2026年4月16日木曜日

柏崎刈羽原発6号機16日にも営業運転再開へ 再稼働反対の市民団体は「問題が取り残されたままの営業運転」に強く抗議

 柏崎刈羽原発6号機が営業運転を開始するに当たり、「原発を再稼働させない柏崎刈羽の会」の本間 保さんは「柏崎の住民としてはいろいろな問題が取り残されたままの営業運転なので、このまま見過ごすわけにはいかない」と述べ、「原発問題住民運動 柏崎刈羽連絡会」の高橋 優一さんは「原発事故の際の住民の命を守る避難計画が全く不十分なままの中で、6号機を再稼働することはできないのではないか」と述べました。
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16日にも営業運転再開へ【柏崎刈羽原発】再稼働反対の市民団体は「問題が取り残されたままの営業運転」に強く抗議 新潟県
                         BSN新潟放送 2026/4/15
今年1月、14年ぶりに再稼働した柏崎刈羽原発6号機。
当初、営業運転の再開は2月26日の予定でしたが、警報トラブルなどで2度延期しています。
【原発を再稼働させない柏崎刈羽の会 本間 保さん】
柏崎の住民としてはいろいろな問題が取り残されたままの営業運転なので、このまま見過ごすわけにはいかない
東京電力は4月16日にも営業運転を再開する予定です。
これを受け、反対する市民団体が抗議文を手渡しました。
【原発問題住民運動 柏崎刈羽連絡会 高橋 優一さん】
「『地域の皆さまの安全が第一です』というのであれば、原発事故の際の住民の命を守る避難計画が全く不十分なままの中で、6号機を再稼働することはできないのではないか

市民団体は「原子炉を止めて安全を確認するべきだ」と訴えました 

新潟・柏崎刈羽原発UPZの7市町が協議会 国への要請活動を強化へ

 柏崎刈羽原発から5~30キロ圏内のUPZ(避難準備区域)にある長岡、上越、燕、見附、小千谷、十日町各市と出雲崎町7市町が14日、新たな協議会を発足させました。原発事故に備えた対策の実効性向上や、電源三法交付金制度の見直し、新たな財政支援制度などについて協議を進め、来年には政府に提言したいとしています
 7市町は昨年7月、原発の安全対策の徹底や、避難計画の実効性向上、UPZのうち一部地域だけが対象になっている電源三法交付金制度の見直しなどを花角英世知事に要請。昨年10月には経済産業省や内閣府などに要請活動をしました。
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新潟・柏崎刈羽原発UPZの7市町が協議会 国への要請活動を強化へ
                            朝日新聞 2026/4/15
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)から5~30キロ圏内のUPZ(避難準備区域)にある7市町が14日、新たな協議会を発足させた。原発事故に備えた対策の実効性向上や、電源三法交付金制度の見直し、新たな財政支援制度などについて協議を進め、来年には政府に提言したいとしている。
 新たな組織は「柏崎刈羽原子力発電所UPZ自治体協議会」。長岡、上越、燕、見附、小千谷、十日町各市と出雲崎町で構成し、宮崎悦男・小千谷市長が会長を務める。
 小千谷市役所でこの日開かれた第1回協議会で宮崎会長は「原発の安全対策や避難計画の実効性向上はまだ道半ば。要望だけでなく、政策提言をしていくことも極めて重要だ」と語った。
 7市町は昨年7月、原発の安全対策の徹底や、避難計画の実効性向上、UPZのうち一部地域だけが対象になっている電源三法交付金制度の見直しなどを花角英世知事に要請。昨年10月には経済産業省や内閣府などに要請活動をした。(戸松康雄)


原発30km圏内の課題解決を…国への要望強化へUPZ自治体が協議会設立「安全対策まだ道半ば」
                     NST新潟総合テレビ 2026/4/15
柏崎刈羽原発から半径5km~30kmの区域にある自治体が国に対する要望などを行うため協議会を設立しました
【小千谷市 宮崎悦男 市長】
(原発の)安全対策や避難計画の実効性の向上などは、まだ、私は道半ばであると感じている
4月14日、初会合を開いたのは、柏崎刈羽原発のUPZ圏内に位置する7つの市や町が参加する協議会UPZ圏内の自治体はこれまで…
【小千谷市 宮崎悦男 市長】
UPZ内には電源三法の交付金を含め、様々な不均衡な現状にある
特措法の対象範囲の見直しなどを求め、国や県に要望を続けてきました。
そして今回、UPZ圏内の自治体が一体となることで国への要望活動を強化しようと協議会を設立。
避難計画の実効性向上や電源三法の交付金の対象地域拡大などの課題について今後、意見を交わしていく考えです。
【小千谷市 宮崎悦男 市長】
「県とも意見交換をしながら総意を持って国へ要望を上げていきたい。(原発から)30km圏内の課題を解決するための提言もしていきたい」
協議会は7月ごろには県とも意見交換を行い、来年には国への提言をとりまとめる方針です。

柏崎刈羽原発 隣県も注視「長野県も安全対策を」市民団体が要請

 柏崎刈羽原発6号機は再起動において何度もトラブルに見舞われ、起動運転を頻繁に繰り返しました。同原発と長野県境との最短距離は約45kmで、長野市までの距離は約100kmなので、長野県民にとっても同原発の重大事故は決して他人事ではなくて、事故時にどの程度の放射能被害があるのかについて関心があります。
 9日、地元市民団体が長野県庁を訪れ事故が起きた際の被害想定を独自に行うことや、東京電力との意見交換の機会を増やすことを求める要請書を出しましたが、県の回答は「国の方針に準じて対応する」というものであったため、市民団体の代表は『国の方向に従っている』だけではちょっと不十分であるとして、地域の住民に対し気持ちを共有してもらいたいと述べました。
 また同席した長野県議は(新潟テレビ21の局員に対し)長野県としてどう考えるか、ぜひ一緒に考えてほしい」と述べました。
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【柏崎刈羽原発】隣県も注視「長野県も安全対策を」市民団体が要請
                       UX新潟テレビ21 2026/4/14

柏崎刈羽原発については、お隣の長野県の県民も大きな関心を寄せています。先週、地元の市民団体が長野県に対して事故を想定した独自の安全対策などを要望しました。













■中川博司長野県議
隣にある柏崎刈羽原発が再稼働しました。でもすぐその日のうちに止まりました。また動かしましたが、また問題がありました。みたいなことが続いている中で、隣県である長野県民の中でも『本当に大丈夫か』という不安が広がっています。長野県としてどう考えるか、ぜひ一緒に考えてほしい。
9日に長野県庁で開かれた地元市民団体と県の面会。同席した県議は、柏崎刈羽原発をめぐる長野県民の懸念をこう語りました。
原発から県庁所在地の長野市は約100kmの距離にあり、もっとも近い県境までは45kmほど。東京電力は1月に長野県との意見交換会を開きましたが、事故発生時の影響について説明はなかったということです。
この日、市民団体は長野県に対して事故が起きた際の被害想定を独自に行うことや、東京電力との意見交換の機会を増やすことを求める要請書を出しました。しかし、県の回答は「国の方針に準じて対応する」というものでした。
■脱原発共同学習会(長野) 小畠英司代表
(長野県には)地域の住民に対し気持ちを共有してもらい、『こういう点で大丈夫・安心』というものを説明してほしい。『国の方向に従っている』だけではちょっと(不十分)。
柏崎刈羽原発の安全性を隣の県も注視しています。

「福島原発事故を思い返して」 柏崎6号機の営業運転前に 規制委員長

 14年ぶりに営業運転を開始する見込みの柏崎刈羽原発6号機について、原子力規制委員会の山中伸介委員長は15日の定例記者会見で「東電の職員一人ひとりが福島第1原発事故を思い返し、安全第一で運転継続をしていただきたい」「新潟県の地元住民、福島県の住民、いまだに避難している皆さんに思いをはせながら、誠実に業務を行ってほしい」と話しました。
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「福島原発事故を思い返して」 柏崎6号機の営業運転前に 規制委員長
                           時事通信 2026/4/15
 約14年ぶりに営業運転を開始する見込みの東京電力柏崎刈羽原発6号機(新潟県)について、原子力規制委員会の山中伸介委員長は15日の定例記者会見で「東電の職員一人ひとりが福島第1原発事故を思い返し、安全第一で運転継続をしていただきたい」と述べた。
 山中氏は東電に対し「柏崎刈羽原発を安全に動かす責任と、福島第1原発の廃炉を貫徹させる責任を同時に負う」と強調。「新潟県の地元住民、福島県の住民、いまだに避難している皆さんに思いをはせながら、誠実に業務を行ってほしい」と話した。

福島第一原発2号機の圧力容器内部を16日に撮影へ

 14福島第一原発2号機の圧力容器の内部撮影しようと配管に差し込んだ線量計付きのカメラが途中で進まなくなるトラブルが発生しましたが、15日午前、押し込む力を強めて再びカメラを配管に差し込んだところ、圧力容器の内部につながる入り口の手前まで到達したので、16日に初めて撮影に取り掛かる予定です。
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前日トラブルもカメラが圧力容器内部につながる入口に到達 福島第一原発2号機の圧力容器内部をあす撮影へ(福島)
                         KFB福島放送 2026/4/15
東京電力は16日、福島第一原発2号機の圧力容器の内部の撮影に初めて取り掛かる予定です。
14日は配管に差し込んだ線量計付きのカメラが途中で進まなくなるトラブルが発生。15日午前、押し込む力を強めて再びカメラを配管に差し込んだところ、圧力容器の内部につながる入り口の手前まで到達したということです。
16日は、圧力容器内部の撮影のほか、線量の調査などが行われる予定です。


福島第一原発2号機・内部調査を再開 16日に撮影へ・福島
                       FCT福島中央テレビ 2026/4/15
14日、トラブルで中止になった福島第一原発2号機の原子炉内部の調査は15日再開しています。
福島第一原発2号機では、直径5ミリ長さ30メートルの管状のカメラ「ファイバースコープ」を使い、核燃料を入れていた原子炉圧力容器の内部調査が始まっています。
14日は、ファイバースコープが進まないトラブルがあり、中止となりましたが、ファイバースコープの前進を妨げるつまりなどはなく、東京電力は15日、調査を再開しました。
強く押し込み順調に挿入ができたため、そのまま調査を続け、16日は内部を撮影する予定です。

16- 会報NO.37のテキスト版を掲示します

「原発をなくす湯沢の会会報 NO37」が15日付で発行されました。そのテキスト版を掲示します。
 会報のPDF版は下記のURLをクリックすると開きます。
https://drive.google.com/file/d/1ruYNNgNFLQ7j9gVJgkvQsd3Z5HJQVaOC/view?usp=sharing 
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原発をなくす湯沢の会会報 NO.37  2026.4.15


 いつもの年より早い桜の満開を迎え、木々も一斉に芽吹き始めました。春が早く来るのはいいのですが、それが地球温暖化(沸騰化)の影響となると喜んでばかりはいられませんね。

再稼働を認めず、あきらめずに次の運動を!
  柏崎刈羽原発は、県民の声を聞<ことなく再稼働され近々営業運転が開始されます。
 こうした状況の中、「県民投票で決める会」から組織改編した「柏崎刈羽原発再稼働
 是非を考える新潟県民ネットワーク」では、新たな運動として同封したリーフレットを
 作成(40万枚)し県内で配布することと、経費を賄うためクラウドファンディング
 (目標500万円)を実施することにしています。湯沢でも私たちの会と署名受任
 皆さんを中心に取り組みますのでご協力をお願いします。
  5月には新潟県知事選挙が行われます。やはりリーフレットにあるように「県民の声
 を聞く県知事を」誕生させることが必要なのではないでしょうか

2026年度総会と新潟県作成パンフレットの学習会を開催します
  新潟県では、柏崎刈羽原発に関するパンフレットを作成し県内全世帯への配布を行っ
 ています。このパンフが問違いと問題だらけのものです。そこでこのパンフの学習会を
 計画しました。講師は新潟県民ネットワークの事務局で大奮闘いただき、マスコミにも
 たぴたぴ登場している中山均さんです。めったにない機会ですので是非ご参加くださ
 い。


   2026年度総会と県作成パンフ学習会のご案内

   日時 4月26日(日)午後1時30分~同3時30分頃
   場所 湯沢町公民館 3F会議室
  2026年度総会(1:30より1時間)
    ・議題 2025年度の活動報告と2026年度活動計画 他
  ■県パンフ「柏崎刈羽原子力発電所ってどうなってるの?」学習会
    ・総会終了後2時30分(予定)より1時間
    ・講師 中山 均さん 新潟県民ネットワーク事務局
               新潟市議会議員・歯学博士
                1959年旧黒崎町生まれ


 (会報発行責任者 原発をなくす湯沢の会事務局 南雲敏夫 090-2674-9414)

2026年4月13日月曜日

“300年沈黙”の富士山が大噴火したらー停電、断水、交通機関ストップ。火山灰がもたらす被害

 Yahoo!ニュースが。山梨県富士山科学研究所の藤井敏嗣所長の解説を中心にした掲題の特集記事を出しました。
 藤井所長は、「過去5600年間で平均すると、富士山はおよそ30年に1度のペースで大小さまざまな噴火をしていた計算になる。しかし江戸時代の1707年以降約300年間噴火を休んでいることから、いつ噴火を再開してもおかしくない」と話します。
 一般に噴火時には噴石や溶岩流、火砕流などが起きるとともに、大量の火山灰が風に乗って広範囲に降下します。
 火山灰は鉱物質の重い物質で濡れると通電性を帯びるため、降雨時に電柱上の碍子絶縁体が漏電して火事を起こすなどのトラブルの他、0.5ミリ等の極めて微量な堆積量でも地上の電車の安全運転が阻害され、3センチ以上になると自動車のタイヤが滑って走れなくなどの支障が生じます。自動車エンジン用の空気フィルターが目詰まりして動けなくなるトラブルも起きます。

 要するに降灰によるトラブルで所員が発電所にアクセスできなくなるという事態が生じるため特に原発では重大な支障が生じます。これまでは規制委は近傍の火山からの「降灰量が10センチあっても問題はない」と安易に判断するのが通例になっていましたが、大いに見直す必要がありそうです。
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“300年沈黙”の富士山が大噴火したらー停電、断水、交通機関ストップ。火山灰がもたらす被害 #災害に備える
                 オリジナル 特集 2026/4/11
国内外の人を魅了する日本最高峰の富士山。富士山の噴火は絵空事ではないと、国などが対策を加速させている。都市にとって懸念されるのは、火山灰による被害。それ自体が命に直接危険を及ぼすわけではないが、降り積もるなかでじわじわと影響が広がり、首都圏の交通機関や電力といったインフラの機能をマヒさせるとされる。私たちが備えなければいけない「灰色の悪夢」とは何か、実像と対策に迫った。
NHKスペシャル「富士山大噴火 迫る“灰色の悪夢”」取材班/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)

300年間の“沈黙”「いつ噴火してもおかしくない」
「極端なことをいうと、例えば来週、突然地震が1日に10回、20回起こり始めたら、数日以内に噴火することも十分にあり得る
こう指摘するのは山梨県富士山科学研究所の藤井敏嗣所長だ。
富士山で大規模噴火が起きた際、都市にどのような影響が出るのか。NHKスペシャル「富士山大噴火 迫る“灰色の悪夢”」では、ドラマとドキュメンタリーで描くにあたって、噴火の実像や起こりうる被害について国や専門家、自治体、電力会社、鉄道会社、通信会社などへの取材を重ねた。
富士山研究の第一人者である藤井所長は、長年、富士山の大規模噴火によるリスクを訴えてきた。今も研究グループの一員として、山頂などで噴火の履歴を明らかにする調査を進めている。
先の発言の背景にあるのは、約300年間の“沈黙”だ。
過去5600年間で平均すると、富士山はおよそ30年に1度のペースで大小さまざまな噴火をしていた計算になるという。最後の噴火は江戸時代の1707年。藤井所長は、「火山学からみると富士山はまだ“若い”火山で、活動が活発な期間は終わっていない。数百年休んでいるところで、いつ噴火を再開してもおかしくない」と話す。300年は人間の時間スケールで見れば長いが、数十万年にも及ぶとされる火山の寿命のなかでは一瞬に過ぎない。
2004年、富士山噴火への対策として、噴石や溶岩流、火砕流、火山灰などが到達する可能性のあるエリアを示す「ハザードマップ」が初めて公開され、富士山の周辺地域で避難計画づくりなどが進んできた。一方、首都圏における大量の火山灰への対策はそれほど進んでこなかったのが実情だ。現代の大都市圏に大量の火山灰が降り積もるような事態は、日本のみならず世界でも経験していない。
かつて1707年の富士山の「宝永噴火」で、江戸の街におよそ2週間にわたって火山灰が降った。下の図はもし同じ規模の噴火が起きた場合、どの程度火山灰が積もりうるかを示したシミュレーションである。首都圏にとって影響が大きい風向きだった場合、東京23区で10センチ程度、神奈川県の一部の地域では30センチ以上積もるおそれがあるとされ
ている。














火山灰は直径2ミリ以下と細かい。噴火の規模がそれほど大きくなければふもとにとどまるが、規模の大きな噴火で上空高くに大量の火山灰が放出されれば、風の強さや向きによって遠くまで飛び、降り積もる。富士山の場合は関東のほか、東北、北陸、東海、近畿まで飛ぶ可能性があるとされている

電気や水道、交通機関にも“ミリ単位”で出る影響
2004年に出された想定では、宝永噴火と同等の規模の噴火が起きた場合、経済被害は最大およそ2兆5000億円だ。しかし藤井所長は、これをはるかに上回る可能性があると指摘する。
「噴火の継続時間にもよるが、交通も電力もダメージを受けることを考えると、2兆5000億円ではとても済まないだろう。さまざまなサプライチェーンも分断されうる」
火山灰はわずか数ミリ積もっただけで現代都市に深刻な影響を与えるという分析や実験の結果も、そろいつつある。積もる量によって、以下のような影響が出るとされている。
0.5ミリ以上地上を走る電車は運行停止。鉄道会社は、レールと電車の間を流れる電気から電車の位置を把握しているが、わずかな量でも灰がレールに積もると位置がわからなくなるおそれがある。
2ミリ以上…空港では灰の除去が必要になり、作業が終わるまで滑走路が使えなくなる
3センチ以…雨が降ると、二輪駆動車はタイヤが滑って走れなくなる。スリップ事故やスタックが起きる可能性がある。
10センチ以上灰が乾燥した状態でも、二輪駆動車は走れなくなる
住民が移動できなくなるのはもちろん、トラックなどが行き来できなくなれば、物資の輸送も滞る。
また、断水のおそれもある。川などの水に火山灰が混ざって浄水施設の処理能力を超えると、飲み水に適さなくなることも考えられる。停電が長期化した場合、浄水場や配水施設が運転できなくなる可能性もある。下水道も、雨などで流された火山灰が入り込むと詰まるおそれがあるほか、下水処理場に火山灰が流れ込めば処理能力が落ちる可能性も指摘されている。
そして、交通機関やインフラの復旧に打撃を与え、社会に大きく影響を及ぼす可能性があるのが、停電だ。今回、取材班は、火山灰がインフラに与える影響を検証するため、さまざまな実験を行った。その中の一つ、電力中央研究所の協力による実験を紹介する。

電柱を模した柱に、電線や「碍子(がいし)」など実際に使われている部品を取り付け、住宅街などにある「配電線」を再現した。「碍子」は電線以外に電気を通さないための「絶縁体」として設置される。この部品があるおかげで、電気が柱などへ流れる漏電が起きずに済む。
停電は、火山灰に加えて「雨が降る時」に起きるという。そのため、この「配電線」セットに火山灰をかけ、その上から雨に見立てて水を注いだ。すると2分後、碍子から火花が散り始めた。
火山灰は水分を含むと電気を通す性質があるため、火山灰と雨が重なることで碍子が「絶縁体」として機能しなくなり、漏電が起きた。さらに、灰は空気中で水分を吸い寄せる「雨粒の核」の役割を果たすため、火山灰が噴出されると雨が降りやすくなると考えられている。
電力会社は漏電を検知すると、感電事故などを防ぐためにその地域への電気の供給を止める、つまり停電が発生するのだ。
停電を引き起こすおそれのある火山灰の深さはわずか3ミリとされる。実際に、2016年に熊本県の阿蘇山で噴火が起きた時、およそ2万7000戸が5時間以上停電した。
首都圏とその周辺ではおよそ40万世帯が停電するおそれがあるという試算があり、噴火が長引けば、停電の長期化も懸念される。
藤井所長は、都市機能のマヒや停電といった状況が重なると深刻な事態を招くと警鐘を鳴らしてきた。
碍子に積もったものは人力で取り除かなければいけない。その人員を派遣するにしても、道路・鉄道が使えなければ復旧までに時間がかかる。火山灰そのもので人が亡くなるということはおそらくないけれど、交通網が途絶えた場合は病院に行きたい人が行けなくなる。二次災害と呼ぶべきかもしれないが、命を失う方が出てくるおそれもある。被害を長引かせないために、あらかじめどういう手順で対策を取るかを決めておくことが重要だ」

消えてなくならない火山灰 どう除去するか
火山灰が都市にもたらす影響を直視した対策の動きが行政・民間ともに始まりつつある。
ライフラインや物資の輸送をはじめとした、生活の維持に向けた具体的な対策を議論するため、国や東京都、鉄道、電力、通信会社などが参加する新たな協議会が2026年に立ち上がった。
水道事業者や電力、鉄道会社などでも対策が進んでいる。このうち東京都は、水道局が管轄する富士山に比較的近い浄水場で、水中の不純物を沈めて取り除く「沈殿池」をシートで覆えるようにするなど、水質を維持するための対策を講じている。また、インフラ施設や医療機関への通行を確保するため、優先的に灰を除去する道路を指定。路上の灰の除去訓練も行うなど、備えを進めている。
大きな課題は、火山灰を捨てる方法だ。
火山灰は雪と違い、消えてなくならない。富士山噴火に際して、住宅や道路に降り積もり、除去が必要な火山灰の総量は「4.9億立方メートル」にのぼるとされる。これは、東日本大震災の災害廃棄物のおよそ10倍に相当する量だ
国は集めた灰を仮置き場へ運び、その後、最終的な処分をするという流れを想定している。しかし、想定される火山灰の総量があまりに多く、仮置きできる場所の確保が課題だ。
2025年の国の報告書では関東と山梨県、静岡県の1都8県を対象とした試算で、風向きによっては、東京都と神奈川県、山梨県では火山灰の量が仮置き場で受け入れ可能な容量を上回る可能性があることが示された。また、最終処分方法も報告書では、再利用や埋め立て、海への投入などさまざまな手段を組み合わせて処理する必要があるとされている。
前述の協議会では、仮置き場の選定も検討テーマとなっている。また、最終処分については国が引き続き検討するとしている。

「原則、自宅で過ごす」求められる備えは
富士山の火山灰に見舞われた時に、住民はどう行動すべきか。国は2025年の報告書で「原則として自宅等での生活を継続」としている。
富士山で噴火が起きた時、火山灰が多く出るのか、溶岩が流れ出るのかといった、噴火のパターンを事前に把握するのは難しいだろうというのが専門家の見解だ。深刻な影響が出る場所の予測も噴火が始まるまでは難しい。
そのため避難の基準は、雨が降った時に木造住宅が倒壊するおそれがある「30センチ」とされた。30センチ以上灰が降った場合は原則避難とされている。また、灰が3センチから30センチ降った場合も、基本的には自宅で過ごすことを求めているが、停電が長期化するなど生活への影響が大きくなれば、人工透析や介護サービスなどが欠かせない人は原則、避難が必要だとした。この指針をもとにして、今後それぞれの自治体は計画を立てていく予定だ。
自宅で生活を続けることが基本ということは、自宅での備えが必要になる。
まずは水と食料の備蓄(1週間分以上が望ましい)や懐中電灯や予備のバッテリー。これは、地震などほかの災害への備えにもなる。また、火山灰特有の備えとして、防塵マスクやゴーグルも挙げられる。粒径が細かい火山灰を吸い込むと肺や気管支に入る可能性があり、ぜんそくなどの持病がある人は症状が悪化する場合も。国は、火山灰が降っていても「徒歩での移動は可能」としているので、外出が必要な時はこうした備えがあるとよいだろう。

火山のハザードマップを確認することが第一歩
NHK全国火山ハザードマップ」に掲載の富士山の火山灰の分布シミュレーションの一例。風向きの変化によってはさまざまな方角へと火山灰が広がる可能性がある
地震や大雨などと比べ、火山灰への備えが必要だという認識はまだ広がっていない。まずは、自分たちの地域にどういったリスクがあるのかを知ることが重要だ。NHKは、富士山のほか、全国で噴火警戒レベルを導入している火山のリスクをWEBでまとめて確認できるようにした。富士山の場合、火砕流などのデータのほか、火山灰のシミュレーション結果を複数見ることができる。火山灰の深さもわかるので、先ほどの国が示した目安と比較可能だ。ただ、火山灰の広がり方は、風向きや風の強さによって無数に変化する。そのため、「色が塗られていないから安全」とはいえないことに注意したい。
現代都市がいまだ経験したことのない「灰色の悪夢」。リスクを知り、備えの一歩を踏み出してほしい。
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