5日、福島県大熊町の帰還困難区域の一部が避難指示を解除されました。
大熊町の吉田淳町長は近く全線が再開されるJR大野駅舎の前で、「解除は長い復興の一里塚。町民の帰還はもちろん、町外から人や企業を呼び込んでどう再生させるかが課題になる。人が多く訪れることを期待したい」と語りました。
全線再開を前に修繕が進められた駅舎と、全町避難した9年前のあの日のままに荒れた建物が混在する、復興途上の現状が映し出されました。
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復興途上の明暗混在
JR大野駅前避難解除 駅舎は修繕、周囲は荒廃 福島・大熊
河北新報 2020年03月06日
東京電力福島第1原発事故に伴う福島県大熊町の帰還困難区域の一部で5日、避難指示が解除され、町の復興は中心部再興の新たな段階を迎えた。JR大野駅前は14日の常磐線全線再開を前に修繕が進められた駅舎と、全町避難した9年前のあの日のままに荒れた建物が混在。復興途上の現状を映した。
解除されたのは大野駅東西口広場、県立大野病院敷地の計4.2ヘクタールのほか、駅から町役場がある大川原地区に至る県道、町道計2.3キロ。駅舎や線路を含め計約28ヘクタールになる。
大野病院南ゲートでは警備員が5日午前0時に扉を開け、自由に通れるようになった。中心部だった大野駅前の商店街や住宅の一部沿道には、荒れた無人の建物と隔てるようにバリケードが新設された。
町は駅前に企業が入居するビル、商店街、コンベンションホールなどの整備を構想する。大野駅前で記者会見した吉田淳町長は「解除は長い復興の一里塚。町民の帰還はもちろん、町外から人や企業を呼び込んでどう再生させるかが課題になる。人が多く訪れることを期待したい」と語った。
今回の解除に合わせて特定復興再生拠点区域(復興拠点)の下野上、野上両地区の一部約290ヘクタールの立ち入り規制も緩和された。
吉田町長は、2022年とする復興拠点全体(860ヘクタール)の避難解除の目標を改めて強調。国がまだ除染計画を明示していない「白地地区」について「(放射性物質の)自然減衰を待つのでなく除染時期を示してほしい」と訴えた。
大野病院の再開については「避難解除され、県は建物内の調査に取り組むことを期待する」と述べた。