慎重な検討を要請 処理水処分で内堀知事 テレビ討論
福島民報 2020/03/09
内堀雅雄知事は八日、NHKの討論番組「日曜討論」に出演し、東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分方針を巡り、幅広い関係者の意見を丁寧に聴くなどの慎重な検討を国と東電に継続して求める考えを示した。
内堀知事は、処理水の扱いを議論した政府小委員会が処分方法について大気への水蒸気放出と海洋放出が現実的との報告をまとめたことを念頭に、「小委員会の提言を踏まえ、幅広い関係者の意見を丁寧に聴きながら慎重に対応、方針を検討するよう国と東電に求めていく」と訴えた。トリチウムに関する正確な情報発信と具体的な風評対策の提示も併せて必要とした。
東日本大震災と東電福島第一原発事故の発生から間もなく九年となる中、避難指示解除による復興が進む一方で、子育て世代の帰還が進まないなど課題が山積する現状も示した。住民帰還に向け、生活再建やなりわいの再生、医療、介護、教育、商業施設などの環境整備が重要とし「現場の課題と状況の変化を把握しながら市町村、国と解決に取り組む」と語った。
福島市出身の作曲家古関裕而さんと妻金子(きんこ)さんをモデルとしたNHK連続テレビ小説「エール」の三十日放送開始にちなみ、「自然災害や難しい課題を抱える全国の被災地に福島からエールを発信し、共に未来を切り開きたい」と語った。
ふたば未来学園中・高の丹野純一校長も出演し、「原発事故の教訓を後世に語り継ぐことが重要だ」と語った。