2025年10月20日月曜日

柏崎再稼働巡る県民意思 自民「県会で確認」促す

 柏崎刈羽原発の再稼働是非を巡自民党県議団は、花角知事が今後示す県民意思を確認する手法を「尊重する」との決議案を県議会9月定例会最終日の21日に提出します。決議案では知事が県議会県民の意思を確認することを選んだ場合県民を代表する県議会として真摯に向き合い議会の意思を示す」としていて、これは県議会で確認することを促す狙いです。
 しかしそれでは知事が「信を問う」と進退を懸ける覚悟をにじませてきたこととの整合性が問われることになります。
 知事はこれまで、「県民に直接信を問う方法が責任の取り方として最も明確で重い」と繰り返してきました。それで来年6月の任期満了に伴う知事選で信を問うのではとの解釈が根強かったのですが、その一方で、県議団の中では原発単一争点の選挙を警戒する声も多く、自民県連の高橋政調会長は「直接民主主義でやるのはおかしい。議会で熟議を尽くして結論を出すべきだ」と指摘します。
 自民のベテラン県議は「本心では知事選で決着をつけたいのではないか。悩んでいるのだろう」と知事の心中を代弁します。
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柏崎再稼働巡る県民意思 自民「県会で確認」促す
                        新潟日報 2025年10月18日
 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働是非を巡る動きが激しくなっている。県議会最大会派の自民党県議団は、花角英世知事が今後示す県民意思を確認する手法を「尊重する」との決議案を県議会9月定例会最終日の21日に提出する。県議会で県民の意思を確認することを促す狙いがあり、早ければ年内に開かれる12月定例会で決着するとの見方が広がっている。ただ、花角知事は自身の判断を示した上で「信を問う」と進退を懸ける覚悟をにじませてきた経緯があり、難しい判断を迫られそうだ。    (報道部・遠藤寛幸)

決議案提出へ 知事選で争点化警戒
 東電の小早川智明社長や経済産業省資源エネルギー庁の村瀬佳史長官らが参考人として出席した16日の県議会連合委員会。小早川社長は柏崎刈羽原発、2号機の廃炉を検討することや地元に1千億円規模の資金を拠出することを表明。踏み込んだ方針を示し、決断に追い込む形を整えた。
 今年3月に村瀬氏らが参考人招致された際は具体的な回答がほとんどなく、自民の議席からもヤジが飛ぶほどだった。それとは対照的に今回、政府や東電から新たな回答を引き出してみせたことで、自民県連の幹部は言い切る。「議論する材料はそろった

■布 石
 政与党の自民県議団は、再稼働を認めざるを得ない立場だ。政府や東電の対応と呼応するように、花角知事の思いを推し量って布石を打つ。それが今回の決議案の提出だった。
 決議案では県民の意思を確認する方法に県議会を選んだ場合、「知事が出した結論について、県民を代表する県議会として真摯に向き合い、熟議のうえ議会の意思を示す」とした。
 県議会を通じて県民の意思を確認することを直接的には求めていないものの、ある自民県議は「知事が県議会にボールを投げやすくする」と狙いを語る。
 花角知事は県民の意思を確認する方法について、決めていないとしつつ「信を問う方法が責任の取方として最も明確で重い」と繰り返してきた。「存在を懸ける」とも表現してきたことから、関係者の開では来年6月の任期満了に伴う知事選で信を問うのではとの解釈が根強かった
 一方で、県議団の中で原発ワンイシュー(単一争点)の選挙を警戒する声も多い。自民県連の高橋直揮政調会長は、4月の県議会臨時会で県民投票条例案を否決したことを踏まえ「直接民主主義でやるのはおかしい。議会で熟議を尽くして結論を出すべきだ」と指摘する。

整合性
 花角知事は県民意識調査の最終結果が出る10月末以降に判断を示すとしている。連合委での審議や決議案を踏まえ、県議団の中では「12月定例会までに知事が判断を示し、県議会が応える可能性が高まった」との見方が強まっている
 ただ、県議会を通じて県民の意思を確認するとなれば、知事選をにおわせてきた花角知事は自らの発言との整合性を問われることになる。議長経験者の1人は「そう簡単に決断できるだろうか」とみる。

 花角知事は周囲に自らの考えをいまだ伝えていないという。自民のベテラン県議は知事の立場を代弁する。「政府がこれ以上待ってくれないのは知事も分かっているはずだ。本心では知事選で決着をつけたいのではないか。悩んでいるのだろう」