2022年2月12日土曜日

女川原発防災訓練始まる 避難計画の実効性検証に課題

 女川原発の重大事故を想定した初めて原子力総合防災訓練が10日始まりました。11日は原子炉が冷却不能になったとして、政府が原子力緊急事態宣言を出し、首相官邸や県庁、自治体、県女川オフサイトセンターをテレビ会議システムで結んで会議を開きました。

 避難訓練は11日に原発5キロ圏や離島など、12日には5~30キロ圏の7市町から避難先へそれぞれ出発します
 新型コロナウイルスの感染拡大で地元住民は全日程で参加しないため、自治体職員が住民役を務めます。
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女川原発防災訓練始まる 住民不在、避難計画の実効性検証に課題
                        河北新報 2022年02月11日
 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の重大事故を想定した政府と宮城県の原子力総合防災訓練が10日始まった。女川原発での開催は初めて。11、12日に原発30キロ圏からの避難訓練を実施し、県内31市町村に約20万人が逃れる広域避難計画に沿って県や自治体が車両検査場所や避難所の運営を確かめる。新型コロナウイルスの感染拡大で地元住民は全日程で参加しない

 三陸沖を震源とする最大震度6強の地震と大津波警報発令で、運転中の女川2号機が緊急停止したとの想定。県は災害対策本部会議を庁内で開き、原子炉への給水ポンプが故障し、非常用システムで冷却を試みている状況が説明された。
 村井嘉浩知事は「県女川オフサイトセンターに現地対策本部を設置する準備を進めてほしい。住民の避難が必要であれば、的確な情報提供をお願いしたい」と指示。県民には「今後の情報に留意し、市町の指示に従って落ち着いて行動してください」と呼び掛けた。

 11日は原子炉が冷却不能になったとして、政府が原子力緊急事態宣言を出し、首相官邸や県庁、自治体、県女川オフサイトセンターをテレビ会議システムで結んで会議を開く。避難訓練は11日に原発5キロ圏や離島など、12日には5~30キロ圏の7市町から避難先へそれぞれ出発。自治体職員が住民役を務める
 訓練全体を通して(1)関係機関の初動(2)国と現地との連携による意思決定(3)住民避難-などを点検する。PCR検査などで新型コロナの陰性を確認した省庁や自治体、東北電、自衛隊など120機関の約2200人が参加する。
 女川原発での総合防災訓練は昨年2月に予定されたが、新型コロナの影響で延期された。本年度は「原子力災害はいつ起きるか分からない」(山口壮原子力防災担当相)ことなどを理由に実施が決まったが、住民不在の訓練となり、避難計画の実効性検証に課題を残す


政府 東北電力・女川原子力発電所の事故を想定した防災訓練
                     TBSニュース(JNN) 2022/2/11
政府はきょう、総理官邸で東北電力・女川原子力発電所の事故を想定した防災訓練を行いました
岸田首相「原子炉注水機能の喪失が発生したとの通報を受けました。これを受け、原子力規制委員会は原子力緊急事態が発生したと認めました」
訓練は宮城県沖を震源とした地震により、運転中の女川原発2号機が緊急停止し、原子炉注水機能が失われたなどの想定で行われました。今回の訓練は女川地域の防災体制や避難計画の検証などが目的です。
女川で原子力緊急事態を想定した訓練が行われるのは初めてで、昨年度は新型コロナウイルスの影響で中止となっていました。
岸田総理は原子力災害対策本部を開き、オンラインで被災した県の知事や原子力事業者と被害状況の確認などを行いました。


離島や女川原発5キロ圏からの避難想定 職員参加し防災訓練2日目
                        河北新報 2022年02月12日
 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の重大事故を想定した政府と宮城県の原子力総合防災訓練は11日、2日目を迎えた。岸田文雄首相の原子力緊急事態宣言を受け、関係機関の情報連絡体制を確認。原発5キロ圏や離島では30キロ圏外への避難訓練が行われ、新型コロナウイルスの感染拡大で不参加となった住民に代わり、自治体職員が避難経路をたどった。
 前日発生した地震と津波で緊急停止した女川2号機が原子炉を冷却できなくなったとの想定。首相官邸で会見した岸田首相は原発5キロ圏内と牡鹿半島南部、離島の住民約3500人に避難を指示し、5~30キロ圏の7市町には屋内退避を求め、「防災無線やラジオ、テレビなどで情報収集し、自治体の指示に従って行動してほしい」と呼び掛けた。
 続いて官邸や県庁、立地市町、現地対策本部のある県女川オフサイトセンターをオンラインでつなぎ、政府の原子力災害対策本部会議を開催。首相や原子力規制委員会の更田豊志委員長、山口壮原子力防災担当相、村井嘉浩知事ら立地自治体の首長が原子炉や住民避難の状況を共有した。

「本当の意味での備えにならない」
 避難訓練は立地2市町の一部地域が対象。女川町の出島では住民役の町職員2人が「シーパル女川汽船」の旅客船で出発。女川港からバスで栗原市へ向かった。同社機関長の月浜秋則さん(62)は「放射性物質漏れなどの状況次第では訓練通りできるか分からない」と指摘。別の船員は「岸壁に被害が出れば船を着けられない。さまざまなケースの訓練が必要」と訴えた。
 栗原市の体育館駐車場では、女川町民を各避難所に振り分ける「避難所受付ステーション」の運営訓練を実施。両市町の職員が車両誘導やドライブスルー方式での聞き取りを担った。
 バスなどは2分前後で手続きを終え、避難先に向かった。栗原市の佐藤明広危機管理監は「住民が参加して定期的に訓練しないと、本当の意味での備えにはならない」と指摘した。
 訓練最終日の12日は放射性物質が放出されたとして、5~30キロ圏の住民役の自治体職員が避難訓練を行う。避難計画では、30キロ圏内の約20万人が陸海空路で県内31市町村に逃れる。東北電は2022年度以降の2号機再稼働を目指す