日本世論調査会が2月29日と3月1日に行った全国面接世論調査で、トリチウム汚染水放出による風評への影響を聞いたところ、「大きな被害が起きる」が27・8%、「ある程度の被害が起きる」が63・1%で、計90・9%に達しました。
汚染水の処分をどうすべきかを聞いたところ、「十分な風評被害対策が実施されるまでは、放出するべきでない」が42・7%、「タンクを増設して保管を続けるべきだ」が17・9%、「速やかに海や大気へ放出してもよい」は6・7%でした。
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処理水放出9割風評懸念 速やかに可6.7% 全国世論調査
福島民報 2020/03/08
東京電力福島第一原発で発生し続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法について、海や大気に放出した場合、漁業や農業への風評被害が「起きる」と考える人の割合は90・9%に上る。福島民報社加盟の日本世論調査会による全国面接世論調査で示された。処理水の処分方法についての質問では「速やかに放出してもよい」としたのは6・7%、「十分な風評被害対策が実施されるまでは、放出するべきでない」が42・7%で、放出に伴う新たな風評の発生を多くの国民が懸念している実態が浮き彫りとなった。
調査は東日本大震災と原発事故発生から十一日で九年を迎えるのを前に二月二十九、三月一の両日実施した。処理水放出による風評への影響を聞いた質問の回答は【グラフ(1)】の通り。「大きな被害が起きる」が27・8%、「ある程度の被害が起きる」が63・1%で計90・9%に達した。「ほとんど被害は起きない」の4・5%、「全く被害は起きない」の0・4%を大幅に上回った。
処理水の処分をどうすべきかを尋ねた質問の回答は【グラフ(2)】の通り。42・7%の「十分な風評被害対策が実施されるまでは、放出するべきでない」が最も多く、「タンクを増設して保管を続けるべきだ」が17・9%で続いた。「速やかに海や大気へ放出してもよい」は6・7%、「どちらともいえない」は28・1%だった。
トリチウムを含む処理水は国内外の原発で各国の基準に基づき海に放出されている。調査では各地の原発でトリチウムを流していることを知っているかも聞き、「知っている」との回答は49・5%と半数程度だった。
処理水の処分方法を検討してきた政府の小委員会は、海洋への放出と大気への水蒸気放出を「現実的な選択肢」とした上で、監視体制の構築など技術的な面から「海洋放出の方が確実に実施できる」との報告書をまとめ、政府に提言した。
提言では、処分を行えば風評被害を上乗せされる形で経済的影響が出る可能性が極めて高いと指摘。政府に対策の徹底を要請するとともに関係者の意見を踏まえ、適切な開始時期や量、濃度を決めることが重要だとした。政府は今後、地元自治体や農林水産業者ら幅広い関係者の意見を聞いて処分方針を決める。
福島第一原発ではトリチウムを含む処理水を敷地内のタンクで保管しており、東電は二〇二二(令和四)年夏にもタンクの容量が限界に達するとしている。ただ、処理水の処分が「福島から」「福島だけで」行われれば、さらなる風評を招き、復興に水を差すことになる。