2020年3月18日水曜日

18- 原発避難者訴訟 東京高裁 賠償額3分の1に

 福島県南相馬市小高区の住民ら約300人が東電に賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は17日、1人当たり110万円とし、一審が認めた賠償額を3分の1に減額しました。
 高裁は、避難慰謝料に関しては、東電が支払うことを受け入れている1人当たり850万円で損害が補われていると認定しふるさと喪失慰謝料は支払いの対象になるものの、その一部は東電が支払うとする850万円に含まれているなどとし支払額は1人当たり110万円が相当としました。
 一応名目的には認めるものの、肝心の慰謝料は大幅に削るという結果になっています。
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原発事故避難者訴訟 2審は賠償額3分の1に 東京高裁判決
毎日新聞2020年3月17日
 東京電力福島第1原発事故で長期の避難生活を強いられたとして、福島県南相馬市小高区の住民ら約300人が東電に賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(村田渉裁判長)は17日、計3億6300万円の賠償を東電に命じた。1人当たり110万円で、1審が認めた賠償額を3分の1に減額した。 
 原告側は、長期の避難生活を強いられたとする「避難慰謝料」と、生活の拠点が奪われたとする「ふるさと喪失慰謝料」を区別して賠償を求めた。 
 高裁は、二つの慰謝料を個別に検討。避難慰謝料に関しては、東電が支払うことを受け入れている1人当たり850万円で損害が補われていると認定した。 

 一方、小高区では、避難指示によって人口や商業、医療施設が減少し、著しい生活基盤の変容があるとし、こうした損害は、ふるさと喪失慰謝料の対象になると認定した。ただ、一部は東電が支払うとする850万円に含まれているなどとし、額は1人当たり110万円が相当とした。 
 2018年2月の1審・東京地裁判決は、二つの慰謝料を合算して算出。1人当たり330万円の賠償を認めていた。【巽賢司】 


福島第一原発 賠償請求集団訴訟 1審より減額の判決 東京高裁 
NHK NEWS WEB 2020年3月17日
福島第一原発の事故で避難指示を受けた福島県南相馬市小高区などの住民300人余りが東京電力に賠償を求めた集団訴訟で、2審の東京高等裁判所は、生活基盤が著しく変わったことによる慰謝料を認めたものの、1審よりも少ない1人当たり100万円とする判決を言い渡しました。
福島県南相馬市小高区などの住民316人は、避難指示を受けて避難を余儀なくされたうえ、ふるさとで生きる権利を奪われたなどとして、国の指針を元に支払われた1人当たり850万円に加えて1800万円余りの慰謝料を増額するよう東京電力を訴えました。
1審の東京地方裁判所は1人当たり300万円の慰謝料の支払いを命じ、双方が控訴していました。

17日の2審の判決で東京高等裁判所の村田渉裁判長は避難生活に対する慰謝料については国の指針を元に支払われた850万円を超える部分は認められないと判断しました。
そのうえで、生活基盤が著しく変わったことも慰謝料の対象と認めながらも、「全員に共通する慰謝料である以上、影響の少ない避難者を想定した水準にとどめざるをえない。帰還困難区域と異なり、帰還自体は可能だ」などとして、1審よりも少ない1人当たり100万円の慰謝料など、合わせて3億6300万円の支払いを東京電力に命じました。
原発事故の被害をめぐる集団訴訟の2審の判決は今月12日の仙台高裁に続いて2件目で、いずれも東京電力に賠償を命じる判決が言い渡されています。

原告「被害の実態が反映されていない 大変残念」 
判決のあと、訴えを起こしていた住民側が東京 霞が関で会見を開きました。この中で、住民の代理人を務める弘中惇一郎弁護士は「大変残念で、ひどい判決だ。全員に共通する部分の被害しか認めないと判断されると、集団で裁判を起こす意味がない」と述べました。
また、原告団の代表の江井績さん(79)は「原発事故で強制的に避難させられ、家族がバラバラになり、人生が奪われた。被害の実態が判決に反映されていない。大変残念だ」と話していました。

東電「対応を検討」 
東京電力は「判決内容を精査し、対応を検討して参ります」とコメントしています。