東電は、柏崎刈羽原発6号機の原子炉建屋に直結する大物搬入建屋を支えるくいが損傷していた問題で、8本あるくいのうち2本が、建設工事の残置物(=セメントと土を混ぜた「改良土」)と接触した状態のまま施工されたため、地震の揺れの力がこれらのくいに集中したという分析を明らかにしました。今後、くいで支えられた建物のうち主な25施設について、くいに影響を与える物が周辺に埋まっていないか調べます。
6号機の重大事故時に使用する排気設備「フィルター付きベント」の基礎付近でも、ボーリング調査で残置物のようなものが見つかったので、周辺を掘削しくいへの影響を調べます。
また改良土がないことが確認されている4号機大物搬入建屋のある荒浜側は、6号機よりも中越沖地震の揺れが大きかったので、くいの状態を調べて比較します。
原子力規制庁には17日に調査結果を説明。3月1日にも同庁の現地調査を受け入れる方向で調整しています。
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柏崎刈羽原発くい損傷「中越沖地震で」東電が調査結果を公表、主要25施設調査へ
新潟日報 2022/2/24
東京電力柏崎刈羽原発6号機の原子炉建屋に直結する大物搬入建屋を支えるくいが損傷していた問題で、東電は24日、2007年の中越沖地震で損傷したとする調査結果を発表した。一部のくいが、建設工事の残置物と接触した状態のまま施工されたため、地震の揺れの力が一部のくいに集中したと分析した。東電は今後、くいで支えられた建物のうち主な25施設について、くいに影響を与える物が周辺に埋まっていないか調べる。
6号機の重大事故時に使用する排気設備「フィルター付きベント」の基礎付近でも、ボーリング調査で残置物のようなものが見つかった。東電は周辺を掘削し、くいへの影響を調べる。
東電によると、残置物はセメントと土を混ぜた「改良土」。6号機建設中の1992年、大型クレーンを置く地盤を補強するため、原子炉建屋付近に埋められた。
工事後は原則撤去するルールだったが、埋設した企業は、東電に大物搬入建屋周辺に改良土を残したことを報告しなかった。94〜95年にくいを打った別の企業も、改良土の影響で地盤が硬くなっていることを認識したが、東電に報告しなかった。
大物搬入建屋のくい8本のうち、改良土と接触していた2本は耐震性能に支障が出るほど壊れ、東電は補修が必要と判断した。最も南東側の1本は、8本のくいが均等に地震の力を受けた場合と比べ、約3倍の力がかかったと試算した。
他にも3本でひび割れが見つかったが、耐震性能に影響はないとしている。
同原発の稲垣武之所長は24日の定例会見で、改良土が残っていることを把握していなかったことについて「発注者として適切に管理することが望ましかった」と述べた。
東電は今後、6号機大物搬入建屋と同様の構造で、改良土がないことが確認されている4号機大物搬入建屋の周辺も掘削する。4号機のある荒浜側は、6号機のある大湊側よりも中越沖地震の揺れが大きく、くいの状態を調べて比較する。
東電は同日、6号機大物搬入建屋の地下で損傷したくいを報道陣に公開した。原子力規制庁には17日に調査結果を説明。3月1日にも同庁の現地調査を受け入れる方向で調整している。
原発構内の建屋の損傷”杭” 補修工事を公開【新潟】
UX新潟テレビ21 2022/2/24
「安全性に問題はない」
東京電力は建物を支える基礎の「杭」の損傷が見つかった柏崎刈羽原発6号機の「大物搬入建屋」の補修工事の様子を報道陣に公開しました。地下部分にある8本の杭のうち上部のおよそ5m部分。東電は、原発の再稼働に向けて安全対策工事を進めていますが去年、地中の鉄筋コンクリート製の杭にコンクリートの「はがれ」など損傷が見つかりました。東電の調査では1992年に建屋を建設の際、地盤強化のため注入された「セメント改良土」が杭の周りに残されていました。本来は工事終了後撤去しなければならないもので、この「セメント改良土」が2007年に起きた中越沖地震の際に杭の動きを制限したため損傷したとみています。東電は「原子炉や建物の安全性に問題はない」としていますが補修工事を進めます。
中越沖地震の揺れが原発施設の杭の損傷につながったか 東京電力
BSN新潟放送 2022/2/24
新潟県にある柏崎刈羽原発の施設の杭が損傷していた問題で、東京電力は24日、調査の結果、中越沖地震による揺れが損傷につながったとみられることを明らかにしました。さらに、工事後に撤去すべきセメント改良土が残されていたことが、損傷を拡大させたとみています。
東京電力は24日、損傷が見つかった6号機の「大物搬入建屋」の杭を報道陣に公開しました。「大物搬入建屋」は原子炉建屋につながっていて、核燃料の出し入れなどに使われます。
この施設では去年7月、耐震工事を行っていた際、施設を地下で支える鉄筋コンクリートの杭に、鉄筋の破断などの大きな損傷が見つかっていました。東電は損傷の原因について調査を進めていましたが、2つの事象が重なり損傷につながったとみられると明らかにしました。
1つは、建設工事の際に地盤を補強するために使ったセメント改良土です。これは本来、工事後に撤去することになっていましたが、残ったまま建設が進みました。そして…。
【柏崎刈羽原発 稲垣武之所長】:「中越沖地震の際に杭の動きを拘束したため、杭頭部に地震力が集中してしまい『せん断』と呼ばれる、物体を挟み切るような動きの作用によって損傷が生じたものであると推定している」
セメント改良土が残っていたことで、地震の揺れの力が一部の杭に集中してかかったため損傷につながったとみられるということです。また東電は、大きな損傷が見つかっていた杭とは別の杭1本も、耐震性能に影響を及ぼすほどの損傷があったことを明らかにしました。
【柏崎刈羽原発 稲垣武之所長】:「側面を補強していて、中越沖と地震クラスであれば十分、耐えられる」
6号機ではフィルタベントと呼ばれる施設の地下でもセメント改良土のようなものが見つかっていて、東電は施設への影響を調べるとともに、地下に建設残置物が残されている箇所が他にもないか調査するとしています。
柏崎刈羽原発6号機の“くい損傷”問題 硬い『改良土』の影響で力が集中か 《新潟》
TeNYテレビ新潟 2022/2/24
柏崎刈羽原発6号機の大物搬入建屋を支えるくいが損傷していた問題です。東京電力は損傷の原因を「くいの周りを覆っていた硬い材質の土が中越沖地震で振動し、くいに力が集中したため」との見方を明らかにしました。
<記者リポート>
「柏崎刈羽原発6号機の地下に来ています。こちらが損傷があったくいです。本来であれば基礎部分とつながっている鉄筋は切断されていて、これから補修工事が行われるということです」
建物を支えるくいが損傷していたのは、核燃料などを搬入する際に使う柏崎刈羽原発6号機の大物搬入建屋です。
去年7月、コンクリート製のくいの内部の鉄筋が破断や変形をしていました。全部で8本あるくいのうち、No.8・No.6の2本の損傷が特に大きいということです。
原因について、柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は…
〈柏崎刈羽原発 稲垣武之所長〉:「『セメント改良土』が中越沖地震の際にNo.8のくいの動きを拘束したため“せん断”と呼ばれる物体をはさみ切るような動きにより損傷が生じたものであると」
損傷の激しいくいの周辺にはセメントと土を混ぜてつくられ周囲の地盤よりも硬い『セメント改良土』が埋められていました。東京電力は、中越沖地震の際にこの硬い『セメント改良土』が影響して強い力がくいにかかったのが原因とみています。
『セメント改良土』は6号機建設の際、重機を置く場所の地盤を補強するため使われました。
本来は工事終了後に建設業者が撤去すべきものでしたが、撤去されず、その報告もありませんでした。
〈柏崎刈羽原発 稲垣武之所長〉
「ルールを完全に順守してなかったんではないかというところはありまして」
東京電力は同じような状況が中越沖地震の後に設置した建物のくいに関してもあるのかどうか調べています。