2022年2月16日水曜日

小児甲状腺がんと原発事故の関係をめぐり山口環境相と1問1答

 先に元総理5人「多くの子供たちが甲状腺ガンに苦しみ」などと書かれた書簡をEU委員会に送付したことに対して山口環境大臣4日、「誤った情報を広めている」と発言し、抗議の書簡5人の元総理らに送付していまし。その件について記者会見で質疑応答が行われ、TBS TVがその1問1答を報じました。

 全体として「誤った情報」というニュアンスはやや薄まりましたが明確な修正等はなく、同時に「誤った情報」とした根拠も明確にはなりませんでした。
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福島の小児甲状腺がんと“原発事故の影響”めぐり山口環境相は発言を修正か・・・小泉元首相ら声明の波紋続く
                           TBS  2022年2月15日
福島県での小児性甲状腺がんの原因をめぐって山口環境大臣は、きょうの会見で「引き続き調査すると言ったことはない」「福島県の専門家のレポート、国連のレポートの判断につきる」などと述べました。今月4日の発言を事実上修正した形です。
この問題は先月27日、小泉純一郎氏ら5人の総理大臣経験者が、EUでの原発活用の動きを受けて福島第一原発の事故の影響の大きさを訴える声明をEU側に送付していたことがきっかけです。
声明の中で、福島第一原発の事故によって「多くの子供たちが甲状腺ガンに苦しみ」などと書かれていたことに対し、山口環境大臣が「誤った情報を広めている」として、5人の元総理らに抗議の書簡を送付していました。
福島第一原発の事故をめぐっては、事故による放射能の影響で小児性甲状腺がんを発症したとして、当時6歳から16歳で福島県に住んでいた男女6人が東京電力に対し、損害賠償を求める裁判を先月、起こしています。
弁護団によりますと、小児甲状腺がんは年間の患者数が100万人に2人という極めて稀な病気ですが、福島県が事故当時概ね18歳以下だった約38万人を対象に甲状腺の検査をしたところ、がんやその疑いが266人に見つかり、222人が手術を受けています。
こうした中、福島の小児性甲状腺がんには原発事故が影響している可能性を指摘した元総理5人の見解は、現時点で山口大臣が抗議した通り、「誤った情報」と断定できるものかどうか。山口大臣は、今月4日の記者会見では「結論的に福島の原発が原因という風には断じられないという状況がずっと続いている」と述べた上で、「甲状腺がんは普通なかなか調べないが、(福島で)266人見つかったということでもあるので引き続き調査する」との考えを示していました。
しかし、きょうの会見で再び見解を問われた山口大臣は「現時点で、検査にて発見された甲状腺がんが被ばくによるものかどうかを結論づけることはできない」としながらも、元総理5人の見解が「誤った情報」と言い切れるのかどうかについては正面から回答を避け、「調査の継続」をめぐってもトーンダウンしました。

記者:2月4日の閣議後会見で甲状腺がん、原発事故による放射能による影響か断定できず引き続き調査すると述べられていたかと思うんですけど、現時点では放射線の影響があるのかという問題提起に対して「誤った情報」と断定できるのかどうか、なぜ誤った情報と断定しているのか、2月10日に環境省の貼り出しもあったかと思うんですけど、そのあたりが明らかにされていなくて、そのあたりの大臣のお考えを教えていただきたいと思います
山口環境相:きわめて明らかになっていると思います。引き続き調査すると私は言ったことはないと思います。国連の13年の報告書20年の報告書、そこを引用させていただきました。それから断定というのはなぜ断定と言われるのかわかりませんけど、国連の調査結果を引用させていただいています。
記者:2月4日の閣議後会見で「原発が原因という風には断じられない状況がずっと続いている」と大臣がおっしゃられていて、「断じられない状況がずっと続いている」ということはつまり明らかにされているわけではないというふうな意味なのかなと解釈したんですけど
山口環境相:それはあんまり解釈する話ではなくて、(10日の会見で)私は福島の報告書と国連の報告書を読み上げました。
記者:大臣のお考えとしては、専門家の会議の調査報告書や結果をそのまま環境省の考えとして示しているということ?
山口環境相:専門家が科学的知見に基づいて、かなり正確にいろいろと見ておられるわけですから、それが何よりも大事だと思います。私が申し上げているのは福島の方々の気持ちに寄り添う、あるいは当事者の方々の気持ちを一番大事にするとそういうことを申し上げています。
記者:念のため確認だったんですけど、甲状腺がんのところで、たしかに2月4日の記者会見のときに「266人見つかっているので引き続き調査していく」と。「結論的に原発が原因とは断じられない状況が続いている」と閣議後で大臣おっしゃっていて、つまり現時点では原発ではないと断定していない風にも聞き取れるような内容ではあったんですね。つまり、それは修正されるということで良いんですか?そういう理解ではないと?
山口環境相:(10日の会見で)福島県の報告と国連の報告を私は読み上げたつもりです。そこにつきます。私が専門家でもないのにいろいろ判断するつもりはありません。
記者:ようは事実上修正されるということですか?我々の理解も含めて。つまりここの部分に関しては、そのまま読み上げるというふうには全然読めないんです、普通にとらえれば。だから質問出たんだと思うんです、一応念のため。
山口環境相:もうしわけない、私今原文目の前に見てないからなんとも言えないですけど、私が今申し上げているのは福島県の専門家のレポート、国連のレポート、そこでの判断につきます。
記者:県民健康調査はまだ終わっていなくて、最終的な検証作業は続いていると思うんですけどそういった議論は引き続き見定めていくという考えになるんでしょうか
山口環境相:調査を打ち切ったということではないと私も認識していますから、そこまでじゃないでしょうか言えるのは。私の方で実施どうのこうのと言えるのかどうか、若干、いま判断できる材料を持っていないので。あんまり踏み込んだ発言しないほうがいいのかなと思います。
記者:いまの朝日さんと同じで2月4日の会見で「引き続き継続する」という風な意見を大臣がおっしゃったという風にしか理解できなかったんですけど、ここを確認したかったところなんです。
山口環境相:オープンエンドだと思ってください。
記者:オープンエンド?
山口環境相:要するに、打ち切ると言ったつもりはありません。
記者:継続は大事だというふうに・・・
山口環境相:私が申し上げているのは、福島県の方々の気持ちにより添いますと、そこがすべてです。
記者:きょうはそうおっしゃっていて、2月4日は続けるのが大事だというふうにしかとれなかったので、そこもやはり変わったのかなという風に感じるんですけど
山口環境相:そうですか。私はオープンエンドで打ち切ると言ったつもりはありませんというのが答えです。それは別にごく普通のことを言ってると思います。
記者:2月4日の会見の印象とはずいぶん一般的に読めばそういうふうに読めなかったので、ちょっと指摘させて頂きました。
山口環境相:きょう申し上げたとおりです。