2020年3月24日火曜日

24- 加古川の「富士コンピュータ」が浪江町に進出

福島復興支え続けたい 加古川の企業が浪江町進出
神戸新聞NEXT 2020/3/23
 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故で全町避難を強いられた福島県浪江町に、ソフトウエア開発などを手掛ける兵庫県加古川市の「富士コンピュータ」が進出する。介護用ロボットの組立工場や物流倉庫を構え、地元採用者と兵庫からの移住者の混成チームで来年1月の稼働を目指す。同社は「住民から『来てくれてありがとう』と言われるまで根を張り続けたい」と、復興の一翼を担う。(竹本拓也)

 同町は全住民約2万1千人が県内外に避難。3年前に一部地域で避難指示が解除されたが、昨年末時点の帰還者は1189人にとどまる
 通信・単位制高校「相生学院」の運営でも知られる同社の森和明社長は震災後、「福島の復興なくして日本の復興なし」を合言葉に福島での新分野に投資を続けてきた。昨年6月には、国などが産業復興の拠点と位置付ける南相馬市の「福島ロボットテストフィールド」への入居を果たした。
 今回、同社が進出するのは、避難指示の長期化で操業を断念した工場の跡地約12ヘクタールを同町が整備した「藤橋産業団地」の一画約5600平方メートル。旧工場の事務所棟などをそのまま使えるという。取得費などの総事業費は約9600万円。
 介護ロボットの組立工場のほか、加古川市や姫路市で手掛けるインターネットオークションの出品代行業務の物流倉庫を整備する。同町内には世界最大級の水素製造拠点など4カ所の産業団地が整備されたが、兵庫からの進出は初という。

 地元採用3人を含む計10人程度で業務を始める。将来的には20人規模の雇用を想定し、JR浪江駅近くに社宅を借りるという。
 同社取締役の比嘉寛幸さんは昨年1月から福島に移住した。常磐自動車道や空港へのアクセスが良い同町の工業団地に着目し、交渉してきた。今も町の大半が帰宅困難区域だが、今月14日にはJR常磐線が全線開通するなど、一歩ずつだが復興の歩みを感じる。
 「地域経済復活の道のりは険しいが、兵庫代表として力になれたら」と比嘉さん。同町産業振興課の担当者は「大変ありがたい。町の復興を引っ張ってもらえる存在として期待している」と話す。同社は今春にも同町と立地協定を結ぶ。