原子力規制委6日、巨大噴火に備えた原発の対処法を議論する部会を開き、巨大噴火の兆候が見られた時の施設の停止基準を定めることを目指していたものの科学的に困難なため見送り、観測データの変化の兆候に応じて電力会社などに監視の強化を求める「チェックリスト」の新設にとどまりました。
火山の巨大噴火の余地は不可能というのが火山学会の一貫した見解だったのですが、規制委はそれを観測を強化すれば可能であるとして火山条項を定め、同じ論法で川内原発の再稼働を強行しました。その後4年以上が経過していますが、事実上予知は不可能ということが再確認されました。
当時の議論は下記の記事などから読み取れます。
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火山の巨大噴火前兆は「定義困難」 原発の停止基準見送り 原子力規制委
毎日新聞 2020年3月6日
原子力規制委員会は6日、火山の巨大噴火に備えた原発の対処法を議論する部会を開き、報告書をまとめた。巨大噴火の兆候が見られた時の施設の停止基準を定めることを目指していたが、科学的に困難なため見送った。報告書は、観測データの変化の兆候に応じて電力会社などに監視の強化を求める「チェックリスト」の新設にとどまった。
巨大噴火が想定されるカルデラは十和田(青森県、秋田県)や阿蘇(あそ)(熊本県)、姶良(あいら)(鹿児島県)など。対象になる施設は、九州電力の玄海原発(佐賀県)と川内(せんだい)原発(鹿児島県)。四国電力伊方原発(愛媛県)は火砕流の影響がないとし含まれていない。再稼働や設置許可が認められれば、日本原燃の使用済み核燃料の再処理工場(青森県)なども含まれる可能性がある。
部会は外部の火山専門家らによる会合で、2016年に議論を始めた。運転停止の基準については、巨大噴火の前兆現象は過去に観測記録がなく、科学的な知見に基づいて「明確に定義することは困難」とした。
地震活動や火山ガスなどチェックリストの項目の観測値が大きく変動した場合、電力会社などに火山の監視を強化させるのか、規制委が状況に応じて判断することにした。運転を停止させる必要がある場合はその都度、規制委が検討する。
広島高裁は1月、伊方原発3号機の運転差し止めを命じる決定で、阿蘇カルデラについて「破局的噴火に至らない程度の噴火も(規制委は)考慮すべきだが、想定が過小」と指摘。ただ、今回の部会は噴火の兆候に向けた監視強化がテーマで、噴火の想定に関しては議論していない。
報告書で巨大噴火の兆候が見られた際の停止基準を見送ったことについて、中田節也・東京大名誉教授(火山学)は「監視強化へのリストは火山活動監視の上では当たり前のこと。シミュレーションを駆使して停止基準を定めても良かったのでは」と話した。【荒木涼子】