ取り出し難航 東京電力福島第一原発
                             福島民報 2022/9/11
 東京電力福島第一原発事故から11年半になろうとしているが、1~3号機原子炉格納容器内に残る溶融核燃料(デブリ)の取り出しには着手できていない。東電は8月、2号機からの取り出し開始時期を「2022(令和4)年内」から「2023年度後半」に再延期すると発表した。3号機からの取り出し工法として、建屋全体を巨大な水槽のような構造物で囲い建屋ごと水没させる「冠水工法」の導入案も浮上した。

■2号機の着手再延期 3号機「冠水工法」導入案も
 東電は2号機からの取り出し開始の再延期理由について「安全性と確実性を高めるため」としている。取り出しに使うロボットアームと呼ばれる大型機器やアームを動かす制御プログラムなどに改良すべき点が見つかった上、格納容器内から放射性物質が漏れないように密閉する「隔離部屋」と呼ばれる設備が損傷するトラブルも発生し、対策が必要になったという。
 東電は当初、2021年内の取り出し開始を目指していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で機器開発が遅れ、2022年内に延期していた。再延期によって当初計画からは約2年遅れるが、30~40年かかるとされる廃炉作業の工程全体に「影響はない」としている。
 冠水工法は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の2022年版「廃炉戦略プラン」の要旨に盛り込まれた。水には放射線を遮る効果があり、被ばく低減などの利点があるとしている。従来想定されていた「気中工法」に加え、冠水工法も検討を進める
 1号機では、デブリ取り出しに向けた格納容器内部調査が行われている。容器底部を水中ロボットで撮影した結果、大量の堆積物が広範囲にある様子を捉えた。デブリが含まれている可能性がある。圧力容器を支える土台のコンクリート部分が損壊し、鉄筋が露出している様子も捉えた。
 デブリ取り出しは福島第一原発の廃炉の最難関とされる。炉心溶融を起こした1~3号機のデブリは総量で約880トンに上るとの推計がある。東電と国は2041~2051年までにデブリを取り出し、廃炉を完了させる計画だ。

■トンネル掘削進む 漁業者 風評懸念、強く反対 処理水海洋放出
 福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水処分に向け、東電は処理水を沖合約1キロに放出する海底トンネルの掘削作業を進めている。シールドマシンと呼ばれる大型掘削機を使い、既に約80メートルを掘り終えた。全国の消費者に理解が十分に浸透していないとして、漁業者は風評被害の恐れから海洋放出に強く反対。2023年春ごろとする政府の思惑通りに放出を開始できる保証はない
 福島第一原発では処理水をためる1060基のタンクが林立し、敷地を圧迫している。8月25日現在、タンク容量全体の96%に上る約131万トンの処理水がたまる。東電は原子力規制委員会から放出設備着工に必要な認可、県、大熊、双葉両町から同意を得た。県は要求事項として工事の安全性確保やトラブルの未然防止など8項目の順守を東電に求めている。
 政府は8月30日、風評抑止策などを盛り込んだ行動計画を初めて改定し、全国的な情報発信の強化などを盛り込んだ。ただ、取り組みの効果の検証を含め、国民理解の醸成に結び付けられるかは不透明だ。
 県内では漁業者を中心にあらゆる産業、市町村議会などから新たな風評の発生への懸念や慎重な対応を求める声が根強い。政府が3日にいわき市で開いた「廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会」で県町村会長の遠藤智広野町長は「処理水は日本全体の問題」と指摘し、風評抑止に向けた情報発信の徹底を訴えた。

■廃炉・処理水 処理水処分を巡る経過
(以下省略 <廃炉・処理水>デブリ取り出し難航 東京電力福島第一原発【震災・原発事故11年6カ月 福島県】(福島民報 を参照)