2022年2月11日金曜日

11- 震災・藤沼湖決壊の記憶後世に 記録誌完成

 東日本大震災で決壊した福島県須賀川市長沼地区の農業用ダム「藤沼湖」について、地元区長らが被災者の証言などをまとめた記録誌「あの日を忘れない―そして語り継ぐ未来へ」を完成させまし当時貯水されていた約150万トンの水が集落に流れ、7人が死亡、1人が行方不明となりました。
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震災・藤沼湖決壊の記憶後世に 被災者の証言まとめた記録誌完成
                        福島民友 2022年02月10日
 東日本大震災で決壊した福島県須賀川市長沼地区の農業用ダム「藤沼湖」について、地元区長らが被災者の証言などをまとめた記録誌「あの日を忘れない―そして語り継ぐ未来へ」を完成させた記録誌は今後、地区住民や市内の学校、公共施設のほか、市外にも配布して災害の記憶を継承する。9日、地元区長らが市役所を訪れ、橋本克也市長に完成を報告した。
 決壊では、当時貯水されていた約150万トンの水が集落に流れ、7人が死亡、1人が行方不明となった
 災害の記憶を伝えようと2018(平成30)年6月ごろから、長沼地区の区長柏村国博さん(66)と被災者の会の元会長森清道さん(65)らが中心となって編集作業を始めた。「当時の話に触れたくない」と断られることもあったが、粘り強く聞き取りを行った。
 記録誌には「藤沼の方を見たら黒い水と杉の木が来た」「廊下の手すりにギッチリつかまっていた。水がガバガバ来た」と、決壊当時の証言がありのままに書かれている。編集の中で新たな証言や写真も寄せられ、当時の状況がより詳しく分かってきたという。柏村さんも、初めて自宅周辺で起きた濁流の写真を見て「自宅の裏がここまで被災していたとはと、ぞくっとした」と振り返る。
 市役所を訪れた柏村さんは「当時を知らない子どもたちにも、藤沼湖で起きたことを知ってほしい」、森さんは「同じような事故が二度と起きないよう、記録誌を役立ててほしい」と話した。橋本市長は「当時何があったかを記録として残していただき、大変ありがたい」と話した。

記録誌「あの日を忘れない」を作った柏村さん(左)と森さん