女川原発の原子力総合防災訓練は12日、原発5~30キロ圏からの住民避難を実施し、住民役を務める自治体職員約140人がバスや乗用車で30キロ圏外の避難先5カ所に向かい、経路や手順を確かめました。
これで10日~12日の3日間に渡る訓練を終わりました。終了後、政府と宮城県は積み残した課題を検証し、必要な改善を図る考えを示しました。
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女川原発防災訓練 検査場混雑、遅れも 30キロ圏内住民避難実施
河北新報 2022年02月13日
東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の原子力総合防災訓練は12日、原発5~30キロ圏からの住民避難を実施した。放射性物質が放出されたとの想定で、住民役を務める自治体職員約140人がバスや乗用車で30キロ圏外の避難先5カ所に向かい、経路や手順を確かめた。
石巻市での避難訓練には村井嘉浩知事、斎藤正美市長と市職員ら計約40人が参加。市渡波中から宮城県涌谷町を経由し、大崎市を目指した。
渡波中では職員らが安定ヨウ素剤を模したあめを受け取った後、バス2台と乗用車35台に乗車。新型コロナウイルス感染対策で発熱者役の4人は別に用意されたバス1台に乗り込んだ。
涌谷町の涌谷スタジアムでは除染設備を備える「避難退域時検査場所」の運営訓練を実施した。県職員が到着した車両の放射線量を測定し、線量の高い車両に乗っていた村井知事らが汚染の有無を調べる検査を受けた。
検査場所での受け付けに時間がかかり、避難所が開設された大崎市の古川保健福祉プラザには想定より約20分遅れて到着。新型コロナ対策で発熱者、濃厚接触者、一般、高齢者ら要配慮者の計4グループに分かれ、各部屋に誘導された。
村井知事は終了後の取材に「涌谷スタジアムは混み合っていた。スムーズに安全な場所へ誘導することは重要だ」と強調。新型コロナ感染拡大で住民参加が見送られたことに触れ「新年度以降に住民参加の訓練をして、さまざまなケースを検証したい」と述べた。
訓練終え政府と宮城県「改善図る」
東北電力女川原発の重大事故を想定した政府と宮城県の原子力総合防災訓練は12日、原発5~30キロ圏からの避難訓練などを行い、3日間の日程を終えた。新型コロナウイルスの感染拡大で住民不在となった避難訓練を含め、政府と県は積み残した課題を検証し、必要な改善を図る考えを示した。
訓練は女川2号機の原子炉が地震と津波で冷却不可能となり、放射性物質が放出されたとの想定。11日は原発5キロ圏など、12日は30キロ圏の県内7市町を対象に避難指示が出され、住民役の自治体職員延べ160人が乗用車やバスで30キロ圏外へ向かった。
避難計画では、30キロ圏の約20万人が県内31市町村に避難し、途中で車両の放射線量検査を受ける場所と、避難所を案内される「避難所受付ステーション」を通る。今回、受け入れ先として運営訓練に参加したのは名取、栗原、大崎、亘理の4市町だった。
終了後、県原子力安全対策課の伊藤健治課長は「検査や受け入れに時間のかかった場所もあると聞いた。参加者への聞き取りを行い、訓練の反省点を分析して対策を講じたい」と語った。
現地対策本部を設置した県女川オフサイトセンター(女川町)の運営などを含め、訓練全体では省庁、自治体、自衛隊など128機関の約2200人が参加。悪天候や搭乗者のコロナ感染で、航空機による地上モニタリングなど一部の訓練は中止された。
内閣府の松下整(ひとし)審議官は「大筋では大きなミスなくできた」と総括。住民の不参加で、避難する際の渋滞状況などを確認できなかった点については「実際と同じ形でできないのは仕方ない。さまざまな調査や日頃の渋滞対策を応用しながら対応する」と説明した。