2022年9月29日木曜日

29- 韓国と中国がIAEAで懸念示す 福島原発のトリチウム水 海洋放出で

 IAEA年次総会で、福島第1原発のデブリ冷却水から発生するトリチウム水の海洋放出に対し、韓国と中国はそれぞれ、原発事故に伴う汚染水の海洋放出は史上初のこと、安全性が確保されていないなどと反対を表明しました。
 日本は通常の原発稼働時にも微量のトリチウム水を海洋に放出しているから問題ないという立場ですが、正常な原発では発生源のウランは被覆された状態で、ある程度核分裂が進んだ時点で「使用済み核燃料」として引き抜かれて別系統の処理に移行するのに対して、福島のトリチウム水は基本的にはウランを主成分とするデブリがなくなるまで続くので、放射性物質の絶対量が全く違います。
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韓国がIAEAで懸念示す 福島第一原発の処理水 海洋放出方針で
                    NHK NEWS WEB 2022年9月28日
東京電力福島第一原子力発電所にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を海に放出する方針をめぐってIAEA=国際原子力機関の年次総会で韓国の代表が「汚染水が海に放出される」と懸念を表明したのに対し、日本側は基準を下回る濃度に処理されるものだと説明して理解を求めました。
福島第一原発にたまり続ける処理水について、日本政府と東京電力は、基準を下回る濃度に薄めて海に流す方針です。
これについて27日、オーストリアのウィーンで開かれているIAEAの年次総会で、韓国の代表が演説し「原発事故で発生した汚染水が海に放出される史上初のことになる」と述べて懸念を表明し、科学的に安全な方法で行うことなどを求めました。
これに対して、日本の引原大使が発言し、放出する方針なのは、韓国の言う「汚染水」ではなく、基準を下回る濃度に薄めた処理水だと説明して、理解を求めました。
会場では、このあと中国の代表が発言の機会を求め、日本の計画は安全性が確保されていないとして批判しましたが、引原大使はこれに対して「安全で科学的なやり方で進め、IAEAが厳格な評価を行うことになる」などと述べ、IAEAと協力して対応していく姿勢を改めて強調しました。


「汚染水」か「処理水」か 日本、中韓と応酬に
                            共同通信 2022/09/28
【ウィーン共同】東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出計画を巡り、ウィーンで開催中の国際原子力機関(IAEA)総会で韓国と中国が27日、日本と応酬した。発言の中で「汚染水」という言葉を使う韓国と中国に対し、在ウィーン日本政府代表部の引原毅大使は「適切な表現は処理水だ」と反論した
 政府はトリチウムを含む処理水を、海水で薄めて海に放出処分すると2021年4月に決定。国内外で稼働中の原子力施設でも、トリチウムを含む水は規制に従って海に放出されている。

 韓国は海洋放出による「未確認の影響」への懸念があると訴えた。中国は日本側が事実を隠そうとしていると主張した。