しんぶん赤旗の掲題の記事を紹介します。
浜岡原発で基準地震動の策定時にデータをねつ造した問題で中部電は14日、特別調査委員会の報告書を受けて、浜岡原発3、4号機の再稼働申請を取り下げると発表しました。林欣吾社長は同日の会見で「決して諦めることなく、再申請に向けた取り組みを進める」と原発に固執する姿勢を示しました。
調査報告書は、審査の遅れについて経営層が担当部署を「叱責していたことが圧力として作用し、不適切行為が行われた要因となった」という見解を示しました。また不適切行為について、結果として 安全性に問題ない ▽規制委の指摘に納得できない ▽早期の再稼働を実現しなければならない―などの「独自の正当化理論」という「極めて特異な考え方」が社内にあったと指摘しました。
地震動データの記載内容に関しては当時社長だった勝野哲会長らが報告・相談を受けていたことも明らかになりました。
同社は、勝野氏(元電気事業連合会会長)、林社長らは今月末で退任し、新社長には安井稔氏(現・専務執行役員)が就任します。
浜岡原発の基準地震動の評価に関する不正は遅くとも2012年に始まり、コンピューターを使った数値計算で地震動を計算させる際、都合の良いデータを意図的に選定するなどの手法で不正を続けてきました。
調査委員会の報告書によると、断層モデルに基づく地震動評価では全225ケース中、208ケースで何らかの不適切な方法がとられていました(17ケースは残っている資料が不十分なため判断ができませんでした)。
日本科学者会議原子力問題研究委員会・山本雅彦委員長は、「中部電力が策定した基準地震動のデータは、非常に低く見積もられていると専門家から指摘されてきました。浜岡原発3,4号機再稼働の申請を(一旦)取り下げると言っていますが、ほとぼりが冷めれば再び低い基準のまま再申請してくる懸念があります。原子力規制委員会について、今回の不正問題を受けて水平展開する姿勢がまったくみられないことも問題」と語りました。
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浜岡再稼働 申請取り下げ 中部電不正も原発固執 会長・社長退任へ
しんぶん赤旗 2026年9月15日
中部電力が浜岡原発(静岡県)で想定する地震の揺れ(基準地震動)に関するデータをねつ造した問題で、中部電は14日、外部弁護士らによる特別調査委員会の報告書を受けて、浜岡原発3、4号機の再稼働のための原子力規制委員会への申請を取り下げると発表しました。一方、林欣吾社長は同日の会見で「決して諦めることなく、再申請に向けた取り組みを進める」と原発に固執する姿勢を示しました。
中部電が同日公開した報告書は、審査の遅れについて経営層が担当部署を「叱責していたことが圧力として作用し、不適切行為が行われた要因となった」という見解を示しました。また不適切行為について、結果として 安全性に問題ない ▽規制委の指摘に納得できない ▽早期の再稼働を実現しなければならない―などの「独自の正当化理論」という「極めて特異な考え方」が社内にあったと指摘しました。
地震動データの記載内容に関して、当時社長だった勝野哲会長らが報告・相談を受けていたことも明らかになりました。対応によっては「隠ぺいであると批判され、規制委の信頼を損ねるリスク」や「浜岡の成立性に関わる指摘を受ける可能性」が外部弁護士などから言われていたコンプライアンス上の「重要な局面」で、結果的に「適切とは言い難い対応を取るに至った」と指摘されました。
同社は、再発防止策の方向性と役員の人事を発表。勝野氏(元電気事業連合会会長)、林社長らは今月末で退任。新社長には安井稔氏(現・専務執行役員)が就任します。当面、会長は空席となります。勝野氏は、中部経済連合会会長を辞任する意向も明らかにしました。
浜岡原発の基準地震動の評価に関する不正は、遅くとも2012年に始まりました。コンピューターを使った数値計算で地震動を計算させる際、都合の良いデータを意図的に選定するなどの手法で不正を続けてきました。原子力規制庁が通報を受けて同社と面談を開始した昨年5月以降にデータを操作したことも明らかになっています。
浜岡原発再稼働申請取り下げ 中部電、原発扱う資格なし
中部電力は、浜岡原発3、4号機の再稼働に必要な原子力規制委員会への申請を自ら取り下げると発表をしました。審査データのねつ造は、原子力の最低限の安全性を確認するための審査の信頼性を根底から揺るがす行為であり、審査が成り立たない事態を招いた以上、当然の決定です。
調査委員会の報告書によると、断層モデルに基づく地震動評価では全225ケース、208ケースで何らかの不適切な方法がとられていました。17ケースは残っている資料が不十分なため判断ができませんでした。
倫理観まひ
不正の実態をみると、地震動評価の担当が、検討すべき断層等の条件が厳しくなるたびに、自分たちに都合が悪い結果にならないよういろいろな小細工を施していることが分かります。不正を繰り返す中で、倫理観がまひしていったのではないでしょうか。
また、社内の専門家が問題を指摘する声や社内相談窓口への通報が複数ありながら、生かされなかったことも分かっています。一度は、審査資料の記載に問題があるという内部通報が当時の勝野哲社長(現・会長)に伝わりました。しかし、外部弁護士の意見を無視し、不正を続けていた原子力土建部の意見を採用するという不十分な対応となり、自浄作用は全く働きませんでした。
中部電では、今回の審査データのねつ造以外にも、浜岡原発の工事費用の未精算や廃炉工事費の不正請求、さらには電気代の過大請求など不祥事が続発。最近明らかになった事例に限ってもあきれるほどの事態です。
報告書は、中部電の一部グループや集団では「独自の合理性」や「独自の正義感」を特徴とする「独自の正当化理論」の存在が、今回の問題の根底にある原因だと指摘。さらに、同社内での「独自の正当化理論」などの特異な考えの広がりに言及し、中部電で「不祥事案件が今後も断続的に起き得るという懸念は払拭できない」とまで断じました。
反省口だけ
中部電のこれらの振る舞いは、危険な原発を運転する事業者としての適格性を全く欠いています。しかし、林欣吾社長は会見で「反省」を口にしながら、再申請に関して「諦めることなく」進めると繰り返しました。反省よりも再稼働のために申請を取り下げたとしか思えない態度です。
浜岡原発は南海トラフ地震の震源域直上に立地し、建設当初からその立地の妥当性を疑問視する声が専門家からも上がっていました。それらを無視して5号機まで建設をしてきた結果が、今回の不正の発生を招いたのではないでしょうか。中部電は、浜岡原発の再申請を断念し、早急に廃炉を決定すべきです。 (松沼環)
市民の不安は根強い
浜岡原発のある御前崎市に隣接する菊川市の日本共産党の奥野寿夫市議は、「申請取り下げの決定は当然です。しかし、中部電が再申請を考えていることは、不正行為を重ねて
おきながら、とんでもない」と断じます。
同市議会の2月議会には、浜岡原発の再稼働に反対する市民団体が再稼働の申請取り下げを求める請願を提出。奥野市議と無所属議員が賛成したものの、反対多数で否決されました。
奥野市議は「市民の中に不安の声は根強くあります。南海トラフ地震が想定される地域に立地する浜岡原発で、安全基準に適合するとは思えない。議会の一般質問でも、中部電は原発事業から撤退すべきだと訴えてきました。これからも市民の運動とともに浜岡原発の廃炉を求めてたたかっていきたい」と語ります。
安全面に立ち評価を
日本科学者会議原子力問題研究委員会・山本雅彦委員長の話
中部電力浜岡原発の基準地震動のデータ不正問題が起きた要因について「幹部が審査を急がせた焦り」という話になっていますが、もともと中部電力が策定した基準地震動のデータは、非常に低く見積もられていると、専門家から指摘されてきました。勝野会長と林社長が辞任し、浜岡原発3,4号機再稼働の申請を取り下げると言っていますが、ほとぼりが冷めれば再び低い基準のまま再申請してくる懸念があります。今回の不正がどうして起きたのか、その徹底的な追及とともに、熊本地震のような複数断層の連動などを想定し、より安全面に立った評価をした上で基準地震動を策定するべきです。
原子力規制委員会について、今回の不正問題を受けて水平展開する姿勢がまったくみられないことも問題です。他の電力会社も同様な不正を行っていないか、規制委が明白にさせるという立場にたってしっかり調査しなければ原発の安全は守れません。
撤退が責任の取り方
原発問題住民運動全国連絡センター・伊東達也代表委員の話
福島で40年間、地震と津波で原発が大事故を起こす危険性を東京電力に訴え続け、実際に大事故を経験しました。巨大な地震と津波が押し寄せる地域で原発を動かそうという人たちが、基準地震動をごまかす不正を行っていたことに怒りがわきます。福島では事故から40年後の廃炉のめども立ちません。
調査委員会の報告書では、中部電力の中に、早期の再稼働を実現するために規制委員会の指摘を逃れる「『特異な考え方』が存在していた」といいます。中部電では、それが「特異」ではなく「普通の考え方」だったのではないか。事故はめったに起きないからと、規制をうまく逃れて許可を得る腐敗がまん延していたのだと思います。
事故を起こした東電に代わり、電気事業連合会の会長なども中部電の社長が務めていたため、おごりがあったのかもしれません。
中部電が浜岡原発の再稼働申請を取り下げるのは当然です。安全をないがしろにする中部電は、原発から撤退することが責任の取り方です。
原発をなくす湯沢の会
私たちは『原発ゼロの日本』をめざし、柏崎刈羽原発の廃炉に向 けた運動に取り組んでいます。
2026年9月17日木曜日
浜岡再稼働 申請取り下げ 中部電不正も原発固執 会長・社長退任へ
中部電力の不適切操作、次第に拡大 地震データ、恣意的選択 調査委報告書
浜岡原発の地震想定データ不正問題に関する調査報告書によると、同社は基準地震動策定に使う地震波を算出する際、ランダムで作成された20組(セット)の地震波の中から平均値に最も近いものを「代表波」とする手法を採用したと規制委にも説明していましが、審査の途中で地震想定の考慮に入れるべき断層の追加を求められると、従来の手法では1200ガルを超えるデータが生じたため、18年以降は代表波を恣意的に選定する手法が採られました。
19年には、地震想定の担当部署が、建屋や機器などの耐震設計を担当する部署に試算結果を示し、意見を聞き耐震上の問題があることが示されると算定をやり直し、別の代表波候補を選んだり、データを事後的に作成して代表波として提出するなどの不正をおこないました。
要するに1200ガル以下に収まるようにデータを捏造したということです。
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中部電力の不適切操作、次第に拡大 地震データ、恣意的選択 調査委報告書
時事通信 2026/9/15
中部電力浜岡原発の地震想定データ不正問題で、外部弁護士らで構成される調査委員会の報告書では、想定する地震の揺れ(基準地震動)策定に用いるデータの不適切な操作が拡大していく経緯が明らかにされた。
【ひと目でわかる】中部電力浜岡原発データ不正の構図↓
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026091400117&g=eco&p=20260914ax12S&rel=pv&utm_source=news.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=link_back_edit_vb
同社は2014~15年、浜岡3、4号機の審査を原子力規制委員会に申請した際、基準地震動を最大1200ガルとしていた。
報告書によると、同社は基準地震動策定に使う地震波を算出する際、ランダムで作成された20組(セット)の地震波の中から平均値に最も近いものを「代表波」とする手法を採用し、規制委にも説明していた。しかし、1セットだけだと極端な値となる恐れがあるため、14年の審査申請以前から多数のセットを作成し、その中から極端ではない代表波となるセットを選んでいた。
ところが、審査の中で地震想定の考慮に入れるべき断層の追加を求められると、対応に苦慮。従来の手法では想定を超える「望ましくない」代表波が生じたため、18年以降、代表波を恣意(しい)的に選定する手法が採られた。報告書は動機について「地震動が想定をはるかに超えることが予想され、場合によっては工事が必要となり、再稼働目標に支障が出ることを避けたかった」と指摘した。
19年には、地震想定の担当部署が、建屋や機器などの耐震設計を担当する部署に試算結果を示し、意見を聞いていた。耐震上の問題があることが示されると算定をやり直し、別の代表波候補を選ぶこともあった。
不適切なデータ操作は、社内外への対応でも行われた。規制委の審査会合では、代表波を説明通りの方法で選定したとするデータを事後的に作成して提出。21年の内部通報に対しても、追加データを作るなどした。
昨年5月、外部通報を受けて規制委側が調査を始めた後も、不正は継続。適切な手法を用いたかのように装うデータを作成するなどしていた
中部電力データの改ざん問題、報告書を原子力規制委員会に提出 赤沢経産大臣「国民の信頼を大きく損なうもの」
FNNプライム(フジテレビ系) 2026/9/14
静岡県・浜岡原発の再稼働の審査に関するデータの改ざん問題をめぐり、中部電力は調査委員会の報告書を原子力規制委員会に提出しました。
中部電力は、浜岡原発3号機・4号機の再稼働の審査で、想定される地震の揺れのデータを改ざんしていた問題について、外部専門家による調査委員会の報告書を規制委員会に提出しました。
中部電力 豊田哲也本部長:
まず我々自身が変わらなければならない。そして、その変化を組織文化として根付かせなければならないと思っています。
これを受け、赤沢経済産業大臣は、中部電力のこれまでの対応を厳しく批判しました。
赤沢大臣:
原因として自分たちの判断を正当化する独自の正当化理論が組織内に広がっており、また、業務の専門性に起因する統制機能の不全があったことなどが指摘されていると承知しております。本事案は、国民の信頼を大きく損なうものであり、遺憾の極みでございます。
中部電力は今回、報告徴収命令で求められている5項目のうち「調査結果」のみを報告し、原因の深掘りや是正計画については今後改めて報告するとしています。
原発の地震動指針、年度内作成へ 業界団体、中部電力の不正受け
電力会社や原子炉メーカーなどでつくる原子力エネルギー協議会は14日、原子力規制委員会との意見交換会合で、原発の耐震設計の基準値である「基準地震動」を策定する際のガイドラインを年度内にも作成する方針を示しました。
中部電など複数の原発事業者が採用している計算手法には、意図的にデータを操作できる余地があるので、基準地震動の計算過程を明確にし透明化を図るとしています。
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原発の地震動指針、年度内作成へ 業界団体、中部電力の不正受け
共同通信 2026/9/14
電力会社や原子炉メーカーなどでつくる原子力エネルギー協議会は14日、原子力規制委員会との意見交換会合で、事業者が原発の耐震設計の目安となる「基準地震動」を策定する際のガイドラインを年度内にも作成する方針を示した。中部電力浜岡原発(静岡県)の耐震データ不正を受けた対応で、地震動の計算過程を明確にし、透明化を図るとしている。
規制委によると、中部電など複数の原発事業者が採用する地震動評価の計算手法には、意図的にデータを操作できる余地がある。この日の意見交換で、協議会はガイドライン作成に際し、事業者がどのような記録を残すべきかや、計算する際の注意点などを明記すると説明した。
~ 稼働担えぬ独善の病巣(京都新聞)/~再稼働目指すのは早計だ(神戸新聞)
中部電力 浜岡原発の耐震データ不正に関して 京都新聞と神戸新聞が掲題の社説を出しました。
京都新聞は経営トップの辞任や再稼働審査の取り下げは当然であり、組織と事業の根本的な見直しがないままの幕引きは許されないとして、浜岡原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域内にあり、被災するリスクが大きいので、何よりも重要な耐震性能を不正に取り繕う事業者には任せられない(要旨)と手厳しく批判しました。
神戸新聞も、経営陣の姿勢が不正につながったと認定された以上引責辞任は当然として、問題の「基準地震動」のデータの捏造はあまりにも悪質で、そこには倫理意識の欠如と、「再稼働を正義とする」おごりが見られるとして、法令順守を軽視する体質を批判しました。
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社説:中電の原発不正 稼働担えぬ独善の病巣
京都新聞 2026/9/16
最優先すべき安全をないがしろにし、原発事業者で不正が横行していた。経営トップの辞任や再稼働審査の取り下げは当然であり、組織と事業の根本的な見直しがないままの幕引きは許されない。
中部電力は、浜岡原発(静岡県)の耐震データ不正について、社外の弁護士による調査委員会の報告書を公表した。
不正は遅くとも2012年度から始まり、耐震設計で目安とする最大の揺れ「基準地震動」を決める過程で、虚偽説明や隠蔽(いんぺい)などで評価数値208件の不適切行為を確認したとされた。
背景に早期再稼働へのプレッシャーが現場にあったと指摘した。
重大な要因と認定したのが、経営層の働きかけである。審査の実態を理解しないまま、スケジュールの遅れについて現場を叱責(しっせき)するなどして不正を誘発した可能性に言及した。
「不正の指示」までは認められなかったが、内部通報が19、21年に2度あり、経営層まで届いていながら十分に対処せず、不正をはびこらせた責任は重大だ。会長や社長のすげ替えでは済むまい。
報告書からは、再稼働を急ぐ企業の論理優先と、安全倫理の欠如が浮かぶ。
現場部門も専門性の高さからブラックボックス化し、「安全性に影響はなく『自分たちは正しいことをしている』」と独善的な正当化の論理があったと指摘された。病巣の根深さを示していよう。
ほかにも不祥事が相次いで露見している。原発の安全対策工事の精算手続きを怠っただけでなく、廃炉する1、2号機の費用請求書類の改ざん、電気料金の過大徴収もあり、コンプライアンス軽視の姿勢は目を覆うばかりである。
中部電は将来の再稼働を目指す方針を変えていないという。
浜岡原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域内にあり、被災するリスクが大きい。不正で取り繕って市民の安全を顧みない事業者に任せられようか。
11年の停止から1兆円以上の安全対策投資を続けながら再稼働を見通せない状況では、全基廃炉の選択肢こそ現実味を帯びよう。
原子力規制委員会は、不正の全容解明とともに、他電力でも同様の問題はなかったか、自己申告ではない再検証が不可欠だ。
虚偽申請への罰則といった事業者任せの対応にとどめず、独自の計算や開かれた評価検討など、審査方法そのものの抜本的な改革も必須である。
<社説>中部電引責辞任/再稼働目指すのは早計だ
神戸新聞NEXT2026/9/16
中部電力が再稼働を目指してきた浜岡原発3、4号機(静岡県御前崎市)の審査を巡る耐震データ不正問題で、同社は外部の弁護士による調査委員会の報告書を公表した。調査委は不正の要因について、再稼働のスケジュール遅れに関する経営陣からの叱責(しっせき)が現場への圧力となった点などを挙げた。これを受け、林欣吾社長と勝野哲会長、水野明久相談役が辞任を表明した。再稼働審査の申請も取り下げるとした。
経営陣の姿勢が不正につながったと認定された以上、引責辞任は当然だ。中部電は安全を最優先とする組織風土を醸成できるよう、抜本的な改革に取り組まねばならない。
不正があったのは、原発の耐震設計に関わる「基準地震動」のデータだった。想定地震の最も大きな揺れを示す重要な値で、再稼働を審査する原子力規制委員会に示した。
報告書は225通りの地震動評価のうち、少なくとも208通りで不正が確認されたとした。20の地震波から最も平均に近い波を「代表波」にすると規制委に説明していたにもかかわらず、実際は恣意(しい)的に代表波を選び、つじつま合わせで残りの19波を後付けしていた。あまりにも悪質な虚偽説明と隠蔽(いんぺい)工作である。
不正の背景として、早期の再稼働へ圧力がかかる中、「社内に独自の正当化理論があった」と報告書は分析した。「自分たちは正しいことをしている」と考え、確信や信念を持って不適切な行為をした担当者もいたという。倫理意識の欠如と、再稼働を正義とするおごりを感じる。
問題を指摘する2度の内部通報が適切に処理されなかった事実も、法令順守を軽視する体質を物語る。原発には何よりも安全性の確保が求められる。経営陣から現場までの意識が変わらない限り、原子力事業者の資格はないと言わざるを得ない。
驚いたのは、林社長が「再申請を目指す」と述べたことだ。浜岡原発ではデータ不正だけでなく、安全対策工事の精算手続きや1、2号機の廃炉費用請求で不祥事が相次ぐ。再稼働に言及するのは早計だ。
再申請にこだわるのは、3~5号機が動けば1年間で約2500億円の収支改善効果が見込まれるためだろう。だが、再稼働ありきの姿勢では問題の再発防止は望めまい。中部電は再稼働の断念も視野に入れ、経営戦略を見直すべきではないか。
政府は2040年度の電源構成に占める原発の割合を2割程度と見込む。既存33基の大半を動かすのが前提だが、現状は15基にとどまる。浜岡原発の再稼働が難しければ、目標はさらに遠のく。政府は再生可能エネルギーなど、原発以外の脱炭素電源の拡大に注力する必要がある。
17- テロ対策設置期限延長を受け 市民団体が当初の説明通り女川原発の運転停止を求める
原子力規制委がテロ対策施設の設置期限延長を認めたことに対し、市民団体が女川原発について当初の説明通り12月に運転を停止するよう申し入れました。
規制委は先に設置猶予期限の開始時を「営業運転開始時」に変更しましたが、市民団体は従来通りの基準で行くべきだと主張しました。
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テロ対策設置期限延長を受け 市民団体が当初の説明通り女川原発の運転停止を求める
khb東日本放送 2026/9/15
原子力規制委員会がテロ対策施設の設置期限延長を認めたことに対し、市民団体が女川原発について当初の説明通り12月に運転を停止するよう申し入れました。
申し入れをしたのは、宮城県の7市民団体です。
女川原発2号機は、テロに備えた施設の完成が12月の期限に間に合わず、2028年の工事完了まで運転を停止する見通しでした。
しかし、原子力規制委員会が8月にテロ対策施設の設置期限を遅らせる案を決定したため、運転の継続が可能となりました。
市民団体世話人「規則が改正になったとしても、これまでしてきた説明を守って女川2号機を停止するべきだ」
東北電力は、申し入れ書の内容を確認し対応を検討すると応じました。
2026年9月14日月曜日
中部電力 立て直し急務 再稼働審査取り下げ 原発不正、料金過大徴収
中部電力が浜岡原発の再稼働に向けた原子力規制委への申請をいったん取り下げる方向としたのは、次々に判明する不祥事を前に、組織運営の立て直しが必要と判断したためとみられますが、では説得力のある基準地震動を定めそれに応じた耐震設計・施工が出来るのかは大いに疑問です。
昨年11月、浜岡原発の安全対策工事で、原子力部門が調達部門を通さずに仕様変更を業者に依頼し、正式な契約変更や精算手続きを行っていなかったことが明らかになったことで担当役員2人は引責辞任しました
8月27日、浜岡原発1、2号機の廃炉作業を巡り、「使用済燃料再処理・廃炉推進機構」に提出した工事報告書を書き換えて約8億円を余分に請求していたことが明らかになりました。
9月10日には電気料金を2年前に約12億円過大徴収していたことを発表しました。
データ不正や廃炉作業を巡る報告書の書き換えなどは、それぞれ経緯や性質が異なりますが、問題を早期に把握し組織内で共有して是正する仕組みが十分に機能したのかどうかという問題は共通します。
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中部電力 立て直し急務 再稼働審査取り下げ 原発不正、料金過大徴収
読売新聞 2026/9/13
中部電力が浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の再稼働にむけた原子力規制委員会への申請をいったん取り下げる方向となったのは、次々に判明する不祥事を前に、組織運営の立て直しが必要と判断したためとみられる。林欣吾社長は14日に記者会見を開き、こうした方針を表明する見通しだ。(塩見尚之、中島幸平)
「経営責任は、調査委員会の報告に基づきながら、総合的に判断していく」
今月7日、名古屋市で開かれた中部経済連合会長の記者会見で、中電会長を兼務する勝野哲会長は、相次ぐ不祥事の責任について問われ、こう答えた。
この日の記者会見は、政府の税制改正に対する提言などを発表し、中経連として存在感を示す機会だった。だが、記者会見の後半に中電の不祥事に関する質問が相次ぎ、勝野氏は頭を下げ「心より深くおわびを申し上げる」と謝罪の言葉を繰り返した。
データ不正問題に関する調査委員会の報告書提出を受け、勝野氏は辞任する意向を周辺に伝えた。中経連幹部は7日の記者会見について、「観光振興や経済政策への提言など、経済団体として力を入れている活動があるなか、自社の問題に質問が集中したのは、本人もじくじたる思いがあるのではないか」と振り返る。
ただ、勝野氏がおわびを重ねるほど、中電の不祥事はこの1年足らずの間に相次いで発覚した。浜岡原発では、原子力部門の内部統制を巡る問題が続いている。
当初は昨年11月だった。浜岡原発の安全対策工事で、原子力部門が調達部門を通さずに仕様変更を業者に依頼し、正式な契約変更や精算手続きを行っていなかったことが明らかになった。担当役員2人は取締役会に報告しておらず、引責辞任した。
その次に明らかになったのが、浜岡原発の再稼働審査で、耐震設計に関わるデータを意図的に選んでいた問題だ。今回、外部の弁護士による調査委員会が報告書をまとめたことで、中電が「悲願」としていた再稼働をいったん白紙にすることになりそうだ。
さらに中電は8月27日、浜岡原発1、2号機の廃炉作業を巡り、資金を管理する「使用済燃料再処理・廃炉推進機構」(青森市)に提出した工事報告書を書き換え、実績と異なる数値を報告していたと発表した。書き換えた手続きで受け取った資金は8億円に上った。
原発を巡る不正と別に、9月10日には電気料金を約12億円、過大徴収していたことも発表した。
データ不正や廃炉作業を巡る報告書の書き換えなどは、それぞれ経緯や性質が異なる。問題を早期に把握し、組織内で共有して是正する仕組みが十分に機能したのかどうかという問題は共通する。
料金問題では、誤りを把握した後も2年以上にわたって修正されなかった。安全性向上対策工事でも、未精算や取締役会に報告しない状態が長期間続いた。問題が起きた際に組織として止める仕組みの弱さが、原子力部門以外でも浮かび上がった形だ。
林氏はこれまで、原子力部門の「解体的再構築」が必要だとの認識を示している。信頼回復には、個別の再発防止策を積み重ねるだけでなく、問題が発生したときに適切に情報を共有し、組織として是正できる仕組みを組織全体で構築できるかが問われる。
「自分たちは正しいことをしている」不適切行為を正当化 調査委員会が認定
浜岡原発でデータ不正が行われていた問題で、調査委員会は、中部電力社内の一部グループに「独自の正当化理論」があったとしました。
それは原発の再起動が出来なくなるような「指摘を排除」することが「正義感」とするもので、それによって逆に「不適切な行為が正当化される」ことになったと認定されました。
注.後半の記事中「Ss」は「Standard seismic motion(基準地震動)」の略語と思われますが、それを含む文の意味は明確には掴めません。
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「自分たちは正しいことをしている」不適切行為を正当化 中部電力・浜岡原発で再稼働審査でのデータ不正が行われていた問題 調査委員会が認定
静岡朝日テレビ 2026/9/14
中部電力・浜岡原発で再稼働審査でのデータ不正が行われていた問題で、調査委員会は、中部電力社内の一部グループに「独自の正当化理論」があったとしました。
「またかという感じ」市民もあきれ顔 浜岡原発の廃炉作業の費用請求でデータの書き換えが発覚 少なくとも14件の不適切な手続き 改ざんされた請求書で8億円が支払われる
外部弁護士などでつくる調査委員会は11日、中部電力に対して調査報告書を提出し、14日に公表されました。
調査報告書では、今回の問題で根底にある要因として「きわめて特異的な考え方が一部に存在していたこと」とされました。
その中で、会社にとって重要性の高いミッションを阻むような指摘などについて「独自の正義感」でそれを排除する傾向があったとし、「自分たちは正しいことをしている」と不適切行為を正当化する「独自の正当化理論があった」と認定されました。
また、報告書は他の不祥事事案でも同じような考え方が見られていて、「不祥事事案が今後も断続的に起きうるという懸念は払拭できない」としました。
なお、勝野哲会長や林欣吾社長ら一部経営層から、再稼働に関する業務を担当する原子力土建部に対して、「当社の努力が足りないだけ」や「浜岡の場合は、審査、特にSs(基準地震動)をいかに早く進めるか」、「逆にずっとリスクはSsなわけ」などといった批判や叱責があったことも問題の要因の1つであるとしました。
中部電力は14日午後に記者会見を開き、調査報告書の内容や今後の対応を説明するほか、経営陣の進退について正式表明する見通しです。関係者によりますと、この問題を受けて勝野会長と林社長が責任をとる形で辞任する意向を示しているということです。
【速報】中部電力が浜岡原発データ不正の調査報告書を公表 社内の一部に「極めて特異な考え」
静岡新聞 2026/9/14
中部電力は14日、浜岡原発(御前崎市佐倉)の基準地震動データ不正問題について、調査委員会から提出を受けた報告書を公表した。調査委は、再稼働に向けた原子力規制委員会の審査を受ける過程で、社内の一部において安全性に関する独自の判断を行い、結果として安全性に問題がなければルール違反はやむを得ないという「極めて特異な考え」が存在していたと認定した。再稼働を重視する経営層が現場を叱責していたことが圧力として作用したと経営層の関与も一部認めた。