復興庁が19日公表した南相馬市(小高、原町の一部)と川俣町(山木屋)の住民意向調査結果によると、「既に戻っている」「戻りたいと考えている」の合算は、南相馬が69・0%に上り、山木屋を含む川俣は59・0%でそれぞれ16年度の前回調査より、8・0ポイントと6・8ポイント増えました。
「まだ判断がつかない」と答えた住民に、「帰還を判断するために必要なこと」を複数回答可で尋ねたところ、南相馬は「医療機関(診療科)の状況」が最も多く、川俣は「医療機関の充実」「放射線量の低下の見通し、除染成果の状況」などでした。
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「既に戻った」「戻りたい」南相馬69%川俣59%住民調査
福島民報 2020/03/20
復興庁は十九日、東京電力福島第一原発事故で避難区域が設定された南相馬市(小高、原町の一部)と川俣町(山木屋)の住民意向調査結果を公表した。帰還意向の回答で「既に戻っている」「戻りたいと考えている」の合算は、南相馬が69・0%に上り、二〇一六(平成二十八)年度の前回調査に比べて8・0ポイント増えた。山木屋を含む川俣は59・0%で前回の二〇一八年度調査より6・8ポイント増えた。
帰還意向に関する両市町の内訳は【グラフ】の通り。「まだ判断がつかない」は南相馬が9・0%で二〇一六年度調査に比べ4・9ポイント減った。一方、川俣町山木屋は9・2%で二〇一八年度より1・0ポイント増えた。
「まだ判断がつかない」と答えた住民に、「帰還を判断するために必要なこと」を複数回答可で尋ねたところ、南相馬は「医療機関(診療科)の状況」が最も多く、川俣は「医療機関の充実」「放射線量の低下の見通し、除染成果の状況」などが多かった。
一方、「戻らないと決めている」は南相馬が13・4%(二〇一六年度比2・3ポイント減)、川俣町山木屋は8・8%(二〇一八年度比4・3ポイント減)でいずれも減少した。戻らない理由は、南相馬が「恒久的住宅を取得した」「生活基盤ができている」「避難先の方が生活利便性が高い」などが上位を占め、川俣は「医療環境に不安がある」「避難先の方が生活利便性が高い」などの意見が多かった。
調査は復興庁と県、市町が主体となり、南相馬は二〇一九年九、十、十二月、川俣は二〇一九年十一月に実施。南相馬は四千五十八世帯のうち二千四百六十三世帯、川俣は五百十八世帯のうち二百四十九世帯が回答した。回収率は南相馬60・7%、川俣48・1%。
■医療や介護の環境充実求める
二〇一九年度に実施した南相馬、川俣、富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾の七市町村の住民意向調査結果が出そろった。いずれの市町村も回答した住民の多くが、帰還を判断するために必要な条件として、医療や介護の環境充実を挙げた。
田中和徳復興相は十九日の閣議後記者会見で「医療、介護、住宅、買い物など生活環境の整備が非常に重要だ」と強調し、注力する考えを示した。