都合により27日(木)の記事の更新は夕刻になります。
私たちは『原発ゼロの日本』をめざし、柏崎刈羽原発の廃炉に向 けた運動に取り組んでいます。
花角知事は21日、臨時の記者会見を開き、避難路の整備などに取り組むことを前提に柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を容認すると表明しました。
同知事は昨年3月、避難路の整備、除排雪体制の強化、東電の信頼性の確保など7項目で国の対応を確認した上で、再稼働の要請を「了解する」としていました。
自らの今回の判断について、これまで「県民の意思を確認する」と言ってきましたが、今回は「県議会に信任を得られるか、不信任とされるのか判断を仰ぎたい」としました。
これは驚くべきことで、県議会が再稼働に賛成であることは明らかなことなので、議会の賛成を得ることが「県民の信を問う」ことになるのであれば、これまで仰々しく「県民の信を問う」と表明してきたことは、一体何であったのかということになります。
また県民意識調査では、再稼働の条件が「整っているとは思わない」が60%、「どのような対策を行ったとしても再稼働すべきでない」が48%、「東電が同原発を運転することは心配だ」は69%もあり、県民は再稼働を認めていません。
そうした実態を無視したまま、しかも6本の新設避難道路や豪雪対策、地震対応策が『未完了』の状態で、「再稼働する」などはあり得ないことです。
知事は再稼働を認めるに当たり何よりもこの点を明確にすべきです。
そもそも地域住民の避難では、住民の避難にはバス 1千台以上を要するとなっていますが、県の避難計画には実際に準備できるバスの数は記されておらず、「バスが不足する場合は自衛隊の応援を要請する」という「文言が並んでいるだけ」です。
これでは30キロ圏内の住民に対して本当に3日以内に、5キロ圏内住民には即時に、それぞれ必要台数が利用できるのか全く不明です。実際にはかなりの日数が掛かる恐れがあります。
また豪雪時の原発事故や地震・津波時の原発事故において、5キロ圏内や30キロ圏内の住民の家屋が放射能防護に堪えるものであるかの検討もされていません。単に「家屋が自宅退避に堪えない」場合には「公共の避難所に退避する」という「言い逃れの文言」が並んでいるのみです。
それでは収容が必要な全対象者が収容できる避難所が、適切な規模と適切な配置で準備されているのでしょうか。バスの件と同様に、そうした具体的な検討がされたという情報は何もありません。
まず知事、県、議会は「そうした対策が全て完了した後でなければ原発は再稼働できない」ということを認識するべきです。何故ならそれが完了するまでの間は原発事故が起きないという保証は何もないからです。
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柏崎刈羽再稼働 知事が容認 東電原発 福島事故後で初
新潟県民「何を学んだのか」
しんぶん赤旗 2025年11月22日
新潟県の花角英世知事は21日、臨時の記者会見を開き、避難路の整備などに取り組むことを前提に東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働を容認すると表明しました。再稼働すれば、2011年3月に事故を起こした東電の原発として初めてとなります。事故は収束せず、廃炉の見通しも立っておらず、東電自体の不祥事も絶えない中、県民などから「事故の教訓から何を学んだのか」と批判の声が上がっています。
会見で花角知事は昨年3月、経済産業相から再稼働への「理解要請」を受けていたとして、原発の必要性や安全性の説明、避難路の整備、除排雪体制の強化、東電の信頼性の確保など7項目で国の対応を確認した上で、要請を「了解する」としました。
また、柏崎刈羽原発の再稼働が重要だなどとする国の方針を「理解できる」としました。
同県が実施した再稼働に関する県民意識調査で県民の中で賛否が分かれています。これについては、安全対策・防災対策が周知されれば再稼働に肯定的な人が増えると判断したと述べました。
自らの今回の判断後について、これまで「県民の意思を確認する」といってきましたが、「県議会の信任を得られるか、不信任とされるのか判断を仰ぎたい」としました。しかし、県議会は知事与党の自民党が単独過半数を占めています。これが県民の意思の確認と言えるのか、批判の声が上がるのは必至です。
政府は2月に閣議決定した「第7次エネルギー基本計画」で「既設炉の最大限活用」を打ち出し、同原発の再稼働へ向けて「政府を挙げて対応」と明記。原発から避難するための道路を地方の負担なく整備すると県議会で表明するなどしています。
柏崎刈羽原発は1~7号機あり、いずれも福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR)。東電は同原発6号機を優先して再稼働させる方針で、技術的な準備は整ったとしています。県議会は12月2日に開会します。
柏崎刈羽再稼働は「言語道断」 山添政策委員長「福島生業再建道半ば」
しんぶん赤旗 2025年11月22日
日本共産党の山添拓政策委員長は21日、国会内で記者会見し、新潟県の花角英世知事が東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を容認したことについて、「言語道断だ」と批判しました。
山添氏は、東電による福島第1原発事故の被害補償や、ふるさとの生業(なりわい)再建はまだ道半ばだと指摘。「福島をはじめ多くの人びとに対し、その責任がまだ問われている最中に原発の再稼働に及ぶということは到底許されない」と強調しました。
山添氏は柏崎刈羽原発そのものの危険性に言及。「中越沖地震でも想定を超えて地震の影響を受けた。安全性が十分確保される場所ではないことが明らかになっている」と指摘しました。
またセキュリティー上の問題が発生していることにも触れ「原発を扱う事業者としての資格が問われている東電が、再稼働をすすめることは容認できるものではない」と強調しました。
柏崎刈羽 再稼働は論外 これだけの理由 新潟知事が再稼働 容認
しんぶん赤旗 2025年11月22日
新潟県の花角英世知事は東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働を容認すると表明しました。しかし、福島第1原発事故を引き起こした東京電力は事故後も不祥事を繰り返しており、脆弱な地盤の上に立った柏崎刈羽原発は被災原発です。立地地域は豪雪地帯で住民避難はできるかなど多くの課題が山積しています。 (松沼環)
〝不正″続く東電
東電は、今もなお数万人の人たちがふるさとを奪われ、避難を続けている福島第1原発事故を引き起こした当事者です。さらに多くの事故・損傷隠しなど、不正を繰り返しています。
東電は内部告発に端を発した検査データの改ざん問題で2003年に、東電の柏崎刈羽と福島の2原発の全17基が停止する前代未聞の事態となりました。東電は07年にも大量のデータの改ざんが発覚し行政処分を受けています。
同じ年に発生した新潟県中越沖地震では、想定していた最大の地震動を上回る揺れを観測し、柏崎刈羽原発全7基が停止。火災や放射能漏れ、膨大な機器・建屋の損傷など重大な事態に陥り、東電の火災対策の不備や情報公開の問題などが露呈しました。
11年3月の福島第1原発事故では、事前に巨大津波のシミュレーションを実施しながらそれを公開せず、他電力会社の原発で実施していた水密化などの津波対策もせず対策を先延ばししました。無策のまま巨大津波に襲われ、世界最悪レベルの原発事故が発生。国会事故調報告書ではこの事故を「人災」と断定しています。
第1原発では、事故後の対応でも作業員の波ばくや汚染水の漏えいなどが発生し、東電の下請け任せの姿勢が批判されました。東電は現在も汚染水を抜本的に減らす地下水流入対策を避け、汚染水の発生を許しています。
柏崎刈羽原発では、テロ対策の設備不備が長期間放置されていたことが判明し、原子力規制委員会が21年4月に事実上の運転停止命令を出しました。規制委が商業原発に対してこのような厳しい措置をするのは、初めてでした。
不正や不祥事が発覚するたびに、稼働・スケジュールありきで下請け・現場任せの東電の体質が批判され、東電は、再発防止を約束してきました。しかし問題は繰り返されています。先月東電は、6号機の稼働を前提に新潟県へ10年で1000億円を拠出する意向を表明しましたが、稼働ありきの姿勢を示すものです。
豆腐〝地盤″の上
東電が福島第1原発事故の当事者であるだけでなく、柏崎刈羽原発には立地など安全上の多くの問題があります。
中越沖地震では2000ガル(ガルは加速度の単位)を超える強い揺れを観測。また、原発構内の広い範囲で液状化が発生しました。同原発は、「豆腐の上」に例えられるぼど脆弱な地盤に立っています。このため、他の多くの原発と比べて同原発の想定する地震の揺れは極めて大きなものになっています。
また、同原発は、日本でも特に地殻のひずみが大きいと推定されている地域に位置しており、繰り返し大きな地震の揺れに見舞われています。また、敷地内には何本もの断層が見つかっています。
地下水位も高く、福島第1原発を大きく上回る地下水が流れ込むため、事故が起きれば大量の汚染水が発生する危険があります。
同原発の30キロ圏内には、9市町村が含まれ、約41万6000人が暮らしています。
〝豪雪″での避難
原子力規制委員会が定めた原子力災害対策指針(原災指針)では、原発から5キロ圏内の住民は、原発事故が発生し周辺住民に放射線影響の恐れがある場合、披ばくを避けるために放射能が放出される前に予防的に避難することになっています。
新潟県は日本でも有数の豪雪地帯です。新潟県の避難計画では、大雪で避難できない場合は、5キロ圏内の住民も被ばくを軽減するため屋内退避をするとされています。
一方で、新潟県の行った被ばく線量シミュレーションでは、事故が発生しフィルターベント(排気)を使用した場合、屋内退避しても原発から5キロ圏内で国際原子力機関(IAEA)の基準値を上回るケースがありました。住民からは、被ばくを強いる計画と不安の声が上がっています。
柏崎刈羽原発は、1~7号機合わせた総出力は821万2000kwで世界最大級の原発です。6、7号機は、いずれも出力135・6万kwと日本最大の原子炉で、事故を起こした場合の被害もそれだけ大きなものになり得ます。東電に危険な原発を動かす資格はありません。
【主張】 柏崎刈羽原発容認 東電の再稼働など許されない
しんぶん赤旗 2025年11月23日
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)について、花角(はなずみ)英世知事が再稼働を容認する考えを明らかにしました。「再稼働の是非は、県民に信を問う」との公約を投げすてるものです。福島第1原発の悲惨な事故を引き起こした東京電力が原発を稼働させるなど、あってはなりません。
県民意識調査では、再稼働の条件が「整っているとは思わない」が60%と多数を占め、「どのような対策を行ったとしても再稼働すべきでない」も48%です。県民は再稼働を認めていません。
「東京電力が柏崎刈羽原発を運転することは心配だ」は69%もありました。検査データ改竄(かいざん)、IDカード不正使用、侵入検知器の故障放置など東電のずさんさを目の当たりにしてきたからです。先日もテロ対策文書の不正コピーが発覚しました。東電に原発を運転する資格はありません。
知事は、県民の不安や不信を正面から受けとめ、再稼働容認を撤回すべきです。
■札束を振りかざし
政府と東京電力は足並みをそろえて再稼働ありきで突き進んできました。東電は、地元同意に先立つ6月に6号機に核燃料を装荷しました。
8月の原子力関係閣僚会議では、原発周辺地域の公共事業などへの国の補助率をかさ上げする特措法の対象を10キロ圏内から30キロ圏内に拡大する方針が出され、石破茂首相(当時)は、柏崎刈羽原発の再稼働への理解が進むよう全力で対応を進めることを関係閣僚と東京電力に求めました。
政府は、現実には避難が困難であるにもかかわらず、8月に柏崎刈羽原発の避難計画を了承しました。
10月16日の県議会では、東京電力の小早川智明社長が10年間で1千億円規模の資金を県に提供すると表明し、経済産業省資源エネルギー庁の村瀬佳史長官が1千億円超とされる避難道路などの整備を全額国費で行うと表明しました。高市早苗内閣は総合経済対策に柏崎刈羽原発の再稼働が重要だと明記しました。
福島原発事故を経験してなお、札束を振りかざして再稼働を迫るなど言語道断です。
■原発ゼロの決断を
原発がひとたび重大事故を起こせば、地域社会が破壊され多くの人が故郷を奪われます。福島原発事故を忘れてはなりません。政府がすべきことは、原発再稼働の押し付けではなく、国民の安全と日本の未来のために原発ゼロを決断することです。
政府は、電力の安定供給や気候変動対策に原発が必要だと言い募りますが、電力供給に占める原発の割合は8・5%にすぎません。再生可能エネルギーは22・9%と原発の2・7倍です(いずれも2023年度)。再エネで可能な発電量は電力消費をはるかに上回ります。再エネを本格的に増やせば、深刻な危険をはらむ原発に頼ることなく化石燃料依存から抜け出し、エネルギー自給率も高めることができます。
25日には、新潟県庁を包囲する「人間の鎖」行動が行われます。新潟と全国の世論と運動で柏崎刈羽原発の再稼働を断念させましょう。いまこそ原発ゼロの日本をめざしましょう。
柏崎刈羽原発の再稼働について、新潟県の正式な地元同意が年内に得られれば、来年1月にも6号機の原子炉起動が可能となることが関係者への取材で分かったということです。
別掲の記事に記載されている通り、実効性のある避難計画が出来ておらず、増設の避難道路が未完成、避難所も未完成状態のまま原発が再稼働することはあり得ません。
原発の重大事故時に地域住民が安全に避難できることは IAEAの「深層防護」が目指している最上位の「大原則」です。
本来は原子力規制委がその防波堤になるべき立場なのですが、現実には何の役にも立っていません。
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柏崎刈羽原発、来年1月にも再稼働可能に
共同通信 2025/11/21
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働について、新潟県の正式な地元同意が年内に得られ、原子力規制委員会の最終確認が順調に進めば、来年1月にも6号機の原子炉起動が可能となることが関係者への取材で分かった。
6号機“再稼働”はいつ? 営業運転は早くて年度内か【柏崎刈羽原発】
BSN新潟放送 2025/11/22
東京電力は今、柏崎刈羽原子力発電所・6号機の再稼働を目指しています。
新潟県議会の12月の会期は、12月2〜22日の予定。
そこで県議会が再稼働を認める判断をした場合、6号機はいつごろ再稼働できるのでしょうか?
県議会で“同意”が得られた場合、東京電力は再稼働にあたる“制御棒を引き抜く”日付や営業運転開始日を記したうえで、原子力規制委員会に対して申請を行います。
この申請は、最も早くて12月下旬、あるいは2026年1月始めごろとなりそうです。
申請を受けた規制委員会は確認作業に入ります。
これまでの前例では確認には2週間から3週間ほどかかり、早ければ1月中にも柏崎刈羽原発の再稼働が可能となります。
もし再稼働が実現すれば、東電にとって福島第一原発の事故以来初めての再稼働。
その後“営業運転”のスタートまでには再稼働から1か月半ほどかかる見通しであるため、早ければ年度内にも営業運転が始まる可能性があります。
花角知事の判断、県内経済界の受け止めは? 地域活性へ期待感…安全対策に注文も
新潟日報2025/11/22
花角英世知事が東京電力柏崎刈羽原発の再稼働容認を表明した21日、県内経済界からは、国の電力の安定供給につながると歓迎する声が上がった。再稼働に伴う経済効果に期待感を示しつつ、安全対策の徹底を注文する県内経済関係者もいた。
・緊急アンケートはこちら>>(11月25日午後11時59分まで)
・知事選で「信を問う」なぜ回避?決断の裏側に迫る…水面下では自民と調整
・会見のテキスト速報はこちら>>
・原発問題関連ニュースはこちら>>
「エネルギーの安定供給は日本の喫緊の課題。手順を踏み、知事が熟慮を重ねて判断した結論を非常に重く受け止める」。新潟経済同友会の吉田至夫・筆頭代表幹事は、...
(以下は会員専用記事のため非公開 残り689文字 全文:877文字)
海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
中国がトリウム原子炉の世界初の成功を主張しているということです。
トリウム原子炉は将来の原子炉として注目されているもので、AIによる解説では下記の通りです。
・トリウム原子炉は、自然界に存在するトリウムを中性子と反応させてウラン233に変換し、これを燃料として核分裂を起こす方式の原子炉。特に「トリウム溶融塩炉」は、固体燃料ではなく液体燃料(溶融塩にトリウムを溶かしたもの)を用いる次世代型炉で、安全性が高く、核拡散リスクが低いなどの特徴がある(要旨 以下同)。
・液体燃料を使用するため緊急時に燃料を地下のドレンタンクに排出するなど、地震時の安全性が高く、使用済み核燃料の処理を簡素化できて、プルトニウムなどの長寿命高レベル放射性廃棄物を生じないという利点がある。
・点火源となる中性子源が別途必要である。
・日本でもN・K・S(株)などがトリウム発電の商業化を目指している。
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中国が世界初のトリウム原子炉の成功を主張
耕助のブログNo.2722 2025年11月21日
China Claims World-First Thorium Reactor Breakthrough
by Tsvetana Paraskova
* 中国の科学者らは実験用トリウム溶融塩炉内でトリウム232をウラン233へ変換することに成功し、トリウム燃料サイクルの技術的実現可能性を実証した。
* この成功により中国は次世代原子力研究の最先端に立った。トリウム溶融塩炉は従来のウラン炉と比べ、本質的安全性、水不要の冷却システム、廃棄物削減といった利点を持つからだ。
* 中国は膨大な国内トリウム埋蔵量を保有しており、これを完全に活用すれば数万年にわたる燃料供給が可能と推定され、安全で信頼性の高いエネルギー解決策を提供する。
中国は原子炉材料と技術において重大な突破口を開いた。これにより、廃棄物が少なく冷却水も不要な、より安全な核分裂エネルギーへの道が開かれる可能性がある。
今年4月、中国の科学者らはゴビ砂漠で稼働中の実験用トリウム溶融塩炉に新たな燃料の追加に成功した。
それから6か月後、中国科学院上海応用物理研究所の科学者らは、トリウム溶融塩炉内でトリウムをウランに変換したと発表した。これは世界初の科学的突破である。
この成果は、トリウム燃料サイクルの技術的実現可能性を示し、核分裂炉におけるトリウム利用の可能性への扉を開いた。
トリウムは天然に存在する量がウランの約3倍であり、核分裂性同位体を持たない。これはウランとは異なり、濃縮して核兵器に使用できないことを意味する。また中国ではトリウムが極めて豊富に存在するとされ、数千年にわたり家庭用電力を供給できるとされる。
この科学的突破が、中国が原子力エネルギーの聖杯を見つけたことを意味するわけではないが、トリウムからのウラン「増殖」に関する追加研究やさらなる実験を促進するだろう。
トリウムからウランへの実験的転換に成功したことで、中国は現在世界で唯一稼働中のトリウム溶融塩炉を保有し、次世代原子炉研究の世界的な競争において北京を最前線に立たせた。
トリウム溶融塩炉での反応成功は、トリウム232が中性子を継続的に捕獲しウラン233へ転換することを示した。このウランは核分裂によりエネルギーを放出し、自己持続的な「増殖しながら燃焼する」サイクルを形成する。
上海応用物理研究所のDai Zhimin所長はChina Dailyの取材に対し、「第四世代原子炉である溶融塩炉は高温の溶融塩を冷却材として使用する」と説明し、さらに「固有の安全特性、水を使わない冷却方式、低圧運転、高温出力といった特徴を備え、トリウム資源利用に最も適した炉型として国際的に認められている」と付け加えた。
同研究所は2035年までに100メガワット(MW)熱出力の試作炉建設と実証運転を完了し、商業規模での応用を目指すとしている。
「これにより技術革新と技術転換が加速され、最終的に中国に安全で信頼性が高く、国内で管理可能なトリウムベースのエネルギー生成ソリューションを提供する」とDai所長は述べた。
中国はまた、トリウム溶融塩炉技術における完全な自主産業サプライチェーンの確立を目指し、原子炉構成部品の全主要部品を国内生産している。さらに国際的・国内的な推計によれば、中国は膨大なトリウム埋蔵量を保有している。
国際原子力機関(IAEA)と経済協力開発機構(OECD)原子力機関(NEA)による2016年の資源推定によれば、中国は世界有数のトリウム埋蔵国である。ただしトリウム資源には国際的な標準分類が存在しないため、確認済みトリウム資源は確認済みウラン資源と同等の分類的意味を持たない。トリウムは主要な探査対象ではなく、ウランやレアアース資源に関連して資源量が推定される。
しかし今年初め、中国のトリウム資源調査の機密解除された報告書が公表され、中国が原子炉用トリウムを数万年にわたり無限に保有している可能性が示された。
同調査によれば、内モンゴル自治区の1つの鉄鉱山から採掘される5年分の廃棄物に含まれるトリウムだけで、米国の家庭用エネルギー需要を1000年以上賄えると、中国学術誌『地質学評論』に掲載された報告書を引用してサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が2月に報じている。
もし完全に開発されれば、内モンゴルのバヤンオボ鉱区では100万トンのトリウムが採掘可能だ。現地科学者の試算によれば、これは中国が6万年間使用できる燃料量に相当する。
https://oilprice.com/Energy/Energy-General/China-Claims-World-First-Thorium-Reactor-Breakthrough.html
テロ対策設備は原発運転中にテロ攻撃で原発の頭脳に当たる「運転制御室」が破壊されたときでも、原発が暴走しないように「正常に停止」させるための設備です。
暴走したときの被害の大きさを考えれば、決して疎かに扱うべきものでないことは明らかです。
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テロ対策設備の性能試験で不正 東北電東通原発 規制委
時事通信 2025/11/20
原子力規制委員会は20日、東北電力東通原発(青森県)のテロ対策設備に必要な性能試験に不正があったと発表した。
一部の試験しか行っていないにもかかわらず、実施済みとして記録を作成するなどしていた。不正は2018年度から行われていたという。
規制委や東北電によると、不正があったのは監視カメラや侵入検知センサーなどの性能を確認する試験。必要な回数を行っていないのに、記録では全て実施済みとしていた。全く試験していないのに保守点検に合わせて行ったことにしていたケースもあった。
多くの記録が同一の日付で作成されており、規制委側が不審に思い発覚した。
東北電は「重く受け止めている。再発防止を徹底する」とコメントした。
新潟県が行った県民意識調査では東電への不信感が強く、「柏崎刈羽原発の再稼働の条件は現状で整っていない」と考える人が約6割に上りました。このように県民の再稼働への不安が依然根強いにもかかわらず、花角知事は再稼働を容認するとの見方が強まっていて、21日にもそれを公表する見通しです。
県民の意思の確認の手法については、12月2日に開会する県議会定例会で再稼働に関する関連予算案を提出し議決を得ることや、議会側が知事の判断を信任する付帯決議を提出する可能性が高いといわれています。
花角知事が最後の判断材料としていた福島第1原発の視察(18日)について、知事は19日の定例記者会見で「福島は議論の原点。事故の影響の大きさを実感した」としたものの、原子力規制委が新規制基準をつくり、事故の経験や知見、教訓が柏崎刈羽原発に反映されている」と述べました。これは当初から準備された発言のように思われます。
19日午後、中原八一新潟市長が花角知事と面会し、「県が様々な検証や確認、国への要望を行ってきていただいているので、最終的な結論については県知事が判断するものと理解している」と述べました。
花角知事は「十分受け止め、考えていきたい」と答えました。
この期に及んでですが、今年6月、東電の担当社員が柏崎刈羽原発のテロ対策に関わる秘密文書を必要な手続きをとらずに持ち出してコピーし、自分の机に保管するなどしていたことがわかりました。
原子力規制委は20日、非公開の臨時会議を開き、今後の対応を協議するとしています。
それらの書類は本来は決められた場所で厳重に保管しなければならないものでしたが、守られていませんでした。社外への流出は確認されていないということです。
4つの記事をまとめて紹介します。
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柏崎原発再稼働 容認か 知事判断 21日にも 県議会で議決の可能性
しんぶん赤旗 2025年11月19日
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働について花角英世知事が容認するとの見方が強まっていることが18日、分かった。複数の関係者が明らかにした。県に再稼働を要請している国や東電に対し、原発の安全対策と避難道路整備といった防災対策の速やかな実施などを改めて確認した上で容認する方向とみられる。21日にも公表する見通しだ。容認の考えを明らかにすれば再稼働問題は新たな局面に入る。
原発再稼働を巡る地元同意では、立地する柏崎市と刈羽村は容認の姿勢を示しており、花角知事の判断が焦点となっている。一方で、県が行った県民意識調査では「再稼働の条件は現状で整っていない」と考える人が約6割に上り、再稼働への不安は依然根強い。
花角知事は県民の受け止めを見極めた上で自らの判断を示し、県民の意思を確認するとしてきた。その手法については、12月2日に開会する県議会12月定例会で再稼働に関する関連予算案を提出し議決を得ることや、議会側が知事の判断を信任する付帯決議を提出する可能性が高い。
再稼働に向けて国は花角知事の求めに応じ、原発から6方向に逃げる避難道路に加え、半径30キロ圏内全域を対象にした事故時の屋内退避用シェルターなどについて国費による整備方針を決めた。原発立地地域の避難道路整備など公共事業を財政支援する特別措置の対象範囲を拡大した。
東電は柏崎刈羽原発の津波対策や排気設備のほかテロ対策上の重大な不備を踏まえ、構内に入る際に複数の生体認証装置を設けるなど安全対策を実施。成長分野企業の県内進出の後押しや、柏崎刈羽原発1.2号機の廃炉の検討、地元への1千億円規模の資金拠出
の方針も打ち出している。6号機は再稼働に向けた技術的な準備が完了した。
花角知事は国や東電の一連の対応を踏まえ、実施されていない対策の確実で連やかな履行を求めるなどした上で、再稼働を認めるとの見方がある。県民意識調査では原発から半径30キロ圏内の9市町村でも依然として東電への不信感が強い実態が判明。東電には信頼性のさらなる向上を求める30市町村長との懇談会、県民意識調査を通じ、県民の受け止めを探ってきた。18日には東電福島第1原発を初めて視察。再稼働の是非を判断する上で確認するとした事項は全て終わった。
福島第1原発視察の花角英世知事「事故の影響実感」 柏崎刈羽原発再稼働の判断時期は「近く結論」
新潟日報 2025/11/19
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を巡り、最後の判断材料としていた東電福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の視察について花角英世知事は19日の定例記者会見で「福島は議論の原点。事故の影響の大きさを実感した」と指摘。その上で原子力規制委員会が新規制基準をつくり「(柏崎刈羽原発は)事故の経験や知見、教訓が反映されている」と述べた。
【関連記事】
花角英世知事、福島第1原発を初視察 柏崎刈羽原発再稼働是非の判断前に状況確認
【独自】柏崎刈羽原発再稼働、花角知事が容認か 21日にも公表見通し、県議会で議決の可能性
柏崎刈羽原発の再稼働の判断の時期については「近く結論を出して話したい」と述べるにとどめたが「見たり聞いたりしたいことは終わった。それらを並べて考える」とも説明した。
複数の関係者によると、...
(以下は会員専用記事のため非公開 残り894文字 全文:1160文字)
【柏崎刈羽原発】「議会で県民の意思確認を」知事と面会した新潟市長 再稼働是非は知事の判断を尊重「県が検証や確認・国への要望行ってきた」
NST新潟総合テレビ 2025/11/20
東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働をめぐり花角知事がどのような判断を下すのか、そして、どのように“県民に真を問うのか”が注目されていますが、11月19日午後、新潟市の中原八一市長が花角知事と面会しました。
【新潟市 中原八一 市長】
「再稼働問題について、県民の意思を確認する方法としては県議会がもっともふさわしいと考えており、県議会の場で県民の意思を確認することを検討されるよう要望する次第でございます」
再稼働の是非の判断については把握してきた多様な意見や要望を踏まえ賢明な判断を下すこと、そして、その判断については県議会の場で県民の意思を確認するよう要望しました。
その上で、再稼働問題だけを争点にした県知事選挙は県民の分断や県政の混乱を招く懸念があると指摘しています。
【新潟市 中原八一 市長】
「再度、新潟市のあるいは私の考えをしっかり知事にお伝えして、最終的な重大な知事の結論を下していただきたいという思いで、きょうは訪問させていただいた」
一方で、中原市長は原発再稼働についての自身の考えは明らかにせず、花角知事の判断を尊重する意向を示しています。
【新潟市 中原八一 市長】
「県が様々な検証や確認、国への要望を行ってきていただいているので、最終的な結論については県知事が判断するものと理解している」
中原市長の要望に対し、花角知事は「十分受け止め、考えていきたい」と答えています。
柏崎刈羽原発でテロ対策文書の管理不備
東電が再稼働をめざす柏崎刈羽原発で今年6月、東電の担当社員が柏崎刈羽原発のテロ対策に関わる秘密文書を必要な手続きをとらずに持ち出してコピーし、自分の机に保管するなどしていたことがわかりました。原子力規制委は20日、非公開の臨時会議を開き、今後の対応を協議するとしていました。
複数のそれらの書類は本来は決められた場所で厳重に保管しなければならないものでしたが、守られていませんでした。社外への流出は確認されていないということです。
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柏崎刈羽原発でテロ対策文書の管理不備
共同通信 2025/11/20
東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)で今年6月、テロ対策に関する秘密文書が不適切にコピーされる管理不備が見つかっていたことが20日、分かった。ほかにも複数の不備が判明し、原子力規制委員会は臨時の非公開会合で今後の対応を協議した。