2022年9月3日土曜日

原子炉建屋冠水でデブリ取り出し 福島第1原発 東電検討

 福島第1原発のデブリの取り出しではこれまで、格納容器の横に穴を開けそこからロボットアームを入れて行う「気中工法」で進めてきました。最も簡便な方法ですが、当初から高線量の被爆をどのように防止するのかが疑問視されていました。
 ここにきて東電は、原子炉建屋全体を巨大な水槽のような構造物で囲い建屋ごと水没させる「冠水工法」を検討していることが分かりました。被爆の問題はそれで解決できますが、全体を冠水させるためには各開口部などを完全に止水する必要があります。「格納容器自体の止水すらできない状況で、現実的に可能なのか」という見方もあるということです
 事故後11年経ってもまだそんな段階にあるわけで、なんとも悠長なものです。
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原子炉建屋冠水でデブリ取り出し 福島第1原発、東電検討
                             共同通信 2022/9/2
 東京電力が福島第1原発の溶け落ちた核燃料(デブリ)を取り出すため、原子炉建屋全体を巨大な水槽のような構造物で囲い建屋ごと水没させる「冠水工法」を検討していることが1日分かった。水には放射線を遮る効果があるため被ばく低減など利点が多く「新たな発想による有望な候補だ」としている。ただし原子力分野での実績はなく、今後も技術的課題や費用などの検討を続ける。
 関係者は「止水などに高等技術が必要で、大工事になるだろう」と指摘。工事からデブリ取り出しまで長期事業となり、総額8兆円と見込まれる廃炉費用にも影響する可能性がある。


福島第一原発で冠水での核燃料取り出し検討 デブリの取り出し…新たな方法も議論へ
                          福島中央テレビ 2022/9/2
福島第一原発の廃炉をめぐる新たな動きが出ている。
廃炉作業の最難関、溶け落ちた核燃料=デブリの取り出しについて、原子炉建屋ごと冠水させてデブリを取り出す新たな方法が検討されていることがわかった。
デブリの取り出しをめぐっては、空気中でデブリを取り出す「気中工法」で準備が進められている
一方、放射線をさえぎる水で炉内を満たして取り出す「冠水工法」は、事故の損傷部の補修が必要となるため難しいとされていたが、東京電力などが原子炉建屋全体を巨大な水槽のようなもので囲って、冠水させて取り出す方法を新たに検討している事がわかった。
こうした中、東京電力や福島県などが出席した「廃炉に関する会議」が開かれ、東京電力は「デブリの取り出しに関しては、まだ取り出しの工法の緒についたばかり。1号機、2号機、3号機、まだわからないことが多く、今後しっかり調査と取り出しの工法について検討しながら、実際どれくらいの期間がかかるか見積もっていきたい」と述べた。
具体的な言及はなかったが、この方法がこれまでに採用された実績はないだけに、技術や費用の観点から検討が必要になる。

改めていま進められている「気中工法」がどんな方法かというと…横から穴を開け、そこから機械を入れてデブリを取り出すというもの。すでに2号機で準備が進められている。
本来、原子炉に水を溜めて上から取り出す方法も検討されていたが、損傷部の補修が難しいため、このような形が取られている
ただし、ダストの飛散などによる被ばく対策が欠かせない。
そして、新たに検討されているのが、原子炉建屋ごと特殊な構造物で囲って「冠水させる方法」で、そのうえで上からデブリを取り出すというものだ。水が放射線をさえぎる性質があるため、作業員の被ばくを低減できるメリットがある。
ただし、関係者に話を聞くと「格納容器の止水すらできない状況で、現実的に可能なのか?」という見方もある

他にもコストや安全性の問題など、考えなくてはいけないことが多くあり、丁寧な議論が求められる。