毎日新聞が、柏崎刈羽原発のくい損傷に関する記事を出しました。詳報として紹介します。
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柏崎刈羽原発のくい損傷「中越沖地震の影響」 施工時の問題か
毎日新聞 2022/2/25
東京電力柏崎刈羽原発で6号機地下のくいに損傷が見つかった問題について、同原発の稲垣武之所長は24日の定例記者会見で「中越沖地震の影響と推察される」との見解を示した。施工時に使用され本来なら撤去するはずだった硬いセメント改良土が地中に残り、一部のくいを覆っていたことが判明し、損傷につながった可能性を指摘。施工時の問題が浮上するとともに、東電の施工管理も問われる形となった。【内藤陽】
この問題は、6号機原子炉建屋に隣接する「大物搬入建屋」の基礎を支える8本の鉄筋コンクリート製くい(直径1・8メートル)のうち、8番くいの1本が損傷しているのが見つかったもの。内部には18本の鉄筋(直径3センチ)が通り、7本が破断、11本が変形していた。
東電の調査によると、損傷は建物南東側に隣り合って設置されている8番くいと6番くいの2本に集中していた。要因について、施工時の写真の確認や関係者への聞き取りを行った結果、8本のくいは基本的に砂からなる軟らかい地盤の中に打ち込まれているが、損傷した2本の周囲では改良土を含む硬い地盤の存在が確認された。
硬い地盤は、1992年の6号機建設時に原子炉などをつるす大型クレーンを固定する地盤補強に使用された改良土の残りであることが判明。硬い改良土は8番くいを覆い、隣の6番くいにも達しており、2本の損傷は中越沖地震(2007年)の揺れで圧力が集中したためとみられる。
改良土は契約上、発注者の東電が支障なしと認めた場合以外は撤去するルールになっていたが、施工業者からの報告はなかったという。稲垣所長は会見で「報告がなかったことは遺憾だが、反省点として敷地内にある地下残留物を図面に落とし込むなどして施工管理を強化していきたい」と話した。同原発では6、7号機の消火設備でも施工業者による配管の溶接不備があり、東電の施工管理の甘さが露呈している。
他のくい支持構造物の調査も実施し、6号機で新たに、重大事故時に原子炉格納容器の破損を防ぐ排気設備「フィルター付きベント」周辺にも改良土のようなものが認められた。東電は掘削し、確認するとしている。
東電は21年3月から安全対策工事の一環として地下を掘削し、同8月、8番くいの損傷を確認。他のくいを含め調査していた。